デザイン業務においての請求書の作り方とは?基本から注意点まで詳しく解説!

請求書 請求業務

グラフィックデザインやプロダクトデザイン、Webデザイン、サービスデザインなど、さまざまな分野で必要とされるデザイン業務ですが、デザイン業務における請求書の作成方法をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

「他の請求書作成方法と変わらないだろう」「基本的な請求書のテンプレートを使えば問題ない」と考える方もいるかもしれません。しかし、実は他の請求書にはない記載項目やポイントがいくつかあり、注意が必要なのです。

本記事では、デザイン業務を行うデザイナーの仕事内容から、デザイン業務における請求書作成の基本、注意点までを分かりやすく解説します。

デザイナーの仕事内容と請求書

そもそも「デザイナー」とは、製品や広告、雑誌、サービスなど、さまざまな「もの」をデザインする職業です。仕事内容は写真の加工や画像の作成、タイポグラフィ、アートデザインなど多岐にわたり、活動する業界や領域によってデザインするものは異なります。

例を挙げるならば、グラフィックデザイナーやプロダクトデザイナー、Webデザイナー、サービスデザイナー、ゲームデザイナー、ファッションデザイナーといったように、幅広い職種が「デザイナー」という職業に分類されます。

なお、すべての業界に共通するのは「クライアントの要望に応じたデザインを考案する職業」であるということです。

デザイン業務における請求書は、納品物に対する報酬を請求するための書類を指します。デザイナーの場合、納品物は「デザイン」のことです。デザイナーが作成する請求書には、取引先に対し、依頼されたデザイン作業に対して報酬が発生していることと、報酬額や支払期日などを知らせる2つの役割があります。

デザイナーが請求書発行前に取引先へ確認すべきこと

請求書発行をするうえで、ミスや作業の手戻りは避けたいものです。初めて取引をしたクライアントへ請求書を送る際や、一度で正確な請求書を作成して送付するには、事前に確認すべきことが何点かあります。

ここからは、請求書の発行前に取引先へ確認すべきことについて解説します。

請求書に記載を望む情報

請求書の基本的な記載項目はおおよそ決まっていますが、「発注番号も記載して欲しい」「宛名には担当者名まで記載して欲しい」など、企業によってはさまざまな要望を出してくる場合があります。

特に初めての取引で請求書を作成する際は、最初の一通目が今後の請求書のテンプレートとなるため、取引先が記載を望む情報について必ず確認をとり、共通認識を作っておきましょう。

締め日と支払日

請求書の締め日と支払日を確認しておきましょう。トラブルを避けて円滑に取引を行うためにも、締め日と支払日は必ず事前に確認しておかなければなりません。

また、請求書は締め日に間に合うように発送しましょう。仮に請求書の受取が取引先の締め日を過ぎてしまうと、報酬の支払いが遅れ、結果として自身に影響が出ることにもなります。報酬を期限内に受け取るためにも、締め日と支払日を事前にきちんと把握しておくことが大切です。

希望する請求書の受取方法

取引先が希望する請求書の受取方法についても事前に確認しておきましょう。従来は請求書送付の主流は郵送でしたが、近年ではPDFファイルのメール送信や請求管理システムを使用した送付方法を採用している企業も増えてきました。
取引先の受取方法に応じて請求書を送付するようにしましょう。

デザイナーの請求書に必要な記載項目

ここまで、デザイナーの仕事内容や請求書作成前に確認すべきことについて解説してきました。続いて、請求書に必要な記載項目について詳しく解説します。

請求書番号

請求書には「請求書番号」と呼ばれる管理番号を記載することが一般的です。請求書番号は取引先が利用するものではなく、請求元が管理をする際に利用する番号であるため、採番ルールは自身で決めて構いません。

例えば「AA-0001」のように、「○○(取引先ごとの英字)-○○○○(通し番号)」のような採番ルールを決めると管理しやすいでしょう。請求書番号を記載しておくことで再発行依頼や問い合わせにも迅速に対応できます。

