決済サービスの与信審査で落ちるのはなぜ?与信の仕組みから原因・対策まで解説

請求代行

友人同士でやむを得ずお金の貸し借りをするとき、多くの方が「この人に貸して大丈夫かな」「ちゃんと返ってくるだろうか」と、大なり小なり考えるでしょう。何かしらの理由で不安があれば「〇〇円までなら」と条件をつけたり、理由をつけて断ったりするケースもあるかもしれません。実はこの思考と同様のフローが、規模は違えど企業においても行われており、実務上では「与信審査」と呼ばれる業務となっています。

本記事では、企業内で行われている与信審査の仕組みから、個人が与信審査に落ちてしまう原因と、その対策についても解説します。金融サービス・決済サービスの申込みをなぜか断られてしまった経験のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも与信審査とは?

「与信」とは「信用を供与する」ことを意味し、「与信審査」は商取引の後払い・掛け払い(請求書払い)において、取引先企業の支払い能力を審査することを指す言葉です。

派生して、企業ではなく一般の顧客が金融商品や後払いサービスを利用する際、顧客に対して行われる返済能力の調査・審査も、同じく与信審査と呼ばれています。信用を供与する相手が事業者か個人かという違いはあるものの、リスクヘッジという意図するところはいずれの場合でも変わりありません。

与信審査が必要となる主なサービス

企業向け・個人向け2種類の与信審査はどちらも、大まかに言えば「実際の取引から代金の支払いまでに期間が空く」ケースで必要とされます。個人消費向けの商品・サービスでは、以下が代表例です。

● クレジットカード:作成時や、利用限度枠を増やしたいとき、キャッシング枠を付与したいときに必要です。より限度額の大きい事業者向けのものもあります。
● 各種ローン:いわゆる分割払いです。自動車・住宅・リフォーム・スマートフォンの端末代金など幅広い商品が該当するほか、借入金の利用目的が特に限られていない消費者ローンでも与信審査が行われます。
● 後払いサービス:通販などで商品を購入した際、商品に請求書が同封または別送されていて、到着後◯日以内に振り込む、といった方法がこちらにあたります。

また、企業においては取引先が掛け払い・手形払いといった信用取引を行っている場合に、与信審査が行われます。こちらでは何らかのサービス利用ではなく、商品・サービスの売買成立から、売掛金の回収までに発生するリスクを算定するものとなります。

与信審査の目的

このように与信審査は、取引相手(BtoBの場合は取引先企業、BtoCの場合は顧客)の貸し倒れリスクを見極め、取引の安全性を確保することを目的としています。これは後払い・掛け払いでは売買代金・手数料・金利といった回収すべき「債権」が発生するため、どれだけ回収できる見込みがあるかを、販売元として的確に見定める必要があるからです。

与信審査を行うことで、企業は自社の取引先の企業・個人に対してどれだけ信用供与を行うべきかが明確になり、売掛債権や貸付金の回収不能による損害を避けることができるのです。

与信審査の基準となる事項

与信審査の基準、つまり「審査に落ちるかどうかを左右する事項」は、BtoB取引かBtoC取引かによっても異なってきます。以下にそれぞれの違いを表でまとめてみましょう。

BtoB BtoC
審査対象 売掛先企業・事業主 顧客(個人)
審査事項
(一部)
財務内容(売上高・利益率など)
取引先・商流
代表者の経営観念
過去の処分歴(不渡りなど)
年収・資産
職種・勤続年数
居住・家族の状況
借入状況
調査方法 決算書の財務情報
信用調査・リサーチ会社への照会
代表者との面談
本人からの申告
疎明資料の提出
個人信用情報機関への照会
(CIC・JICC・JBAなど)

いずれの場合でも、収入・資産・返済額といった数値で表せる「定量分析」と、会社・本人を取り巻く環境や、経営者の資質といった数値に表れない「定性分析」を組み合わせて審査が行われます。

BtoB取引はもちろん、ほとんどのBtoC後払い・決済サービスでは、与信審査の基準は顧客に対して明示されていません。ただし、クレジットカード等の審査においては申込書に記載された各情報を「属性」として分類し、点数が割り振られます。そして、この点数の合計によって利用枠が決定される「スコアリング」方式を採用しているケースも少なくありません。

スコアリングの場合でも顧客への点数開示はされないものの、手続きおよび審査の簡素化のため、申告する項目が他のサービスと比べて少ない傾向にあります。そのため、もし審査に落ちてしまっても、原因となった申告項目が比較的特定しやすいといえるでしょう。

