口座振替サービスとは?手続き方法や利用するメリットなども解説
口座振替サービスは、定額制の料金支払いに広く利用されている決済手段です。しかし、身近な一方で、このサービスを意識せず利用していることも多く、口座振替サービスの仕組みについて具体的に説明できる人は少ないでしょう。この記事では、口座振替サービスの基礎知識から手続き方法とその費用、利用するメリットについて解説していきます。
口座振替サービスとは
ここでは口座振替サービスを理解するために、概要、仕組み、口座振替サービスに適する業種について解説します。
概要
口座振替とは、指定した銀行口座から料金の支払いを自動的に引き落としてくれる決済手段です。一度登録すれば口座から請求金額を自動で引き落としてくれるため、月謝や会費、定期購入など、定額料金の継続的な支払いの手間を大幅に削減できます。口座振替サービスとは、各金融機関との契約を代行会社が一手に引き受けてくれるものです。
最近は、口座振替の手続きをインターネット(Web)上で進められる仕組みも普及しています。従来の方法では、書類を書いたり郵送したり、登録完了まで時間がかかるなど、手続きの手間が多いという問題がありました。また、記入ミスなどがあった場合は最初からやり直すケースもあるため、利用開始までにタイムラグが発生するのも口座振替のデメリットです。しかしWeb(ネット)口座振替であれば、これらの作業をオンライン上で進められるため、スムーズに利用開始できます。
仕組み
商品購入を例にすると、口座振替サービスの仕組みは以下の通りです。
1.利用者が口座振替登録した加盟店(事業者)で、商品を購入する。
2.加盟店が請求データを口座振替サービスに送る。
3.口座振替サービスが各金融機関と手続きを行い、利用者の口座から請求金額を引き落とす。
4.口座振替サービスが加盟店に代金を入金する。
このように、口座振替サービスは、銀行と加盟店の間に入って折衝役を務めています。
口座振替サービスに適する業種
口座振替サービスは、定額料金の業種に適しています。ここでは、具体的な業種をいくつか取り上げます。
・塾・習い事などの学習支援業
個人経営の学習塾や習い事などでは、子どもを通わせるついでに月謝袋を持たせて支払いを済ませるケースがよくあります。しかし、現金での集金は、盗難や紛失などのトラブルが発生するリスクがあるため、あまり推奨できる決済手段ではありません。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、学業支援業などでの支払いは口座振替サービスであることが望ましいでしょう。
・介護支援サービス・福祉施設など
高齢の方を対象とするビジネスであることから、利用者がクレジットカードやATMなどの機械操作が不得手であることは少なくありません。そのため、操作ミスによって料金が振り込めなかったり、振り込んだと勘違いしたりするケースが発生し、トラブルとなることもあります。その点、口座振替サービスなら一度契約すれば自動で引落処理を行ってくれるため、利用者にとっても、事業者にとっても安心です。
・不動産賃貸業
異なる物件から家賃を毎月確実に回収して管理しなくてはならない不動産賃貸業にとって、入金管理は煩わしい作業です。一方で、口座振替サービスであれば、毎月決まった日に入居者の口座から自動で家賃を引き落とすことができます。
・サブスクリプションビジネス
口座は誰でも持てるため、収入・職業・老若男女問わず幅広い客層の受け入れが可能です。また、支払いを忘れることがないため購入者にとっても、サービス・商品の販売元にとっても安心感があります。
・学校の各種費用
平成28年に文部省から、学校給食費については公会計化することが基本と示されました。口座振替は記録が残ることから、公会計化に適した決済手段といえます。
銀行振込との違い
銀行振込と口座振替の違いは、代金を支払う側が能動的なアクションを取る必要があるか否かという点です。
銀行振込では、支払者が支払期限までに銀行やATMに出向くか、インターネットバンキングを利用するかのいずれかの方法で指定された口座に代金を振り込む手続きを行う必要があります。銀行振込は振込のたびに手数料が必要で、多くの場合は支払者の負担です。手数料はATMを操作して振り込むのが最も安価ですが、10万円を超える振込をすることはできません。
