後払い決済サービスとは?導入のメリットや選ぶ際の注意点を紹介!

後払い

商品を販売する事業者にしてみれば、代金を確実に回収できる支払い方法を採用したいところでしょう。しかし、商品を購入する側には、代金の支払いまで時間的余裕が欲しい、現物を確かめてから支払いたいという要望があります。

このような双方の要望を叶える術として、近年市場規模が拡大しているのが後払い決済サービスです。この記事では、後払いサービスの概要、後払い決済サービスを導入する事業者のメリット、後払い決済サービス導入の注意点などについて解説します。

後払い決済サービスとは


ここでは後払い決済サービスの概要を理解するために、後払い決済サービスの仕組みと主な後払い手段について解説します。

後払い決済サービスの仕組み

後払い決済とは、顧客が商品を購入した後に代金の決済をすることです。後払い決済を行う際に、決済代行会社が事前に商品の代金を立て替えて事業者に支払うのが、後払い決済サービスの大きな特徴です。

実際の仕組みとしては、まず購入者がECサイトなどの事業者の店舗で商品の購入手続きを行い、事業者から購入者の個人情報や商品金額などの情報が決済代行会社に送信されます。その後、決済代行会社が支払い可能と判断したら事業者に通知され、事業者が購入者に商品と請求書を発送します。事業者への代金の支払いは決済代行会社により行われるので、事業者と購入者の間では金銭のやり取りは発生しません。購入者は届いた請求書をもとに、支払い期日までに決済代行会社に代金を支払います。

主な後払い決済手段

主な後払い決済手段には、下記があります。

  • クレジットカード
  • カードを用いて支払いを行い、定められた期間の利用金額が後日まとめてカードと紐づけている金融機関の口座から引き落とされる方法です。購入時の所持金額や口座残高にかかわらず商品を購入できるため、利便性が高く後払い決済の中でも主流の方法といえます。引き落とし日や周期は、クレジットカードの種類や契約機関によっても異なります。

  • 後払い電子マネー
  • 利用した金額を電子マネーで後日支払う方法で、ポストペイ型とも呼ばれます。通常の電子マネーでは事前のチャージが必要になりますが、後払い電子マネーではクレジットカードと連携させることで、チャージ残高を気にせずに利用できるようになります。

  • 請求書後払いサービス
  • 商品が届いた後に送られてくる請求書(払込票)を利用し、コンビニや銀行などの金融機関で代金を支払う方法です。

  • 後払いアプリ
  • スマートフォンのアプリを用いて、商品購入後に発行される請求書、決済番号、QRコードなどを使って決済する方法です。わざわざ入金のために外出する必要がなく、その場ですぐに決済を完了できます。

  • キャリア決済
  • 購入者が使っている携帯電話キャリアの利用料金と合算して後日決済を行う方法です。クレジットカードを所持できない若年層でも利用できることもあり、近年決済手段として導入する事業者が増えています。

    後払い決済サービスを導入する事業者のメリット


    ここでは後払い決済サービスを導入する事業者のメリットとして以下に4つ挙げます。

    未回収リスクの軽減

    先述したように、後払い決済サービスは決済代行会社が商品代金を立て替えて事業者に支払う仕組みのため、事業者が購入者から直接代金を回収する必要がありません。購入者から見ると後払い決済ではあるものの、実際には購入者が決済するよりも先に事業者に入金されるため、未回収リスクを防ぎ安定した資金繰りや経営が可能になります。代引き決済で起こりがちな持ち戻りを心配する必要もなく、購入者の与信審査も決済代行会社が行うため、販売後のキャンセルや失注のリスクも減らせます。

    顧客層の拡大

    後払い決済サービスは、顧客層の拡大にも効果的です。
    後払い決済サービスの多くは、クレジットカード以外の決済手段も提供しています。そのため、導入することで若年層や主婦をはじめとするクレジットカードを持っていない潜在顧客層へのアプローチが可能になります。さらに、後払い決済であれば購入者は商品の中身や品質を確認してから支払いを行えるため、ネットショッピングの利用ハードルを下げられます。また、ネット上でクレジットカード情報を入力することに不安を感じる顧客に対しても、キャリア決済などの決済方法であれば抵抗なく受け入れてもらえる可能性が高くなるでしょう。

    業務効率の向上

    後払い決済サービスを利用すれば、経理業務の負担を大幅に軽減できます。具体的には、面倒な与信審査、請求書発行、代金請求・回収、督促業務などを決済代行会社に任せることが可能です。

