掛け払いとは?基本の仕組みや代行サービス利用時のポイントまでを詳しく解説

請求代行

BtoBの経営スタイルにおいてもっとも一般的な支払方法が、「掛け払い」と呼ばれる仕組みです。一定期間の取引金額をまとめて後日支払うことにより、請求や入金業務の効率化が期待できます。

一方で、掛け払いをするうえでは取引先の支払い能力を堅実に見極めることも大切です。こうした支払い特性もあってか、近年では掛け払いにおける一連の業務を代行するサービスを導入する企業も増え始めました。

この記事では、掛け払いの仕組みから現在主流になりつつある「掛け払い代行サービス」のメリットや効果的な導入方法などを詳しく紹介します。

掛け払いとは

BtoB(企業間取引)では、掛け払いによる決済が一般的な方法です。請求書を介して行われることから、「請求書払い」と呼ばれることもあります。

掛け払いの仕組み

掛け払いとは、商品やサービスの引き渡しと引き換えにその代金を支払うのではなく、取引先と期日を設けたうえで、後日まとめて支払う方法を指します。取引件数が少なければ都度払いでも差し支えはありませんが、大企業になればなるほど週に数十件~数百件もの取引を締結することも珍しくないでしょう。

このような取引では、単にキャッシュフローを把握すれば良いといわけではありません。支払う期限の調整、請求書や領収書などの各種書類の発行・受け取りや本当に正しい金額を受け取っているかどうかの確認など、これらの作業を取引ごとに進めなければならないのです。

そこで、あらかじめ一定期間を定め、その期限内にて行われた取引内容をまとめて請求・もしくは支払いをする掛け払いの仕組みが生まれたのです。
効率的に取引を進められる利点が大きいことから、企業間取引における主要な支払い方法の一つになっています。

掛け払いと企業の資金繰り

掛け払いを主な支払い方法に指定する場合、経営の観点からは資金繰りのタイミングなどキャッシュフローを明確に管理する必要があるでしょう。なぜなら、クレジットカードでの支払いのように、商品やサービスを受け取る時期と、その料金を支払うタイミングに1~2ヶ月ほどズレが生じるからです。

1件や2件の買い物であればそれほど複雑な計算にはなりませんが、「買い物を重ねていくうちに、思ったよりその後の支払い額が大きくなってしまった」というケースも珍しくないかもしれません。
個人の取引であれば「来月はもっと節約しよう」程度で済むかもしれませんが、企業経営においては、このようなキャッシュフローの調整不足や資金繰りの悪化が、今後の企業運営に対して大きなリスクを抱えることになります。

そのため、純粋な売上や利益が増えている状況だとしても、掛け払いで得られた利益を受け取るタイミングによっては、企業の総資金がむしろ減ってしまう可能性があることを把握しなければいけません。
実際に「黒字倒産」と呼ばれる事例もあるため、利益を出すことと資金繰りは分けて考えることが重要です。

掛け払いのメリットとデメリット

では、掛け払いを行うことによる具体的なメリットとデメリットには、どのようなものがあるでしょうか。

掛け払いのメリット

請求側・支払う側のどちらにも共通する大きなメリットとしては、取引に関するプロセスを効率化できるという点でしょう。先ほども少し触れましたが、取引件数が多い環境で都度払いを行うのは、業務内容が煩雑化するだけでなく、それに伴うヒューマンエラーの増加も懸念されます。自社はもちろん、相手方への収支にかかわる重要な業務のため、たった一度のミスでも大きな信用問題に発展する恐れもあります。

このような担当者の負担を軽減させる目的に加え、限られたリソースを効率よく運用する手法は、人材不足が叫ばれている昨今ではどの企業においても重要視される要素でしょう。
それだけではなく、まとめて支払いを行うことで、支払い手数料など別途でかかるコストも一元化できるという側面もあります。

掛け払いのデメリット

デメリットは、その場での現金回収ができないという理由で、未回収のリスクが発生する可能性がある点です。未回収の原因は、場合によっては支払いを忘れているだけかもしれませんし、意図的に支払い逃れをしている可能性もあります。

いずれにせよ、予定通りに支払いがなされなければ当初のキャッシュフローのスケジュールが狂うことになります。また、催促など回収にかかるコストも余計にかかってしまうでしょう。そのため、未回収リスクを原因とする負担をあらかじめ回避する工夫が重要になります。
特に新規の取引先や大きく経営状況が変化した取引先とは、慎重に契約を締結させる必要があるでしょう。