請求元の氏名か屋号と詳細情報

請求書には請求元である自身の氏名、もしくは屋号を必ず明記するようにしましょう。ちなみに屋号とは法人における会社名のことで、フリーランスのデザイナーの場合は本名またはペンネームなどが屋号となります。

なお、個人事業の屋号としてふさわしくないとされているのは「○○会社」や「○○法人」といった屋号です。このような屋号は、法人格を持っている組織に使うため適切ではないとされています。

請求書に関して問い合わせがあった場合にも対応ができるよう、電話番号やメールアドレス、住所などの連絡先情報も記載すると良いでしょう。

請求者の捺印

捺印については法律上の定めはありませんが、国内取引の請求書には角印を押すのが一般的です。取引先から要望があった際には捺印できるように準備しておきましょう。

また、請求書をPDFファイルにしてメールで送る場合には、電子印鑑が必要となります。こちらもあわせて準備しておくことをおすすめします。

実印と同様の法的効力を電子印鑑に持たせるためには、電子印鑑を登録して電子証明書を発行する必要があります。郵送または登記所へ出向いて申請手続きを行い、手数料を支払うことで電子証明書を何度でもダウンロードできるようになります。

登録には少々時間を要するため、電子印鑑を利用する場合には余裕を持って手続き行いましょう。

請求先の事業者名か名称

請求先の宛名は企業名もしくは担当者名まで記載しましょう。こちらも請求元情報と同様、住所などの必要情報もあわせて明記します。

なお、敬称は企業宛であれば「御中」、担当者名のように個人宛であれば「様」となりますので、間違えないように注意しましょう。

取引年月日

取引先に請求書を送付する日付のことです。納品物を納品した日ではありませんのでご注意ください。

事前に取引先の締め日と支払日を確認し、締め日に間に合うように請求書送付のスケジュールを組み、取引年月日を記載するようにしましょう。

取引項目

1つの納品物につき1つの取引項目を記載するのではなく、納品物の作業工程ごとに取引項目を記載するようにしましょう。

デザイン業務においては、取引項目が源泉徴収の対象か否かが重要になるため、「Webサイトデザイン業務」「Webサイトコーディング業務」など、詳細な工程が分かるように分けて記載します。なお、取引項目は「小計」「消費税」「源泉徴収額」「請求金額」これら4項目を含めた表形式のフォーマットで記載するのが一般的です。

小計

売上額を明記しましょう。見積作成の時点から変更がなければそのままの金額を、作業の中で下方・上方修正があれば最終的な売上額を明記するようにします。

消費税

売上額に対する消費税額を明記します。源泉徴収額を差し引く前の小計(売上額)に10%をかけた金額を明記する必要があるので注意しましょう。

源泉徴収

小計(売上額)に対する源泉徴収額を明記しましょう。税法上、源泉徴収は請求先の責任で行うものとされています。そのため、請求書に源泉徴収額の記載がなかったとしても、源泉徴収の対象となる報酬があれば請求額から源泉徴収額を差し引いて支払われることになります。

とはいえ、請求元が発行する請求書にあらかじめ明記しておくことで後のトラブルは避けられるため、記載しておくと良いでしょう。

源泉徴収額の算出方法は、請求額が100万円以下の場合は10.21%、請求額が100万円を超える部分については、支払金額に20.42%をかけて102,100円を加えた金額となります。なお、請求額が200万円だった場合、計算式は以下になります。

(200万円-100万円)×20.42%+102,100円=306,300円

源泉徴収の対象となる業務例は、デザイン業務や書籍・雑誌などの挿絵作成、書籍の装丁作成、広告などの印刷物に掲載するための写真作成などです。

請求金額

小計(売上額)+消費税額-源泉徴収税額の合計額を明記しましょう。請求金額は太字にしたりフォント数を大きくしたりと目立つようにして、表形式のフォーマットの最後に記載します。