一方口座振替では、支払う側が一度振替の手続きをしておけば、以後は支払期日になれば自動的に代金が口座から引き落とされます。口座振替の手続きは郵送で書面を提出して申し出るのが一般的ですが、Web上で手続きできるものもあります。口座振替でも手数料が発生しますが、多くの場合事業者の負担です。
口座振替サービスを利用するメリット
口座振替サービスの利用は、事業者側に口座振替の拡張、リスクの軽減、業務の効率化などさまざまなメリットをもたらします。ここでは、その効果について取り上げていきます。
どこの金融機関でも口座振替が可能
企業が独力ですべての金融機関と契約をするのは困難と言わざるを得ません。また、仮に契約できたとしても、各金融機関に振替請求を行わなくてはならないため、業務はより煩雑化するでしょう。
これらの悩みは口座振替サービスを利用することにより解消されます。企業は各金融機関と個別に契約しなくても口座振替が可能になり、振替請求も自動で処理できます。
未回収リスクの軽減
未回収のリスクとは、お金が回収できないまま法的時効を迎えるリスクのことです。2017年の民法改正によって、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」もしくは「債権者が権利を行使することができる時から10年」と時効が改正されました。
口座振替サービスを利用すれば、未回収リスクが減らすことが可能です。口座残高が足りていれば代金が自動で引き落とされるため回収し忘れることもなく、安定した売り上げが確保できます。また、残高不足による回収不能分を保証してくれるオプションや、債権回収代行サービスを利用すれば、未収金が出ても満額回収できる可能性が高められます。そのため、口座振替サービスの利用はリスクヘッジにも有効な手段なのです。
集金業務の効率化
一度登録すれば、口座から自動的に引落処理が開始されるため、代金回収や請求の業務を効率化することができます。また、利用者が多数いても代金回収業務を一元管理できることから、経費や人件費を抑えることができます。
手厚いサポートとお得な手数料
いずれの決済手段でも決済手数料はかかりますが、口座振替サービスの手数料は他の決済手段に比べ非常に安価です。たとえば、クレジットカード決済の1件当たりの手数料は、決済金額の3%~10%ですが、口座振替サービスなら100円前後で済みます。
また、さまざまなサービスを展開しているため、各企業に合ったサービスで事業展開をサポートしてくれます。
口座振替サービスの手続き方法
口座振替の利用手続き方法は、2種類あります。以下にそれぞれ詳しく解説します。
口座振替依頼書による手続き
書面を通して申し込みをする方法です。利用希望者は口座振替依頼書に必要事項に記入し、捺印を押して事業者に直接、もしくは郵送して提出します。提出された内容は、事業者が口座振替を提供している決済代行会社・銀行へ送付されます。
記入に不備があった場合、直接提出ならその場で修正してもらえる一方、郵送であれば利用希望者に返送したうえで、最初から手続きをやり直すことになります。そのため、不備があると利用希望者側と事業者側の双方に事務負担がかかることになります。
また、不備なく手続きを済ませたとしても、サービスの利用開始には1ヶ月~2ヶ月程度かかるのが一般的です。
WEB口座振替受付による手続き
Web上で口座振替の申請手続きをする場合、利用希望者がオンライン上で情報を登録してその場で受付が完了します。オンライン上の手続きは記入漏れがあると送付できない仕組みになっていることから、依頼書の不備が軽減されます。
また、依頼書の発送・回収の手間がかからないため、郵送にかかる時間や手間の省略が可能です。そのため登録完了から、わずか1~3日ほどでサービスの利用が可能となるケースもあります。
ただし、大幅に時間を短縮できる一方、Web口座振替受付は法人名義や事業用の口座で申し込みができる金融機関が限られています。ほとんどの金融機関が個人名義の口座でしか対応していないため、事業者が利用する際には注意が必要です。