    後払い決済サービスを採用することにより、業務工数の増大や精神的にストレスの大きい督促業務からも解放されれば、経理スタッフの残業時間や離職リスクも低減されることでしょう。また、経理担当者がコア業務に集中できるようになれば、社内全体の業務効率の改善も見込めます。決済代行会社の中には、事業者の業務負荷に応じて代行依頼範囲を選べるものもあります。

    離脱率の軽減

    後払い決済サービスの導入は、ショッピング途中の離脱率を低減するためにも欠かせません。後払いの決済方法として、クレジットカード決済しか選べない場合、クレジットカード情報の入力が面倒などといった理由でECサイトから離脱してしまう顧客も多くいます。このようなカゴ落ちが発生してしまうと、事業者は貴重な売上機会を逃してしまいます。機会損失を防ぎ、売上の向上につなげるためには、利用者のニーズに合わせた多様な決済手段を用意しておくことが大切です。

    ちなみに、通販会社のニッセンが行った調査によると、ECサイトを訪れた顧客の3割以上が希望する後払い決済方法を選べなかったために商品の購入を見送ったことがあると報告されています。

    後払い決済サービス導入の注意点


    メリットの多い後払い決済サービスですが、注意すべき点もあります。以下に例を挙げて解説します。

    キャンセル・返品時の対応

    ECサイトで商品を購入した顧客が注文をキャンセルしたり商品を返品したりして返金を求めて来た場合の対応は、顧客の支払い状況によって異なります。顧客が代金をまだ支払っていない場合は、事業者から決済代行会社へ連絡して取引の取り消し処理を依頼することが可能です。

    しかし、顧客がすでに代金を支払っている場合は、取引が決済代行会社の手からすでに離れているため、基本的には事業者から顧客へ直接返金する必要があります。また、キャンセルや返品があった場合の請求書発行費用は事業者負担となることが一般的です。

    未払い時の対応

    先述したように、後払い決済サービスでは代金回収保証をしており、顧客から支払いがあったかどうかに関係なく代金の立て替え払いをしてくれるものがほとんどです。

    しかし、後払い決済サービスの種類によっては、顧客からの代金回収は代行するものの、確実に回収できるとは保証していないものもあります。このようなケースでは、未払いが発生した場合の代金回収作業や督促業務は事業者負担となってしまうことに注意が必要です。未払いが発生した場合でも確実に代金の回収や立て替え払いをしてもらうには、代金回収保証があるかを決済代行会社との契約前にしっかりと確認しておく必要があります。

    後払い決済で重要な与信審査について


    後払い決済は顧客が代金を支払ってくれるという信用の元に成り立っています。顧客の信用度を測るものとして、与信審査があります。以下に与信審査について詳しく解説します。

    与信審査とは

    後払い決済では顧客に十分な支払い能力があるかどうかを審査する必要があり、この審査は与信審査と呼ばれます。与信審査は代金未回収のリスクを低減し、安定した経営・資金繰りを行うためにも大切な作業です。

    与信審査では、顧客が今までどのような取引を行ってきたか、支払いはきちんと行われたかなどの過去の信用情報から顧客の信用性を判断します。顧客が過去に支払いを怠っていたり支払いが滞っていたりした場合には、与信審査を通ることができないこともあります。

    与信限度額の設定方法

    与信限度額は、顧客に対して許容できる後払い決済額の上限を指します。後払い決済における売上目標を設定する際の指標にもなるので、どこまでがリスクなく、かつ利益を回収できるかを見極めて設定しなければなりません。

    慎重になるあまりに低過ぎる与信限度額を設定してしまうと、売上を伸ばすことができず事業の発展を図ることができません。しかし、売上を伸ばそうと高過ぎる与信限度額を設定してしまうと、取引先の倒産などにより代金の回収が困難になった場合には、大きな損失を被ります。また、与信限度額を高額に引き上げても、それに見合った商品やサービスを提供できるだけのリソースが事業者にないと、対応が追いつかなくなるリスクもあります。

