会社の資金繰りが厳しい! 今やるべきことから資金調達法、原因究明までを解説
どんな事業にも資金問題はつきものです。特に近年はインターネットの普及によって顧客の行動も大きく変わっているため、以前と同じように事業を継続できている会社は多くないでしょう。変化が求められる現代において資金繰りの重要性は以前よりも高まっています。
この記事では、会社の資金繰りが厳しい方向けに、今やるべきことや資金調達の方法、資金繰りが厳しくなる原因などを解説します。
会社の資金繰りが厳しくなる理由
会社の資金繰りが厳しくなる要因にはさまざまなものがありますが、中でも大きい要素として、損失の規模・管理体制・急激な売り上げの変動といったものが挙げられます。資金繰りに困った際に同じことを繰り返さないためにも、まずは原因を良く理解しておきましょう。
収益よりも損失が大きい
資金繰りが厳しくなる理由のひとつに「利益が入ってくるまでに時間がかかる」または「出ていくまでの時間が短い」といった原因が考えられます。そもそも入ってくる利益が少ない、あるいは出ていく金額が大きいといったケースもあるでしょう。こうなってしまうと、自由に動かせるお金が手元に残りません。何かあった場合に手持ちですぐ対応できない、つまりお金を借りる作業が発生する可能性が高まるため、現状よりも悪化する可能性すら考えられます。
資金繰りの管理体制が整備されていない
もうひとつの要因として、資金の理体制の充実度が挙げられます。
資金管理がずさんになっている場合も、資金繰りが厳しくなる可能性が高まります。何故なら、管理体制が整備されていないと融資審査の報告書類が却下されてしまったり、そもそも報告書類の作成自体が適わなくなったりするからです。こうしたトラブルを回避するためには、資金管理の仕組みづくりを整備しておく必要があります。また、担当者以外のスタッフも対応できるように、会社全体で資金状態が可視化された状態を整えておくこともひとつの手です。万が一トラブルが生じても、日頃からお金の動きを理解していれば対応がしやすくなります。
経理などの作業時にミスなどが多い場合は、一部業務の外部委託もひとつの選択肢です。トラブルを起こして余計な時間を使うより、ずっとコストパフォーマンスが良い選択だと言えるでしょう。
急激な売り上げの増加と落ち込み
売り上げの急激な増加も良い側面ばかりではありません。どれだけ多く売り上げがあったとしても、利益を回収できるまでにはタイムラグがあるからです。そして、利益が回収されるまでの間には、仕入れの費用や人件費などが不足する可能性があります。また、取引先の倒産など、外部の環境要因から売り上げが落ち込む可能性もないとは言い切れません。
こういった時にも焦らず対応するために、普段から余裕をもった資金繰りを心掛けておくことが重要です。
損益計算書を参考に資金繰りを行う
損益計算書を参考にした資金繰りはリスクがあります。
そもそも、損益計画書には未回収の売り上げも含んで記入されているため、何らかのトラブルで売り上げが回収できなかった場合には資金繰りが成り立たなくなる可能性があります。
資金の収入・支出状況をはじめ、自社のお金の流れを常に把握しておくことも重要です。
会社の資金繰りが厳しい時にやるべきこと
資金繰りが厳しくなってしまった場合、まずやるべきことは資金調達です。
その後に、資金繰りが難しくなった原因を探りましょう。もし、資金調達ができず経営計画を見直す余裕もない場合は法的整理も検討します。
資金繰りが厳しくなった原因を調べる
人件費や固定費など、削減可能な出費がないか否かも確認しましょう。
また、社内体制に問題がないかチェックすることもひとつの方法です。
資金の問題だけ解決しても、根本的な理由を解決しないと同じ轍を踏みかねません。自社だけで問題が明確にならない場合は、税理士など外部機関への相談も検討しましょう。
資金調達できる方法がないか検討・実行する
売掛金の回収をはじめ、使っていない土地を売却したり不要なサービスを解約したり、普段気付かないうちに社内のコストを消費している部分を徹底的に抑えます。事業の継続に必要なもの以外はすべて売却するくらいの気持ちで洗い出しましょう。
法的整理を視野に入れる
法的整理とは主に倒産を指します。しかし、一口に法的整理と言っても根拠となる法律によって種類があり、必ずしも事業を終えるとは限りません。法的整理の具体的な内容には、以下のようなものがあります。
・民事再生:再生計画を立てて裁判所などからの承認をもらい、会社の再建を目指す方法
・特別清算:事業を終わらせる前提の方法。会社の財産を債権者で分け合う
・破産:特別清算と同じく事業を終わらせる前提の方法。債権者の同意は不要な点が特徴
・会社更生:民事再生と並行して事業を継続しながら行う。比較的大規模な会社が倒産する時に取られる方法
新しい集客方法を導入する