振込先口座情報

報酬を振り込んでほしい金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、名義人を記載しましょう。漏れや不備があると報酬の受取をスムーズにできないため、口座情報の記載に際しては、十分にご注意ください。

支払期日

取引先の締め日と支払日にあわせて支払期日を設定し、明記します。ちなみに支払期日は、月末締めや翌月(翌々月)に設ける会社が一般的です。

支払期限の設定にルールはありませんが、早く回収したいからといってあまり一般的でない時期に期日を設けると、印象が悪くなる可能性があります。やむを得ない理由で一般的でない支払期日となる場合は、その旨を事前に伝えておきましょう。

備考欄

請求書の末尾には備考欄を設けておきましょう。取引内容で補足が必要な場合や源泉徴収についての情報など、該当請求書について書き残しておきたいことを記載できるようにしておきます。

デザイナーが請求書作成時に注意すべき4つのポイント

以上、請求書に必要な記載項目を解説しました。ここまでで基本的な記載項目は網羅していますが、請求書作成にはその他にもいくつか注意すべきポイントがあります。続いては、請求書作成時の4つの注意点について解説します。

源泉徴収の対象かどうか

デザイナーの業務内容には、源泉徴収の対象となる品目とならない品目が混在しているため、注意が必要です。

所得税法により源泉徴収の対象になる報酬が定められており、デザイン業務の報酬は源泉徴収の対象となりますが、同時に依頼を受けやすい業務内容には源泉調整の対象にならないものも含まれます。

例えば、企業のWebページを作成する仕事を請け負い、トップページや下層ページのデザインに加え、コーディングというプログラミング業務も行った場合です。デザイン業務は源泉徴収の対象ですが、プログラミング業務は源泉徴収の対象外として扱うように定められています。

従って、請求書の取引項目についてはデザイン業務とコーディング業務を分けて記載する必要があります。念のため、備考欄にデザイン業務とコーディング業務の源泉徴収の取り扱いについて記載しておくと安心でしょう。源泉徴収の詳細については国税庁のWebページをご確認ください。

交通費などの経費精算

交通費や消耗品などの経費は、請求書に記載することで経費として請求できます。

経費があっても費目数が少ない場合は、提供した業務内容の取引項目に並べる形で「交通費」などと表形式のフォーマット内に記載しましょう。慣例がないため、取引先が何のための費用なのか分かるように記載すれば問題ありません。

あまりにも経費費目数が多い場合には、請求書とは別に「経費精算書」を作成して、経費をまとめて請求する場合もあります。なお、どちらの場合でも領収書のデータを添付して提出すると丁寧な印象を与えられるでしょう。

消費税の税込表記

年間売上1,000万円以上のフリーランスデザイナーでない限り消費税の納税義務はありませんが、一般的には消費税も含めて請求します。2021年より総額表示が義務付けられているため、請求金額は必ず税込表記で記載するようにしましょう。

ただし、端数処理については注意が必要です。作業時間によって単価ごとの数量が変わる場合などは、売上額で端数が出るケースがあります。売上額で端数が出た場合、請求元の判断で端数処理を行って請求書を発行することはできません。

必ず取引先に端数処理の方法を確認し、共通認識のもと請求書を発行するようにしましょう。売上額において端数が出る可能性がある場合は、トラブルを防ぐためにも、取引を行う前に端数処理の方法を双方で決めておくのが理想的です。

振込手数料の負担先

振込手数料は、報酬を支払う側である請求先が負担することが一般的ですが、企業によっては請求金額から振込手数料が差し引かれて振り込まれる場合もあります。

事前に取り決めなく、振込手数料を差し引いた報酬が支払われていたといったようなトラブルを避けるためにも、振込手数料はどちらが負担をするのかあらかじめ決めておきましょう。そのうえで取引先が負担するとなった場合には、備考欄へ「振込手数料はご負担ください。」と一言添えます。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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