口座自動振替とは?申し込み方法や導入するメリットも解説
顧客が雑誌やサプリメントの定期購入をする際、その都度支払っているようだと購買意欲が削がれてしまいます。このような手間を省く支払い手段として、口座振替という決済方法があります。これは公共料金や定期購入にとどまらず、家賃、プロバイダー料金、保険料、税金に至るまで様々な場面で使われている決済方法です。
口座振替は海外ではあまり見られず、日本独自の方式として発展してきました。口座振替はすでに50年以上の歴史があり、1968年に株式会社JCBの前身である株式会社日本クレジットビューローが導入したのが始まりです。この記事では口座自動振替の概要、口座自動振替の利用手続き方法、口座自動振替を導入するメリットなどについて解説します。
口座自動振替とは
ここでは口座自動振替の概要を理解するために、仕組みや適している業種、銀行振込との違いについて解説します。
口座自動振替の仕組み
口座自動振替は、顧客、サービス提供事業者、決済代行会社(収納機関)、金融機関の4者が関係して機能するものです。
まずサービス提供事業者が顧客に口座振替依頼書という書類を記入してもらうか、Web上で必要な情報を入力してもらい、登録情報を回収します。サービス提供事業者は、直接金融機関と契約する場合はそれぞれの金融機関に、決済代行会社を通す場合はその会社に書類を提出して引き落とし口座の登録をします。
顧客が商品を購入したら、サービス提供事業者は請求データを金融機関か決済代行会社に送信します。決済代行会社は金融機関との手続きを経由して顧客の登録口座から代金を引き落とし、それをサービス提供事業者へ入金することで一連の資金移動の流れは完了です。
サービス提供事業者が金融機関と直接契約している場合は振替手数料がかかりませんが、顧客ごとに違う金融機関と契約しなければならない手間が発生します。決済代行会社を通す場合は振替手数料がかかるものの、窓口を一本化できるのかメリットです。
最近は、口座振替の手続きをインターネット(Web)上で進められる仕組みも普及しています。従来の方法では、書類を書いたり郵送したり、登録完了まで時間がかかるなど、手続きの手間が多いという問題がありました。また、記入ミスなどがあった場合は最初からやり直すケースもあるため、利用開始までにタイムラグが発生するのも口座振替のデメリットです。しかしWeb(ネット)口座振替であれば、これらの作業をオンライン上で進められるため、スムーズに利用開始できます。
口座自動振替が適している業種
口座自動振替が適している業種として1つ目に挙げられるのは、ECサイト全般です。ECサイトで継続課金を前提とする商品やサービスを提供する場合には、顧客にとって支払い手続きの負担が少ない口座自動振替と相性が良いと言えるでしょう。ECサイトでの決済方法としてはクレジットカードが主流ですが、口座自動振替はカード情報の漏洩の心配もなく、またクレジットカードを持っていない年齢層にも利用しやすいのがメリットです。
2つ目は、教育関連です。子どもが学習塾や習い事に通う場合、子どもに月謝を持たせると紛失や盗難のリスクがありますが、保護者の銀行口座から引き落とされるようにすれば安全かつ確実に月謝を回収することが可能です。
3つ目は、不動産賃貸業です。不動産賃貸業では管理する不動産の数が多くなると、家賃の回収や入金消し込みなどの入金管理に多くの手間がかかります。口座自動振替にすれば確実に家賃を回収でき、入金管理の手間も軽減できます。
銀行振込との違い
銀行振込とは、代金を支払う当事者が銀行の窓口やATMに出向いて、同一銀行もしくは他銀行にある他人名義の口座へお金を振り込む手続きを行うものです。ATMで振り込めば順番を待たされることもあまりなく、窓口で手続きをするよりも短時間で済みますが、限度額が設けられている点には注意が必要です。また、インターネットバンキングを利用すれば窓口やATMに出向く手間を省いて手続きできますが、パソコンの操作に不慣れだと抵抗を感じる人もいるでしょう。
さらに、銀行振込では振り込む都度に所定の手数料が徴収され、多くの場合は振り込む側の負担となります。
口座自動振替であれば、一度口座振替の手続きを済ませておけば窓口やATMに出向く必要もなく、またインターネットバンキングで操作する手間もありません。自動的に支払い処理が完了し、基本的に振込限度額も振込手数料も発生しません。
口座自動振替の利用手続き方法
口座自動振替の利用手続き方法には、書面で申し込む場合とWEBから申し込む場合の2通りがあります。以下にそれぞれについて解説します。
書面で申し込む場合
書面で申し込む場合は、利用者が口座振替依頼書という書面を取り寄せて手続きを行うのが一般的な方法で、古くから用いられている申し込み方法です。利用者は、銀行名、支店名、口座種類、口座番号、口座名義などの必要事項を記入したうえで捺印し、対面もしくは郵便で事業者へ提出します。口座振替依頼書を受け取った事業者は口座振替に必要な情報を登録し、収納機関に送付します。
記入内容や捺印に不備があった場合は、対面で提出している場合はその場で修正できますが、郵便で送っている場合は利用者へ書面を返送して手続きを最初からやり直さなければなりません。書面に不備がない場合でも、郵送に要する時間も含めて考えると利用者の口座登録が完了するまで1ヶ月から2ヶ月かかります。
WEBから申し込む場合
WEBから口座振替を申し込む場合は、利用者が事業者のWEBサイトにアクセスして手続きを行います。利用者は口座情報をWEB上のフォーマットに入力して送信し、情報を受け取った事業者は入力データを確認して収納機関にデータ送り、収納機関が金融機関に口座を登録して登録手続きは完了です。口座振替依頼書のように書面を利用者へ送付したり回収したりする手間がなく、記入内容に不備があった場合でもその場で訂正できることから、スムーズに手続きを終えることができます。
