口座振替の仕訳について、書き方の具体例も交えて解説!
多くの企業や個人事業主が日常的に利用している便利な決済方法に口座振替があります。しかし、この口座振替は会計処理においてはいくつか注意点があり、適切な処理を行うことが重要です。
そこで本記事では、口座振替の仕訳方法について具体例も交えながら解説します。
なお、口座振替そのものの仕組みや、そもそも仕訳とは何かについては、以下で詳しく解説しています。
口座振替における基本的な仕訳の原則
仕訳とは、簿記上の取引を借方と貸方に分けて、取引内容の性質を表す勘定科目と金額の内容を仕訳帳に記入することです。
そして、口座振替に関する仕訳を行う際に最も重要なことは、発生主義による処理です。
発生主義は取引が確定した時点で会計仕訳をする考え方であり、金銭の動きに関わらず計上を行います。
つまり、とある事業者が商品を販売して決済手段に口座振替を利用した場合、実際に入金された日だけではなく、取引が確定して売上が立った日の時点で、会計仕訳をすることを意味します。
そのため、取引の確定から入金日までに期をまたぐ場合は、前払い費用や未払い費用として適切に処理する必要があります。
参照:発生主義とは?現金・実現主義との違いや関係性など経理に役立つ知識を解説
借方・貸方の書き方
では、仕訳をするにあたって重要な借方・貸方の書き方について確認しておきましょう。
まず、借方・貸方の概念を理解するために、財布の中のお金の動きを例に考えてみましょう。
たとえば、1000円のペンを購入した場合、財布からは現金1,000円が減り、代わりに1000円相当のペンを得ます。このとき、財布から出ていった1000円は貸方に記録し、新しく得たペンは借方に記録します。
つまり、仕訳にあたっては「何かを得たら借方に記載、何かを失ったら貸方に記載」というのが基本的な書き方であり、借方と貸方はどんな取引でも表裏一体なので金額は同じになります。
そして、この借方・貸方に振り分ける際には、「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」という5つの勘定科目で分類することになります。この5分類の分け方をまとめたものが以下の表です。
借方 | 貸方 | |
---|---|---|
資産 | 増えた場合に記載 | 減った場合に記載 |
負債 | 減った場合に記載 | 増えた場合に記載 |
純資産 | 減った場合に記載 | 増えた場合に記載 |
収益 | 減った場合に記載 | 増えた場合に記載 |
費用 | 増えた場合に記載 | 減った場合に記載 |
おそらく、「資産」が増えた場合と「負債」が減った場合に借方に記載(「資産」が減った場合と「負債」が増えた場合に貸方に記載)というのは、イメージしやすいかと思います。
一方、ややこしいのは、「費用」が増えたのに借方に記載する、「収益」が増えたのに貸方に記載する、という2点でしょう。
「費用」については、先程の例を言い換えると、ペンを得るために1,000円の「費用」が増え、1,000円の現金「資産」が減ったと考えてみてください。
また、「収益」については、たとえば1万円のサービスを販売して後日入金がある場合、売掛金という名の「資産」が生まれた半面、売上という名のまだ手に入らない「収益」が増えた、と考えると理解しやすくなるのではないでしょうか。
上記の表の内容は決まりごとなので、迷った場合には「これは『負債』で、減ったから借方だ」というようにルールに当てはめて振り分けるのが一番分かりやすいでしょう。
口座振替した際の仕訳の具体例
それでは、いよいよ口座振替をした際の仕訳について、具体例を挙げていきましょう。
1. 5万円の商品の売上があり、翌月に口座振替により預金口座に入金される場合の仕訳は以下の通りです。
・売上時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 50,000円 | 売上 | 50,000円 |
・入金時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 50,000円 | 売掛金 | 50,000円 |
口座振替のように、後払いで代金を回収する場合は、上記の通り、二度に分けて仕訳することが必要です。
2. 上の例で、商品を宅配便で発送し、その送料1,000円をこちらが現金で支払った際の仕訳はこうなります。
・売上時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 50,000円 | 売上 | 50,000円 |
荷造運賃 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 |
・入金時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 50,000円 | 売掛金 | 50,000円 |
商品配送などの運送費は、「費用」に充当します。
なお、「売掛金は『資産』」など、どの内容のものが勘定科目5分類のいずれに該当するかは、以下で詳しく解説しています。
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