請求書に印紙が必要なケースとは?請求書と印紙税について解説
領収書を作成する際に貼り付けられることが多い「収入印紙」ですが、実は請求書作成業務でも必要となる場合があることをご存知でしょうか? 収入印紙の貼り付けを忘れてしまうと罰金の対象となるため、請求業務を行う担当者は収入印紙の取り扱いについて理解している必要があります。
この記事では収入印紙の基礎知識・請求書に収入印紙が必要になるケース・印紙税について解説します。
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収入印紙の基礎知識
「収入印紙」はビジネス文書のなかでも契約書・領収書などへ貼り付ける印紙です。ここでは、収入印紙に関する基本的な知識をご紹介します。
収入印紙とは
「収入印紙」は手数料・租税の支払いに利用されており、国が発行しているものです。主に契約書・領収書といった「課税文書」に貼り、割り印を押す「消印」を行うことで、印紙税の納付証明となります。
万が一「本来より高額な収入印紙を貼り付けて消印をしてしまった」「収入印紙が必要のない書類に貼り付けてしまった」など、誤って使用してしまった場合には税務署へ所定の手続きを行うことで還付が受けられます。
収入印紙が必要な文書とは
収入印紙を貼る必要がある課税文書のなかで代表的なものには、領収書などがあります。印紙の貼り付けが求められるケースとしては、例えば飲食店の領収書であれば「17号文書」というものにあたり、5万円以上の商品の売買があった場合に収入印紙を貼り付けることになっています。
課税文書に関する詳細は国税庁発行の「印紙税額一覧表」に記載されているため、確認が必要な場合には参考にすると良いでしょう。
収入印紙代金の負担者
収入印紙が必要となるのは納税をしなければならない内容の契約書を作った場合のみですが、そうしたケースを想定し、納税義務に関する規定にあたる「印紙税法第三条」では以下のような旨が記載されています。
・印紙税を課さないものとされる文書以外の課税文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
・上記課税文書を複数が共同で作成した場合には、当該者はその作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
契約書は契約を交わす当事者がそれぞれで保管することになるため、基本的には当事者の人数分の契約書が用意されます。それらにサイン・捺印がなされていれば全てが「契約書原本」という扱いになり、契約書の数が増えれば比例して収入印紙の数も増えていくことになります。こうした背景から、自社契約書の分の収入印紙は各自で負担をすることが一般的です。
請求書などに貼り付ける収入印紙の金額は、それぞれ以下の通りとなっています。
記載金額 | 税額 |
---|---|
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円以上200万円以下 | 400円 |
200万円以上300万円以下 | 600円 |
300万円以上500万円以下 | 1,000円 | 500万円以上1,000万円以下 | 2,000円 |
印紙税の納付方法
印紙税とは、ビジネスなどの経済的な取引において、それを証明する「課税文書の作成者に対して課税される税金」です。課税文書には契約書・受領書・証書などがあたります。課税文書が契約書である場合の「作成者」とは、契約を交わす当事者双方を指すため、各自がそれぞれに印紙税を納付することになるのです。
契約当事者のうち片方が双方の課税文書に必要な印紙税を納めた場合には、取引先に課せられた納税義務はなくなります。例えば、契約書2通を作成したうえで2通分の印紙税を自社側で全て納めた場合などがこれに当たるでしょう。
課税文書の作成者は原則として、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付ける方法により印紙税を納付します。そして課税文書と収入印紙の彩紋にかけて、印章又は署名で「消印」を行います。消印は、添付した収入印紙が再度使用されてしまうことを防止のために必要なものです。この消印は通常、文書を作成した者が行いますが代理人・使用人・従業員が代行することも可能です。
収入印紙が購入できる場所
収入印紙は郵便局・法務局・一部のコンビニエンスストアで販売されています。ただし、高額な収入印紙についてはコンビニでは販売していないことも多いため、自社の取引で高額な収入印紙が必要となりそうな場合には、あらかじめ郵便局や法務局で購入をしておくのが良いでしょう。