また、即日から数日で手続きを完了することができるため、当月か翌月には利用の開始が可能です。さらに、書類の紛失などによる個人情報漏洩などの心配もなく、高いセキュリティ環境下で手続きが行えます。
口座自動振替を導入するメリット
口座自動振替を導入すると、事業者側にとっても顧客側にとってもメリットがあります。以下にそれぞれのメリットについて解説します。
事業者側のメリット
事業者側のメリットとしては次の4つが挙げられます。
1つ目は、解約する確率が減って利用継続率が向上することです。顧客が特に意識することなく継続的かつ自動的に支払いが完了するため、利用を継続してもらえる確率が高くなります。
2つ目は、未回収リスクが軽減し、売掛金の回収率が向上することです。顧客の口座から自動的に代金を引き落とすので未払いになる確率は低く、代金や売掛金の回収が遅れることもありません。
3つ目は、他の決済手段と比べてかかるコストが低いことです。決済代行会社を利用した場合でも、口座振込やクレジットカード決済に比べると手数料が比較的安価で、事業者は低コストで代金回収ができます。
4つ目は、集金にまつわる業務の負担が軽減されることです。都度払いや銀行振込では毎月多くの請求業務や入金管理業務が発生しますが、口座振替にすればそのような業務は大幅に軽減されます。管理業務を一元化して更なる業務効率の向上が期待できます。
顧客側のメリット
顧客側のメリットとしては次の4つが挙げられます。
1つ目は、支払いの手間がなくなることです。支払日になると指定口座から自動的に代金が引き落とされるため、銀行の窓口やATMに出向いて入金手続きをする手間が省けます。
2つ目は、支払いを忘れたり遅れたりすることがなくなることです。支払日を覚えていなくても自動的に支払いが完了することから、支払い漏れ、支払い遅れ、金額間違え、振込先間違えなどが起こることはありません。
3つ目は、クレジットカードに比べると安心なことです。クレジットカードを持っていない人やクレジットカードの情報を晒すことに抵抗がある人でも、口座振替ならクレジットカード情報を入力する必要がなく、安心して利用することができます。
4つ目は、振込手数料がかからないことです。銀行振込では、振込が発生する度に手数料がかかります。一方、口座振替であれば手数料の負担なく振込を行えます。
口座自動振替を導入する際のポイント
口座自動振替を導入するには、金融機関と直接契約する場合と代行会社を利用する場合の2パターンがあります。以下にそれぞれについて解説します。
金融機関と直接契約する場合
金融機関と直接契約する場合では、事業者が金融機関に対して事前に申請をして個別に契約をしなければなりません。事業者の業務内容や財政状況によっては、審査を通過できないケースもあります。
また、金融機関と直接契約するためには多くの煩雑な手続きを経なければならず、無事契約をすることができた後も売上・入金管理や会計処理に多くの手間を要します。個人事業主や中小企業では、そのような業務に人的リソースを割り当てるのはかなりの負担となり、毎月全ての金融機関に対して口座振替請求手続きを行うのは、現実的には難しいと言えるでしょう。
代行会社を利用する場合
代行会社を通せば事業者は金融機関と個別に契約する手間を省くことが可能です。代行会社の審査を通過する必要がありますが、基本的には一度通過すれば提携している金融機関全てとの取引が可能となります。提携している金融機関は都市銀行や地方銀行はもちろんのこと、ゆうちょ銀行、信用金庫、ネット銀行などと幅広く、顧客に対して利便性の向上を図れます。
また、事業者の入金管理は代行会社1社に一本化できることから、経理担当者の負担が増えることはありません。口座振替に関して聞きたいことがある場合でも、代行会社に問い合わせれば1回で疑問を解決することが可能です。サポートに力を入れている代行会社なら、運用面の相談やアドバイスも期待できるでしょう。
代行会社の選び方
数多くの代行会社が存在しますが、自社に合った代行会社を選ないと業務の効率化が図れない可能性があります。ここでは、代行会社の選び方について解説します。
導入方法を比較する
決済代行サービス会社を通して口座振替を行うメリットは、金融機関と個別にやり取りせずに済むという点です。したがって、代行会社がどれだけ多くの金融機関と口座振替の契約を結んでいるかで利便性が変わります。
また、口座振替作業用のシステムが、代行会社側で用意されているものを使えるのか、自社で開発して用意しなければならないのかも確認すべき項目です。一般的には自社で用意するのは開発コストと時間を考えると得策ではなく、代行会社の既有のシステムを使う方が現実的です。
そして、システムの管理画面が見やすいものか、使いやすいものかもチェックしておきましょう。入金管理のしやすさ以外にも、キャンセルが発生した場合や設定変更をしたい場合の操作性も確認すべきポイントです。
手数料を比較する
代行会社と契約するにあたっては、月額基本料や手数料についても初期費用を含めたランニングコストとして勘案しておく必要があります。料金の詳細についてはホームページ上で公開されていないことも多く、その他の利用料があるかも含めて事前に見積もりを取ることは欠かせません。できれば数社から見積もりを取って、料金相場の適正値を探るようにしましょう。
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口座振替は確実性の高い集金方法であり、コストも他の決済に比べて安価です。また、顧客にとっても支払い手続きを簡素化して支払い漏れ、支払い遅延を防げるメリットがあります。口座振替は、口座振替代行サービスを利用するのがおすすめです。
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