ファイナンス&アカウンティングマネージャー 森野 明美 様
自動化に目覚めたと語るのは、ベータ・ジャパン株式会社の森野明美さん。同社が運営しているb8taのビジネスモデルの特性上、前受金管理をする必要があり、それに対応できるシステムを探していたといいます。今回は、入社後すぐに経理DXの必要を感じたという森野さんにお話を伺いました。
「b8ta」(https://b8ta.jp/)は、一般的な小売店と異なり、売ることを主目的とせず、発見や体験を訴求していく新しい体験型のストアです。店舗にはガジェット、家電、美容グッズや食品などあらゆるジャンルの商品を常時50〜80ほど並べており、毎月商品が入れ替わります。インターネットでは見つけにくいもの、もともと興味はなかったが初めて見て気になるものとの、偶然の出会いを提供します。
出品企業から月額の出品料をいただき、b8taからは定量的、定性的なデータをお渡しするビジネスモデルです。たとえば、天井に設置したカメラでお客様の行動、年齢層や性別を可視化したり、お客様の商品に対する感想をフィードバックしたりすることで、マーケティング活動の一環としてご活用いただいています。これらを総称してRaaS(Retail as a service)と呼んでいます。
b8taの誕生はアメリカのシリコンバレーで、2019年に日本に上陸しました。2022年12月現在、東京に3店舗、埼玉に1店舗を展開し、今後さらなる出店を計画しています。また先日「by b8ta」という取り組みを発表しました。売ることを主目的にしない店舗、通称“売らない店”を商業施設や実店舗が独自に開業、導入、運営できるよう支援します。
私が入社したのは今から1年前のことです。経理業務全般を経験できるようなポジションを探していたときにb8taと出会い、ビジネスモデルの面白さに感心し参画しました。しかしながら、事業が成長して契約件数が増えている一方で、経理業務の実体は煩雑なものになっていました。
b8taでは、例えば半年間出品する契約をした場合、毎月前受金という形で出品料を6分割した金額を請求しています。そのため、2月から出品したい場合は前月の1月末までにお支払いいただく必要があります。当時、別の請求システムを利用していましたが、前受金に対応しておらず、請求書発行と同時に仕訳処理されてしまっていました。本来、請求書を発行したときに仕訳が立たないのが正しいため、毎回修正していたのです。
また、契約成立後に初回の請求書を作成し、契約終了まで毎月同じ金額の請求書をわざわざ発行していました。その後のフローでは、入金時の消込業務、入金仕訳を入れる業務、月末には売上伝票を入れる業務、そして先にお伝えしたように前受金の仕訳修正と、多方面で改善の余地があるとわかりました。
契約形態はひとつではなく、商品規格や期間によって都度請求金額は異なります。今後契約件数が増えたときにミスが増えてしまう、どうにかしなければ…。入社3ヵ月目にシステムを変えることを決めたのです。
それからすぐにあらゆる請求システムを調べ、各サービスに問い合わせました。その中から請求管理ロボを選んだ大きな理由は、請求書の自動発行・自動消込機能と、前受金に対応していたことでした。
請求管理ロボでは、契約初回時に一度請求書データを入力すれば、次回からは自動発行されるため、毎月の業務削減につながりました。自動消込機能も便利ですし、仕訳データを請求管理ロボからエクスポートし、会計システムのfreee会計と連携させることもできるので、経理特有の月初の忙しさから解放されています。
実際のところ業務効率は6人日から2人日ほどに改善。業務の属人化に歯止めが利いて、請求業務をアシスタントに担当してもらい、私はコア業務に集中する時間をつくることができました。最近ではそのアシスタントが営業活動に従事する時間ができたりと、ノンコア業務からの手離れの良さを実感しています。
b8taではまだ日本であまり見られない海外の商品も扱っています。そのため請求先が海外の企業であることも多く、その際に英語の請求書フォーマットを作成して発行できる点も嬉しいです。これまで英語の請求処理については個別で対応していましたが、請求書の発行と催促のメールを英語に設定できるので、日本語の場合と同様に自動化することができました。
オンボーディング期間では、カスタマーサクセスの担当の方と毎週のようにミーティングを重ねました。こちらの意図が明確に伝わるように心がけたことで、意思疎通もスムーズにとれ、2ヵ月で移行が完了しました。
同時に、請求書を受領する当社内の営業担当にも、システムが変わることの周知を行いました。請求管理ロボが自動で催促してくれるから手間がなくなるとメリットを強調し、社内理解もスムーズでした。
経理は手作業を可能な限り減らして、会社の動向を予測し、動かしていけるような存在でありたいと私は考えています。
ファイナンス業務に集中するためには自動化の力を借りない手はありません。請求管理ロボの導入効果は、会社からも評価されていて、私の中で自動化に目覚めたという感じです(笑)。実は人事も担当しているのですが、今はそちらの自動化に夢中。人の手がかからないような仕組みづくりを目指しています。
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