近年は多くの人がスマホやパソコンを持つようになり、その結果インターネットが身近なものになりました。それに伴い、SNSやWebサイトなどを活用した新しい集客方法が注目されています。ECサイトの開設や会社のSNSアカウント、インフルエンサーを通じたPRなど、オンラインにはさまざまな集客チャネルや施策が存在します。上手く集客できれば、かなりのインパクトが期待できるため、積極的に利用すべきと言えるでしょう。
経営計画を見直す
赤字になっている事業の縮小もひとつの選択肢です。また、M&A(自社を買い取ってもらうこと)なら従業員を解雇する必要なくまとまったお金が手に入ります。しかし、経営方針など全部が今まで通りとはいきません。良いことばかりではないので、ほかの方法でも資金が十分ではない時の選択肢として取っておくのがおすすめです。
会社の資金繰りが厳しい時に気を付けること
会社の資金繰りが厳しい状況では、何から手を付けるべきか分からず混乱することもあるでしょう。ここでは、支払いの優先順位や避けたいトピックをご紹介します。
自社で同じような問題が発生した場合に備えて、事前に対策を考えておきましょう。
支払いの優先順位
支払いにおいて最も優先すべきものは、信用に関わる約束手形・小切手です。
6ヶ月以内に2回以上返せない状況に陥ると、金融機関との取引が2年間停止になります。実質的な倒産とも言えるでしょう。
次に優先したい項目は人件費です。給与の未払いは刑事罰の対象でもあり、立派な犯罪になります。また、従業員からの信頼も失われ、従業員が離れていけば事業も成り立たなくなるため、倒産する可能性が非常に高いと言えるでしょう。また、取引先から受け取っている請求書も重要です。取引先も資金繰りに困っている可能性があるので、できるだけ早く支払えると良いでしょう。
その他、各種税金の支払いも重要です。税金には当然支払い義務があり、滞納した場合には延滞税がかかります。2ヶ月以上でさらに増加するため、できるだけ早く支払いましょう。ちなみに、健康保険料を滞納していると従業員が必要な時に利用できない可能性があり、医療費が全額自己負担となります。こうしたトラブルが生じると、従業員からの信頼も目減りしてしまうため注意が必要です。
一方、銀行融資の場合、銀行にとって取引相手が倒産するよりも、返済条件を変更した方がメリットが大きくなるため、ほとんどの場合返済条件の変更を受け入れてもらえます。そのため、まずは銀行に相談してみるのがおすすめです。
街金融や商工ローンなどで借入しない
街金融や商工ローンなどはノンバンクと呼ばれるローンで、来店不要・審査基準もそこまで厳しくないという点においてとても便利です。その一方で、これら制度は一般的に金利が高い傾向にもあります。また、法律が整備される以前は違法な取り立てなどを行うローン会社があったことから銀行などで借りられなかった人が利用するというイメージが付いてしまいました。そのため、規制や罰則の強化など法律の整備が行われた現在でも、記録に残っていると財政状況が良くないのではと危惧される可能性があります。利用せずに済むよう、資金繰りは慎重に行うのが最善策と言えるでしょう。
融通手形の発行
融通手形とは実際の取引がないにも関わらず、資金調達目的に振り出される手形を指します。つまり、資金を融通してくれる方から、債務がないのに振り出してもらう手形と言えます。実際には金融機関からの借入ができなくなった際に、資金繰りのために融通手形を利用するケースが目立つのです。返済がしっかりと行われれば良いですが、問題が発生してしまう場合も少なくありません。万が一返済できなかった場合、手形を渡した側ともらった側の双方の信頼を損ねる可能性があるため計画的な利用が重要です。
会社の資金繰りが厳しい時は銀行に相談
会社の資金繰りに困った際は、まず銀行に相談しましょう。
銀行に相談する場合は、経営状況を把握してもらうために経営改善計画書の提出がおすすめです。経営改善計画書は、業界の現状や自社の立ち位置、今後の取り組みなどの記入したうえで銀行への希望を伝えます。具体的な数値を聞かれた場合に素早く回答するためにも、資金繰り表の準備もしておくと安心です。
返済スケジュールを変更する
返済スケジュールの変更を検討しましょう。例えば、減額した分だけ翌年以降に増額したり、最後の返済時に上乗せしたり、さまざまな方法があります。しかし、金利が高くなる可能性があるほか、新規借入もできない点には注意しましょう。
返済猶予を相談する
返済猶予が認められるケースもあります。銀行としては倒産されてしまうよりも確実な返済を求めています。条件変更の受け入れによってお金が戻ってくるのであれば、相談に応じてくれる銀行も少なくありません。返済猶予で改善が望めそうであれば、普段から利用する銀行へ話してみましょう。
借入を一本化する
借金の借入の一本化を検討しましょう。借入の一本化とは複数の銀行から借りるのではなく、借りる先を一本に絞ることです。複数の銀行に借りている場合、返済の度にそれぞれで手数料が発生してしまいます。借入の一本化を行えば、そうした手数料といった出費を最小限に抑えられます。加えて、返済期間の変更などと組み合わせられれば返済額の減額が可能です。
