クレジットカード決済処理の裏工程(オーソリ)

クレジットカード決済

皆さんが日常でオンラインショッピングをする際に、欠かせない決済手段になっているクレジットカード。オンライン決済での手段の中でも約7割がクレジットカードで支払いが行われております。

そのクレジットカードで決済をする際に、目に見えないところでは、裏側のシステムによって様々な処理が走っております。例えば、カード番号や有効期限、名義、セキュリティコードなどの入力と同時に、そのクレジットカードが有効なカードであるかどうかを確認する処理があります。他にも利用限度額の枠の内、商品代金分を抑えておく処理であったり、その後、抑えておいた金額を確定し、課金を行う処理等々があります。

企業ごとに適切な決済処理というものは異なり、きちん自社のビジネスモデルに沿う形で決済システムを運用するために、加盟店側も決済処理方法の種類と活用をパターンを覚えておくのがベターです。

これまで弊社にいただいたご相談の中に、以前利用していた決済代行会社に決済処理の方法を指南してもらえなかったという加盟店様もいらっしゃいます。自社に適切な決済処理方法を知らないまま運用を開始してしまったせいで、オペレーションの途中に余分な工程が発生したり、加盟店側がかえって不便を被るケースは後を絶ちません。

今回は、クレジットカード決済の決済処理方法について理解を深めるため、業種別の活用例を交えてご紹介してまいります。

クレジットカード決済の処理にはどんな種類がある?

ここでは代表的な決済処理の方法についてご説明します。

1.仮売上処理

クレジットカードの利用限度枠の確保のみを行う決済処理です。決済代行業者の間では「オーソリ(Authorizationの略)」と呼ばれることもあります。

キャンセルなどのトラブルを避けるため、利用限度額の内の商品代金分を一定期間抑える処理であり、購入者に対しての代金請求はまだ発生していないというところがポイントです。また、仮売上処理で確保できる利用限度額には有効期間が存在します。この有効期間は購入者のクレジットカードによって異なりますが、一般的には30日~90日間と言われております。

※例外として、デビットカードやプリペイドカードの場合、仮売上処理においても限度額確保の際に代金の引き落としがされるケースも一部あります。

2.実売上処理

前述の仮売上処理で確保した商品代金分を、実際の売上として計上させる処理を指します。

加盟店側では売上が計上されており、購入者に対して代金の請求がされている状態になります。この実売上処理をしなかった場合、いつまで経っても仮売上で確保した代金は売上として計上できないことになるので注意が必要です。

3.仮実同時処理

仮売上と実売上の処理を同時に行う処理方法です。クレジットカードの利用限度額の中から商品代金分を抑え、抑えたものを実際の売上にする一連の処理を一回で行います。

4.有効性チェック

利用限度額の枠の確保に関する処理は行わず、読んで字の如く、対象のクレジットカードが有効なのか無効なのかをチェックするだけの処理を指します。

図:主なクレジットカード決済の処理方法

決済処理の業種別事例

では、具体的に上記4つの決済処理がどのような使われ方をしているのでしょうか。業種別の利用例をご紹介します。

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<配送を伴う物販販売>

いわゆる物販のEC販売では、購入時に仮売上処理で利用限度額の確保を行い、商品の出荷時に実売上処理を行うのが一般的です。この運用は、万が一商品が在庫切れや入荷待ちの場合などに、入れ違いでカード会社からの代金の請求が購入者にされてしまい、トラブルが発生するのを避けることを主な目的としています。

図:EC事業における主な決済処理パターン

<動画/デジタルコンテンツ>

昨今ではAmazonやHuluといったネットでの動画配信サービスも充実してきました。
こういった業種の特徴としては、課金完了と同時にサービス提供が受けられます。したがって、このような業種では仮実同時処理を行うのが一般的です。
ただし、「一定期間の無料期間を付与し、その期間内の解約であれば解約料金が無料」というような場合は別途検討しなくてはなりません。

図:デジタルコンテンツ事業における主な決済処理パターン

<有料セミナー/イベント>

会場の設営コストや飲食代などの何かしらの原価が発生する有料セミナーの場合は、当日までの銀行振り込み、あるいは当日現金持参といったアナログ的なものが散見されます。
これもクレジットカードであれば、大幅な改善が期待できる上、運用に合わせて2つの決済処理パターンが考えられます。

パターン①:1.仮売上処理→2.実売上処理
申し込み時点では仮売上として処理。実際に当日参加した方のみに実売上処理を実行。
この方法であれば欠席した方への課金はされませんので、ある意味良心的な方法と言えるでしょう。

パターン②:3.仮実同時処理
申し込み時点で、仮実同時処理を実施。こちらは申し込み時点で、参加者に請求が行われます。当日の参加、欠席を待たずして入金金額の見込みが立つので運営サイドとしては安心ですね。
もちろん、欠席でも課金がされることは事前表記が必要と言えます。

※補足:ROBOT PAYMENTの決済システムは、決済が完了した購入者に対して一斉メルマガを送信できる機能もあります。セミナーなどのリマインド機能としてご利用頂くことも可能です。詳細はお問い合わせください。

<レンタル/シェアリングサービス>

ここ数年でシェアリングエコノミーという概念が広がりつつありますが、この手のサービスの特徴のひとつとして、利用時間や実績に応じて金額が変動するといった点があげられます。その場合は事前に利用限度額を抑えることもできない為、有効性チェックを使うことが一般的です。

クレジットカードの有効性のみを確認しておき、利用金額が確定した時点でカード情報を呼び出し、請求を確定させます。また、利用実績に応じた請求とは別で毎月の月額料金との兼ね合いもあることから、シェアリングエコノミーの決済は少々複雑になることが多い傾向があります。

図:レンタル/シェアリング事業における主な決済処理パターン

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。