    会社を健全に経営していくために必要な額であることと、滞りなく商品を供給できる額であることの2つを勘案して与信限度額を設定することが大切です。

    与信審査のポイント

    売上を伸ばしつつ代金の回収率を上げるためには、与信審査の精度の高さが重要です。与信審査を行う際は、評価項目を設定するなどして信用できる顧客の基準を明確にし、誰もが客観的に判断できるようにしましょう。
    評価基準が標準化されていないと基準が属人化してしまい、与信審査が特定の担当者の判断に委ねられ、担当者が変わるごとに評価基準の再設定が必要になってしまいます。それだと手間がかかることに加え、審査品質も保てません。また、営業担当者が与信審査も兼任で行うケースもありますが、業務が煩雑化し精度が下がる恐れもあるため、与信部門を設けることがおすすめです。もしくは専門的な知識を持つ外部のサービスを活用するのも1つの手です。

    後払い決済サービスの選び方


    後払い決済サービスを選定する際に見るべき項目について以下に解説します。

    費用面・導入実績

    後払い決済サービスを利用する際にかかる主な費用は、初期費用(導入費用)、月額固定費、決済手数料の3種類です。決済手数料率の相場は2%から5%程度で、決済手数料率に取引額を掛けたものが決済手数料になります。決済手数料が低いものは初期費用が高い傾向にあり、決済手数料が高いものはその逆になります。短期的なコストを抑えたいのか、長期的なコストを抑えたいのかで選ぶと良いでしょう。他にも、利用限度額や月額固定費によって決済手数料が変動する場合もあるため、注意が必要です。

    また、決済を代行してもらうということは、売上管理の一部を外部に任せることになるため、サービスの信用性も重要です。しっかりした導入実績があるのかを決済代行会社のホームページなどで確認するようにしましょう。大手企業や有名企業への導入実績があれば、安心材料になります。他にも、自社と同様の商材を扱っている企業での導入実績があれば、自社でも効果が得られる可能性が高くなるため、確認しておきましょう。

    与信枠の上限

    後払い決済サービスによって与信枠の上限が異なるため、顧客が利用できる限度額が自社で取り扱っている商品の価格を上回っているかを確認する必要があります。与信枠の上限が商品の価格を下回っていると、顧客は後払い決済で商品を購入することができません。自社商品の価格帯にあった与信枠が設定されている後払い決済サービスを選ぶようにしましょう。

    後払い決済サービスの利用限度額は、5万5千円前程度が一般的ですが、最近ではより高額な限度額を設定しているものや、限度額を顧客ごとの審査で設定しているものもあります。

    入金サイクル

    後払い決済サービスを利用した場合、決済代行会社が売上を立て替えて事業者に入金しますが、決済代行会社によって入金サイクルは15日締め末日払いや月末締め翌月末日払いなどまちまちです。複数の入金サイクルを用意している後払い決済サービスであれば、自社の都合にあった入金サイクルを選ぶことが可能です。

    入金サイクルを早めれば現金が早期に入って資金繰りが楽になりますが、その分業務負荷は高くなります。一方、入金サイクルを長くすれば現金の回収は遅くなりますが、その分入金処理に要する手間が少なくなって業務負荷を抑えられます。資金繰りと業務負荷のバランスを考えて、入金サイクルを選ぶと良いでしょう。

    既存システムとの連携

    後払い決済サービスを利用して業務の効率化が図れるかどうかは、既存のシステムと連携ができるかどうかにも左右されます。自社で運用しているECショッピングカート、顧客管理システム、受注管理システムなどと連携できれば、注文情報を登録したり配送伝票番号を登録したりする作業を自動化でき、煩雑な経理作業を減らせるでしょう。

    システムの連携方法としては、データ連携が自動化できるAPI連携と、データをCSVファイルに書き出してから手動で読み込むCSV連携の2種類があります。データ連携の必要性が低い場合はCSV連携でも十分ですが、業務を自動化して業務負担を抑えるのに有利なのは前者のAPI連携です。

    後払い決済サービスならRP掛け払いの導入がおすすめ


    後払い決済サービスを提供している決済代行会社は日本には350社以上あると言われており、最適な1社を選ぶのは難しいものです。

    RP掛け払いでは、後払い決済ではありませんが、従来は手作業で行っていた与信審査、請求書の発行・送付、代金請求・回収、入金消し込み、督促に至るまでをまるごと代行して、後払い決済で大きくなりがちな業務負担を大幅に軽減します。経理担当の方が行う作業は、月に1回の決済情報のアップロードだけです。決済手数料は業界最安値クラスの0.5%からプランを用意しており、未入金があった場合でも、規定の与信審査を通過した債権であれば入金を100%保証します。

    監修
    【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

    2019年当社に入社、執行役員に就任。
    当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
    現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。