会社の資金繰りが厳しい時にできる資金調達法
会社の資金繰りが厳しい時の資金調達には色々な方法があります。それぞれの手法の特徴を把握して、最適な資金調達法の実施を検討しましょう。
1.銀行融資
銀行融資は金利が安く、大きな金額を借りることができる特徴があります。ただし、審査が厳しく時間がかかる点には注意が必要です。主な銀行融資の方法には、保証協会付き融資(マル保)とプロパー融資の2種類があります。もし、新型コロナウイルスの影響で資金繰りが苦しい場合には、再生支援協議会が会社と金融機関の間に入って調整を行う「新型コロナ特例リスケジュール」という制度の活用もご検討ください。
2.公的融資
政府系の金融機関などが公的融資に該当します。公的融資の場合、中小企業や個人事業主でも融資を受けられる可能性があります。手間と時間はかかりますが、金利が安い傾向にあるので負担が少ない点は魅力です。
3.助成金・補助金
助成金・補助金は国や地方公共団体などから支給されるお金です。受給には申請や審査が必要になり、一定の資格が必要なケースもあります。助成金・補助金の具体例としては、日本政策金融公庫の新創業融資、自治体と信用保証協会・金融機関が連携して行う制度融資などがあります。
4.ファクタリング
ファクタリングでは専門の業者に債権を買い取ってもらえます。手数料は高く設定されていますが、最短即日で資金調達可能です。ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があり、売掛先の同意が必要かなど条件が異なります。3社間ファクタリングは時間がかかるのでスムーズな資金調達には向いていません。現在の状況から判断して利用を検討しましょう。
5.少人数私募債
少人数私募債とは会社に身近な少数の人から、事業資金を集めるために発行する社債を指します。周囲から社債を購入してもらえる投資家を見付けるのは大変ですが、担保不要でお金を借りられます。さらに、発行金額や利率を自由に設定することができたり、有価証券の届出や報告書が不要だったりといったメリットのある手法です。
6.投資家からの投資
主な投資家からの投資手法としては、クラウドファンディングとベンチャーキャピタルが挙げられます。
・クラウドファンディング
クラウドファンディングは群衆(crowd)と調達(funding)が名前の由来です。主に、インターネットを通じて自身の活動をアピールして出資者を集める方法として人気を集めています。利用にはクラウドファンディングの会社に手数料を支払う形式が一般的です。ただし、プロジェクトが成立しない場合には集金に失敗してしまうため、綿密な計画が求められます。
・ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは創業したばかりの会社など、成長が期待できる上場していない会社に出資を行う投資会社を指します。ベンチャーキャピタルから得た資金は借金ではないため、事業で得た利益の分配などが求められます。ただし、投資資金の割合によっては経営権を握られる可能性があるため注意しましょう。
7.資産の売却
資産の売却も有効な資金調達法です。代表的な例を以下にまとめてみました。
・有価証券
・ゴルフ会員権
・不動産
・絵画
・宝石
上記のような会社の事業に直接関係ない資産は売却を検討しましょう。特にゴルフ会員権などは会費もかかるため、必要性が低ければ優先した整理が求められます。また、自社ビルを持っている場合は、維持費の安い別のビルを借りることもひとつの選択肢です。引越しにかかる費用については自社の負担になるため、事前に良く計画を練るようにしましょう。
8.株式の発行
株式とは株式会社が資金を出資してもらった方に対して発行する証券です。株式は借金ではないため返済義務はありませんが、時間がかかるためスムーズな資金調達には向いていない特徴があります。投資家に株式を購入してもらうためには、会社としての魅力が必要です。場合によっては株式を売られてしまう可能性があるほか、相手が株式を3分の2以上持っていると経営権を握られてしまう恐れも軽視できません。資金調達以外のリスクも考慮して活用を検討しましょう。
9.経営環境変化対応資金の活用
経営環境変化対応資金は日本政策金融金庫が行う融資政策で、別名としてセーフティーネット貸付とも呼ばれています。社会的や経済的などさまざまな理由から資金繰りが悪化した経営者を対象に貸付が行われます。このほか、新型コロナ特例リスケジュール支援の利用による負担軽減も可能です。
10.企業再建資金の活用
企業再建資金とは日本政策金融公庫が行う融資制度です。経営改善や経営再建などを行う必要のある経営者を対象として融資を受けられます。より具体的には、事業の再建を行っていたり、公的機関の支援を受けていたりといった条件を満たしていれば利用可能です。
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