具体的には、その企業が本当に支払いを完遂させる能力があるのか、信頼のおける実績があるのかといった内容をあらかじめ精査する必要があります。これは「与信管理」と呼ばれるプロセスですが、取引の可否を決定することはもちろん、「取引限度額」などを設定し取引内容の調整を取引先ごとに行います。

掛け払い代行サービスを選ぶ際の4つのポイント

このように、掛け払いを導入するには実際の取引や契約のプロセスだけではなく、与信管理やもしものリスクに備える事前準備も重要です。しかし、これらのプロセスにノウハウがない、もしくはリソースを割けないケースもあるでしょう。

そこで近年は、掛け払いを導入するにあたって代行サービスを依頼する企業も増えつつあります。では、自社に合った代行サービスを検討するには、どのような点に着目すれば良いのでしょうか。

自社にマッチしたサービス内容か

選択肢が多いからこそ、自社にマッチしたサービス内容を検討する必要があります。
特に取引内容に左右されるのが、与信管理や与信限度額の設定に関する内容でしょう。

例えば、一度の取引での最高限度額が数百万円と定められているケースもあれば、1,000万円までとしているサービスがあるなど、金額設定には大きな差があります。規模の大きい取引が多くなると予想された場合は、なるべく最高限度額を引き上げなければチャンスを失ってしまう可能性もあります。企業それぞれの運営状態によって、ベストの設定条件は異なるでしょう。

また、与信管理のタイミングが取引ごとの場合と、企業ごとに審査が行われる場合とに大別されるため、どちらが適しているか見極める必要があります。

取引ごとの場合、毎回審査しなければならないものの審査基準は易しく、その都度管理状況の見直しが行えるというメリットがあります。一方で、企業ごとの審査では審査基準は厳しくなり時間はかかるものの、継続的な取引を望んでいる取引先が多い場合に適しています。

サービスの料金体系

掛け払い代行サービスには、さまざまな料金体系が存在します。

大まかには、サービスを自社に導入する際の「初期費用」、従量課金制もしくは固定のランニングコストとして「月額費用」、取引額に応じて設定される「取引手数料」、支払い時にかかる「決済手数料」などが含まれています。

しかし、最近では初期費用と月額費用が0円でかかるコストは手数料のみという代行業者も少なくありません。
ただし、固定費や初期費用がかからないケースでは、手数料のパーセンテージがやや高めに設定されていることもあります。「固定費用がかからないから安い」と安易に判断するのではなく、継続的に運用した際のコストを判断材料として検討しましょう。

サポートの範囲も確認

掛け払いの業務すべてを代行サービスに委託するのか、それともアウトソーシングを一部のみ担当してもらうのかなど、運用方法の違いでも希望するサービスが絞られるでしょう。

もし、代行サービスと自社での掛け払い業務を平行して継続する場合、委託業務と自社システムの連携が避けては通れません。そのため、取引情報をスムーズに連携させるためにAPIを公開しているサービスが望ましいケースも考えられます。

与信審査」「請求書発行」「代金回収」など、基本的なアウトソーシングの業務内容の確認はもちろんのこと、各サービスの強みを意識して差別化を図ることも重要です。決済方法が多彩・審査スピードが早い・請求書発送のプラットフォームが多い・未回収リスクのサポートが手厚いなど、どのような強みを自社の運用で活かせるかを念頭に置きながら考慮しましょう。

売掛保証のついたサービスを選ぶ

売掛保証とは、取引先の資金繰りの悪化や倒産など、何らかの理由で支払いが遅延したり回収見込みがなくなったりした場合に、取引先に代わって売掛金保証をしてくれるサービスのことです。

意図的な悪意がない限り、代金を支払う側の事業者は契約の期限までに送金するように努めるはずです。しかし、「何らかのトラブルなどによって支払えなくなってしまった」という可能性がないとは言い切れません。こうした予想外のトラブルが発生しても、売掛金の回収を約束してくれる機能が備わっているサービスを選択することで、回収リスクを事前に回避できるようになります。

なお、売掛保証サービスを利用する際には、保証会社の審査が必要となります。破綻の懸念があるほど業績が悪化している取引先だと、利用できない場合もあるので注意しましょう。