口座振替サービス導入のデメリット
ここまで口座振替サービス導入のメリットを述べてきましたが、導入前に知っておきたいデメリットについて解説します。
引き落とし開始までに時間がかかる
口座振替は手続きを済ませた後は振込に手間や時間を取られることはありませんが、初回の引き落としを始めるまでには時間を要します。事業者は顧客から引き落とし許可を得るために、口座振替依頼書に記入してもらって返送してもらわなければなりません。
口座振替依頼書は細かい情報を記入したり金融機関の届出印を押捺したりしなければならず、記入内容に不備があったり届出印が間違っていたりした場合には、修正のためにさらに時間を要します。
残高不足の影響を受けてしまう
口座振替であれば自動的に代金が引き落とされるため、回収率は100%になるかというとそうでもありません。他の決済方法に比べれば未回収リスクは低いと言えますが、支払期日に顧客の口座残高が不足していた場合は引き落としが失敗になってしまいます。先払い方式なら未回収リスクを避けることができますが、実際には商品を提供した後に支払うケースのほうが多く、引き落としをする前に残高の確認を顧客に促す注意が必要です。
残高不足が起きる要因としては、他にも振替日が不適切であることも考えられます。例えば振替日が給料日の数日前であれば残高不足になる可能性は高くなるでしょう。
振替から入金まで日数がかかる
口座振替では、金融機関で顧客の口座から振替を実施した日から事業者の口座に入金されるまでタイムラグが発生します。どの金融機関か、あるいはどの振替代行会社を使うかでタイムラグの日数は変わりますが、一般的には10日程度はかかると見ておいたほうがいいでしょう。商材の仕入れ日などの支払い日程などを鑑みて、キャッシュフロー上問題ないかどうか確認が必要です。
口座振替サービス代行会社によってはリアルタイムでの入金が可能なものもあり、このようなサービスを利用すれば請求から入金までのサイクルを短くすることが可能です。
口座振替サービスを導入する際のポイント
口座振替サービスの導入にあたっては、いくつか確認しておくべきポイントがあります。以下にそれぞれについて解説します。
利用者数
自社での取引に口座振替サービスを導入する場合には、できるだけ広範な顧客層を網羅して多くの利用者を獲得できるものであるべきでしょう。銀行と一口に言ってもゆうちょ銀行、地方銀行、都市銀行、ネット銀行などの種類があり、対応できる銀行の範囲を狭めてしまうと顧客獲得に不利となります。
また、口座振替サービスを導入することで、どのくらいの利用者数が見込めるかも確認しておくべきポイントです。少人数であれば管理も簡単ですが、100人以上ともなると系統だった管理が必要です。利用者数が多い場合は、請求確認も含めて依頼できる口座振替サービスの利用がおすすめです。
導入したい決済手段
次に注目すべきポイントは導入したい決済手段です。代金の決済方法が口座振替のみであれば、集金代行業者に依頼するのが最もシンプルな方法で、必要なコストも抑えられるケースがほとんどでしょう。しかしながら、顧客の利便性を図るなら多様な決済手段の導入は欠かせません。
口座振替以外の決済手段としてはクレジットカード決済、コンビニ決済、交通系の電子マネー、バーコードやQRコードを介したコード決済などがあります。これらを導入したい場合は、多様な決済手段に対応している決済代行会社を選ぶことが重要です。顧客のニーズに合った決済手段を導入すれば、顧客満足度も高めることができます。
ランニングコスト
もう一つの注目すべきポイントはランニングコストです。口座振替サービスの利用を開始するにあたっては、利用開始時にかかる初期費用と、利用しているかぎり発生するランニングコストの2つが発生します。
ランニングコストは月額基本料と利用手数料に分類できます。口座振替サービスは、基本的に一度導入した後は簡単には解約したりサービス内容を変更したりすることはできません。
詳しい料金体系はホームページ上では公開されていないこともあるため、事前に複数社から相見積もりを取って相場の適正値を調べるといいでしょう。
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