また、金券ショップでも入手することは可能ですが、そうした場所から印紙を購入した際には消費税の課税や仕訳時の勘定科目が異なる点に注意が必要です。
請求書への収入印紙貼付けルール
請求書が「課税文書」となるかどうかで、収入印紙の貼付けが必要かどうかが決まります。
ここでは、どのようなシーンで収入印紙が必要となるのかを、ケース別に詳しく解説します。
基本的に請求書に収入印紙を貼る必要はない
一般的に、取引先へ請求書を発行する場合には収入印紙は不要です。収入印紙というと「5万円以上の取引が行われた際には貼り付けなければならない」と覚えている方も多いのですが、たとえ取引内容が5万円以上になったとしても、それが請求書である限り収入印紙を貼り付ける必要はないのです。
また、電子文書の場合も収入印紙を貼る必要はありません。国税庁のサイトを見ると「電子文書を相手方へ送信し、なおかつ紙媒体の原本も送らない限り、収入印紙貼り付けの必要はない」との趣旨の記載が見て取れます。これは印紙税法上の「課税文書」、つまり契約書・領収書に関するものですが、例えば「請求書と領収書が兼ねられている場合」などにも適用される原則です。そのため収入印紙の節約を目的としてこうした文書を電子データで送信し、決裁を行うといったケースも近年ではよく見受けられます。
なお、こうした電子データをプリントアウトしたとしても、それはあくまでデータのコピーにすぎず、そこに捺印をしない限りは課税物件には該当しません。
請求書に収入印紙が必要になるケースとは
請求書であっても収入印紙の貼り付けを求められるケースは存在します。ここでは、そのなかから「請求書兼領収書の場合」について解説します。
請求書・領収書が兼ねられている文書を扱う際には、請求書だけではなく課税文書の1つである領収書の役割も併せ持っているため、収入印紙の貼り付けが必要となります。代金を受領した旨と捺印がなされている文書は領収書、つまり課税文書として扱われることになるのです。
仮に「請求書」とタイトルに記載されていたとしても、内容として領収書に相当するものは収入印紙を貼り付けなければならないため注意しましょう。
収入印紙の貼り方
収入印紙の貼り付け位置は自由となっています。発行する請求書が領収書を兼ねているなどの場合には、自社で使用している文書の体裁に合わせた場所へしっかりと糊付けし、貼り付けて「消印」をしましょう。この消印は領収書と収入印紙の彩文部分にまたがり、はっきりと見えるよう押印する必要があります。
適切に消印がなされていないと税務署に判断された場合、収入印紙と同額の「過怠税(かたいぜい)」が課されてしまうため、収入印紙の貼り付け・消印を行う際にはしっかりと確認を怠らないようにしましょう。
ケース別対処法
ビジネスで作成される請求書では、収入印紙が必要となるものとそうではないものが混在しています。そのため、ミスが起こりやすいのです。ここでは万が一ミスが起こってしまった際の対処法を、3つのケースを挙げて解説します。
誤って収入印紙を貼り付けてしまった場合
収入印紙は印紙税の納付のために利用されるものです。他の税金と同じく、過剰に納付すると「過納金」、誤って納付すると「誤納金」の扱いとされ、これらはまとめて「過誤納金」と呼ばれます。
「課税文書に適正金額以上の収入印紙を貼ってしまった」「課税文書とならない請求書に収入印紙を貼ってしまった」という場合がこれにあたり、そうした印紙税の過誤納金は下記の還付対象に該当していれば後から手続きを行うことで還付が可能です。
・不課税文書・非課税文書に本来必要のない収入印紙を貼り付けてしまった場合
・課税文書に貼りつけた収入印紙が本来の課税金額を超えている場合
・損傷・汚染・書損その他の理由により課税文書自体を使用する見込みがなくなった場合
ただし、還付を求める課税文書が破損等で原型を留めていない場合など、還付が認められないケースもあるため注意が必要です。
収入印紙を貼らなかった場合
印紙税は、収入印紙を購入して文書に貼り付け・消印を行うことで納税を行うシステムです。そのため収入印紙が必要な文書に貼り付けを忘れてしまうと、納税義務者が印紙税を納めなかったとして「過怠税(かたいぜい)」が課されてしまいます。過怠税は、収入印紙の額の3倍です。ただし、納付漏れについて自主的に申し出た際には、1.1倍へと軽減されます。
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