掛け払い代行サービスに期待できる効果

これまでにご紹介した内容を踏まえて、掛け払いを代行業者にアウトソーシングする際の効果的なメリットについて、詳しく解説します。

与信管理の強化

自社で与信管理のノウハウや実績がある場合は問題ありませんが、そうでない場合は与信管理の業務を丸ごと委託できるというのは大きなメリットの一つと言えます。

与信管理は自社の取引内容と経営規模など総合的な情報を鑑みて決定されるため、自社にとって妥当といえる金額設定を綿密に計算する必要があります。与信管理専門の部門を立ち上げて従業員を配置している企業もあるほどで、ノウハウが蓄積されていない状態でマネジメントを進めてしまうのは大きなリスクが伴うでしょう。

与信管理は、取引先ごとに多角的な情報収集が必要です。企業の現地訪問をはじめ、これまでの取引内容の精査、信用調査の機関などから得られた情報をもとに、「自社にとって信用力が足る企業であるか」という観点から評価付けをします。

この評価をもとに取引をする・しないの判断を下すのはもちろん、適正な取引限度額を設定する必要があります。これらの社内独自で定められたルールを社内管理規定と呼ぶのですが、この際に規定された意思決定をもとに各取引先との契約が進むため、与信管理は特に重視したい要素でしょう。

取引開始までの工数削減

与信管理から始まり、請求書作成から発送・入金作業・回収作業などは取引において毎月定常で発生する業務です。これらの業務にリソースを割かなくても良いという点はもちろん、自動でシステム化できる範疇でもあるため、ヒューマンエラーを限りなく減らせるという利点もあります。

掛け払いによって発生する一連の業務は、正確性が問われます。取引額のミスや入金の確認ミスがうっかり起こってしまった場合、企業としての信頼を失う可能性もあるでしょう。取引件数が増えるごとに正確性と効率を求められるようになり、担当者の負担は増大の一途を辿ります。

取引までのプロセスをアウトソーシングすることで、人手不足の部署やコア業務に担当者を配置させることができ、企業全体の業務効率を改善させることにつながります。

未回収リスクの低減

前述の「売掛保障」などのサービスがあることで、支払いの確認ミスや踏み倒しなどで予想外の回収遅延が発生しても、予定通りに代金を保証してくれることで資金繰りにかかわるリスクが大きく軽減されます。

また、新規の取引先を開拓するにあたって、入念な与信管理を実施したとしても不安が残る方も多いかもしれませんが、保証制度があることで積極的かつ安全な事業拡大を検討できるメリットもあります。

掛け払い代行サービス利用時の注意点

では、反対にデメリットと言える要素はどのようなことが挙げられるでしょうか。

審査落ちした場合の対応フローを決めておく

与信審査での通過ができず、掛け払い代行サービスが利用できなくなった際にはどうするのか、事前に代替案を考案していると安心です。
特に、与信審査もすべて代行サービスで外注していると、取引先の経営状況をリアルタイムに把握することが困難になります。取引先との情報共有が希薄になっていると、「知らずしらずのうちに取引先が審査に通過できなかった」といったケースも考えられます。

そのため、自社から直接請求を実施するのか、もしくは他の方法やサービスを利用するのかといったルールを策定しておくと、もしもの事態であってもスムーズな対応が可能です。

社内でノウハウを蓄積したい場合は不向き

これは代行サービスやBPO委託など全体に言えることですが、業務を委託するということは、自社内でノウハウを蓄積することが困難になります。

そのため、いずれは自社内で運用を考えているといったプランの場合は、すべての業務を丸ごと代行サービスに委託するのではなく、一部を自社の業務フローに組み込むなどといった工夫が必要となるでしょう。業務範囲は安易に変更できるものではないため、長期的な運用スケジュールを視野に入れて、どこまでの範囲を代行してもらうのかを事前に検討しておくことが重要です。

「RP掛け払い」で資金繰りを改善しましょう

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「RP掛け払いは」、与信審査から請求書作成・発行、集金、入金消込、催促までのフローを代行させていただくサービスです。

サービスの導入後は、毎月の請求情報をシステムからアップロードしていただくだけで問題ありません。修正や変更もシステム上からリアルタイムで可能なうえ、審査や回収状況も随時確認が可能のため、「もしも」の際にも安心です。

また、与信審査に通過した債権は100%での保障を実施しています。入金遅延や貸し倒れなどのトラブルの負担を軽減します。

さらに、決済代行サービスのデメリットとしてよく挙げられる「振り込みまでに時間がかかる」といった問題点も、RP掛け払いにお任せください。
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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。