与信審査で落ちる6つの要因

それでは、BtoCサービスにおいて与信審査に落ちてしまう原因としては、一体どのような事由が考えられるのでしょうか。ここではありがちな例をピックアップし、6点解説します。

登録情報のミス

入力ミス・ケアレスミスによる不備であっても、審査においては厳格に判断されます。

手書きのカード発行申込書や借入申込書はもちろん、PC・スマートフォンや店頭のタブレット端末からの申込みで入力ミスが起こる可能性があります。誤字・脱字や変換ミス、住所の抜け、電話番号など、各項目に漏れがないか確認しておきましょう。

また、自分の端末で自動入力を利用している場合、入力フォームに合った形式になっているか、本来不要な項目に入力がされていないか、といった点にも気をつけるとよいでしょう。

一度の買い物が高額

他の後払いサービスまたはクレジットカードで、高額な買い物を高頻度で行っている場合、審査落ちの原因となりえます。単純に限度枠を超過してしまったり、システムに不正利用を疑われたりしていると、新規の審査が通らなくなる可能性があるためです。

作成直後のカードで、限度枠ギリギリまで買い物をするのは避けたほうがよいでしょう。

返済能力不足

申告した年収や返済条件に問題があり「この条件では返済は困難」と判断されるケースです。他のサービスを総計して借入件数が多い、借入の総額が高額、といった場合も返済能力不足と判断される場合があります。

主にローン商品や、クレジットカードのキャッシング枠の申込みで散見されます。特に月々の返済が必要なローン商品の場合、「返済比率」という指標に着目することで、ある程度原因を特定することが可能です。

なお、返済比率は「(年間返済額の合計÷年収)×100」で算出することができ、利用するローン会社や商品によるものの、この比率が25~35%を超えると借入は難しいとされています。

大幅に超過していなければ、返済条件を見直して年間返済額を減らす(=返済期間を延ばす)ことで、返済比率を適正な範囲に収め、審査に通りやすくなる可能性もあるため一考しましょう。

延滞歴がある

他のクレジットカード・キャッシング・ローンといった商品の利用において、延滞歴が残っている場合も要注意です。公共料金・通信料など各種月額料金の支払いが滞っている場合や、過去に破産手続きを行った場合もこちらに該当します。

過度の延滞は、個人信用情報機関に事故情報として登録(俗に「ブラックリスト」と呼ばれる)されるため、審査結果へ長期的な影響を及ぼす可能性があります。一度、正当な理由で登録された情報を消去することは難しく、基本的には債務を完済し、一定期間が経過するのを待つしかありません。

同住所の人に問題がある

審査で提出する情報が限られている、クレジットカードや後払いサービスで散見される原因として、同住所の家族や、先の入居者が延滞・事故歴持ちというケースもあります。

既に本人がいない場合であっても、信用情報機関に登録されている住所が更新されていない場合、同一住所からの申込みを、システムは世帯単位で事故歴ありとみなすためです。賃貸物件や、競売物件の購入などではこういったケースがあり得ることを覚えておきましょう。

転売や現金化目的と思われている

先に解説した「一度の買い物が高額」とも関連しますが、ローンやクレジットカードで高額商品を多数購入することは、商品の転売や現金化を疑われる結果になりかねません。

フリマアプリ・ネットオークションなどでの市場価値・希少価値が高い物品を購入する場合、複数のローンやカード会社を併用していると危険度が高まるため、避けたほうが良いでしょう。

与信審査を通過するための対策6つ

以上のように推測される審査落ちの原因から、審査を通過するために普段から気をつけるべきポイントがある程度見えてきます。ここでは、与信審査を通過するための6つの対策を解説しましょう。

アドレスを信頼性が高いものに変える

各項目の入力ミスチェックと並行して、自分の登録したメールアドレスの信頼性も確認しておきましょう。

メールアドレスの末尾には「@yahoo.co.jp」「@gmail.com」といった「ドメイン」が付随しています。このドメインの信頼性が低い場合、審査落ちしてしまう可能性が上がると言われています。信頼性の比較的高いドメインの例としては、先に挙げたYahoo!メールやGmailのほか、au・docomo・Softbankといった携帯キャリア各社のキャリアメールが挙げられます。これらはアドレス作成時、端末で電話番号などの認証が必要なものがほとんどです。

裏を返せば、作成時に本人確認・認証の必要がないフリーメールアドレスは、安全性が低いとみなされることが多いため、与信審査申込みでの使用は控えましょう。

多重申込みはしない

少しでも審査に通る可能性を高めたいからと、手当たり次第申し込むのは逆効果になってしまいます。クレジットカードやローンを複数同時に申し込むと、限度額や借入額の面で支払い能力を超えているとみなされ、審査落ちの可能性が高まるためです。年収を等分してもなお返済比率に余裕があるのでない限り、申込みは利用したいサービスごとにしておくのが賢明でしょう。

普段の利用方法を見直す

クレジットカードを常に限度額いっぱいまで利用していると、換金目的などの不正利用を疑われる可能性があります。さらに、ローンの借入金をプリペイドカードへのチャージや商品券購入に充てる行為も、不正な現金化とみなされるリスクが大いにあるのです。

これは意図的な不法行為に限らず、ゲーム内電子マネーや、オンラインストア用電子マネーの購入にも当てはまります。使い道は人それぞれですが、不正利用とみなされるような利用方法が常態化している場合、改めておいたほうがよいでしょう。

高額な買い物を控える

前項と関連して、高額な買い物ばかりをしているとやはり不正利用扱いとなるリスクが高まるほか、限度枠を超過したり、残高不足で延滞となったりするリスクも高まります。

特に換金性の高い、貴金属類・アクセサリー、精密機械といった市場価値の高いものを高頻度で購入する場合、カードやローンによる分割払いを利用せず現金での購入も考えましょう。

不意の延滞にはすぐに対応する

残高不足による延滞は、起こしてしまったら即、事故報告につながるわけではありません。

カード会社やローン会社へ確認不足だった旨を自分から伝え、口座へ入金するか、振込で対応することで、1度や2度の偶発的なトラブルであれば事故歴が残ることを防ぐことが可能です。

反対に、数ヶ月にわたる連続した延滞や連絡なしの延滞の場合、いくら誠実に説明したとしても支払い能力は不足しているとみなされるでしょう。いずれにせよ「信用上、延滞は基本的に起こしてはいけないもの」という認識が重要です。

同居人の信用状況もチェック

先ほど解説した要因いずれも心当たりがないのに何故か審査に落ちてしまうケースでは、同居する家族や、自室の元住人に事故歴がある可能性も考えられます。他の可能性を検討してもまったく心当たりがない場合は、家族に事情を相談してみましょう。

また、元住人に問題がある場合、当該人物が住所変更や郵便局への転居届提出といった手続きを行っておらず、延滞にかかわる通知・督促状が手元に届く場合があります。名前が違うなど全く身に覚えのない手紙が届いた場合、後々のトラブルを防ぐためにも、発送元に一度連絡してみたほうがよいでしょう。

それでも審査が通らないときの代替策は?

これらの対策をひと通り試してみても、なお審査に通らない場合、利用できる決済サービスはあるのでしょうか。ここでは2通りの代替策をご紹介します。

キャリア決済を利用する

キャリア各社の携帯電話を1台でも契約しているならば、「キャリア決済」を利用する方法があります。キャリア決済は「d払い」「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」など各社によって名前が異なりますが、基本的には後払いサービスの一種です。

ネットショッピングや電子マネー対応のレジでの支払いをキャリア決済で行うと、通信料金と合算で後日請求となります。与信審査を必要としないぶん、限度額は各社とも一般的な個人消費用クレジットカードより少額です。契約条件や利用状況によって異なりますが、使い過ぎには注意しましょう。

後払いサービスを利用する

信用情報機関の延滞歴が原因である場合、一部の通販向け後払いサービスも利用先の候補に入ります。たとえば、通販サイトで利用される「NP後払い」は、個人信用情報機関と連携していないことから、属性情報の申告で弾かれさえしなければ、通る可能性もゼロではありません。

ただし注意点もあり、NP後払いは個人信用情報機関とは別に、ネット通販サイトの後払いシステムに関する事故情報を集約した「通販信用情報サービス」に加入しています。通販サイトで過去に事故歴がある場合は、結局のところ利用できない可能性もあるので注意が必要です。

経理業務の効率化は「請求まるなげロボ」にお任せ!

与信審査・管理は、企業が財務上のリスク管理を行ううえで、避けて通れない重要な業務となっています。しかしながら、売掛先に対する与信審査・管理は、個人相手の金融商品・決済サービスの与信審査以上に分析すべき要素がはるかに多く、工数がかかるのも事実です。

特に取引先の多い企業にとっては、専門に設置された審査部をもってしても、リスクヘッジが行き届いているとは言えないケースもあるでしょう。そんな貸し倒れリスクを懸念する経営者様にご紹介したいのが、ROBOT PAYMENTの提供する「請求まるなげロボ」です。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。