電子帳簿保存法改正で紙の領収書の保存は不要に?事前に準備すべきことは?
DX推進の広がりもあり、多くの企業ではデジタル化が進められています。今まで紙ベースで対応していた仕事がデジタルに置き換わる企業が増えているのです。仕事の進め方が大きく変わったという方も少なくないのではないでしょうか。そうした世の中の変化に対応するため、関連する法律である電子帳簿保存法では改正が行われました。
それでは具体的にどういった変化が加えられたのでしょうか。そこでこの記事では電子帳簿保存法の改正内容について、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引に分けて詳しく解説します。具体的なメリットや注意点についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
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電子帳簿保存法の改正で領収書の原本保管が不要に
2022年に施行された電子帳簿保存法の改正により、法に則り電子保存されている場合には、領収書の紙の原本の保存は必要なくなりました。
電子化して領収書を保存する方法は、以下の通りです。
紙の領収書の保管方法
領収書を紙で受け取った場合は、紙のまま保存するか、電子データにして保存するかを選択できます。なお領収書を電子データにして保管することを選んだ場合、電子帳簿保存法における重要書類のスキャナ保存要件を満たす必要があります。スキャナ保存における要件は以下のとおりです。
要件 | 重要 | 一般 | ||
---|---|---|---|---|
真実性の確保 | 入力期間(最長約2か月と7営業日以内)の制限 | ○ | - | |
一定の解像度(200dpi以上)による読み取り | ○ | ○ | ||
カラー画像(RGB256階調以上)による読み取り(※白黒可) | ○ | ※ | ||
改ざん防止のための措置 (どちらか1つ以上) |
タイムスタンプの付与 | ○ | ○ | |
ヴァージョン管理(スキャナデータの訂正削除を行った場合に履歴が残るシステムまたは訂正削除ができないシステム) | ○ | ○ | ||
可視性の確保 | 帳簿との相互関連性の確保 | ○ | - | |
見読可能装置等(14インチ以上カラーディスプレイ、カラープリンタ、操作説明書)の備付け(※白黒ディスプレイ、プリンタ可) | ○ | ※ | ||
整然・明瞭出力(拡大又は縮小して出力できる 、4ポイントの大きさの文字を認識できる等) | ○ | ○ | ||
システム概要書等の備付け | ○ | ○ | ||
検索機能の確保 (※ダウンロードの求めに応じられる場合、②③は不要) |
①取引年⽉日、取引金額、取引先で検索できること | ○ | ○ | |
②日付又は金額の範囲指定して検索できること | ※ | ※ | ||
③2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること | ※ | ※ |
「電子帳簿等保存制度特設サイト」(国税庁)を加工して作成
なお、スキャンした書類は一定期間保管しておいたほうが安心です。スキャンした書類をすぐに破棄してしまうと、入力期間が過ぎていた場合や定期的な検査で不備があった場合などで困るケースがあります。そのため、定期的な検査があるまでの期間は原本を破棄しないようにしましょう。
電子データの領収書の保管方法
領収書を電子データで受け取った場合は、必ず電子データのまま保管しておかなければなりません。電子取引データ保存における要件は以下のとおりです。
要件 | 重要 | 一般 | ||
---|---|---|---|---|
真実性の確保 | 入力期間(最長約2か月と7営業日以内)の制限 | ○ | - | |
一定の解像度(200dpi以上)による読み取り | ○ | ○ | ||
カラー画像(RGB256階調以上)による読み取り(※白黒可) | ○ | ※ | ||
改ざん防止のための措置 (どちらか1つ以上) |
タイムスタンプの付与 | ○ | ○ | |
ヴァージョン管理(スキャナデータの訂正削除を行った場合に履歴が残るシステムまたは訂正削除ができないシステム) | ○ | ○ | ||
可視性の確保 | 帳簿との相互関連性の確保 | ○ | - | |
見読可能装置等(14インチ以上カラーディスプレイ、カラープリンタ、操作説明書)の備付け(※白黒ディスプレイ、プリンタ可) | ○ | ※ | ||
整然・明瞭出力(拡大又は縮小して出力できる 、4ポイントの大きさの文字を認識できる等) | ○ | ○ | ||
システム概要書等の備付け | ○ | ○ | ||
検索機能の確保 (※ダウンロードの求めに応じられる場合、②③は不要) |
①取引年⽉日、取引金額、取引先で検索できること | ○ | ○ | |
②日付又は金額の範囲指定して検索できること | ※ | ※ | ||
③2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること | ※ | ※ |
「電子帳簿等保存制度特設サイト」(国税庁)を加工して作成
領収書を電子化するメリット
それでは、領収書などの書類を電子化するとどのようなメリットがあるでしょうか。
ここでは代表的な4つのメリットについてそれぞれ解説します。
経費精算業務の負担軽減
領収書が電子化されると経費精算業務が容易になります。紙ベースによる経費精算に関連する業務は従業員や経理担当者にとって負担の大きな作業です。従業員は領収書だけでなく申請書類を作成して提出しなければなりません。経理担当者は受け取った領収書と申請書類を精査して、ファイリングを行って保管しなければならないのです。
そうした際に電子化を実現すれば、領収書をスマートフォンなどで撮影してアップロードするだけなので経費申請が容易です。さらに、ITツールなどの精算フォームを活用すれば入力ミスもすぐに分かるので、経理担当者が申請書類を差し戻すケースも大幅に削減できます。
管理コストの削減
管理コストの削減も領収書の電子化によって実現できます。領収書は法人税法に基づいて7年間は管理して保存しなければなりません。7年という期間は長いため、管理に不備があると領収書の劣化といった事態も生じてしまいます。領収書の問題発生は税務上のトラブルにつながる恐れもあるため、管理コストもそれなりに必要となるのです。
こうした領収書の保管コストの問題ですが、電子化すればスマートに対処できます。領収書を電子データとして管理すれば、紙のように保管スペースは必要ないため余計なコストがかかりません。ハードディスクなどにコンパクトに情報を保存できるので、管理が簡単なうえに劣化してしまう心配もないのです。
紛失や改ざんリスクの防止
領収書を電子化すれば紛失や改ざんといったリスクも防止できます。紙ベースで領収書を管理するとコストも手間がかかるとお伝えしましたが、紛失や改ざんといったトラブルの発生も考えられるのです。従業員の出入りがあったり保管している領収書を持ち出したりすれば、紛失のリスクは高まります。さらに、悪意を持った方による改ざんの発生といった問題が発生してしまう恐れも軽視できません。
そのようなリスクも領収書を電子化すれば軽減できます。まず、データとして扱えるのでバックアップを簡単に行えるため、万一の紛失時でも復旧作業は簡単です。持ち運びによる紛失リスクもなくなるので、安心して領収書を閲覧できます。加えて、タイムスタンプの付与や会計システムを活用すれば改ざんを予防することが可能です。
検索作業の効率化
保管している領収書に関する情報の検索作業も、電子化すれば効率化できます。紙で領収書を管理していると、特定の資料を探し出すことは大変です。領収書の数が増えれば、検索作業だけで多くの時間を使ってしまうケースも珍しくありません。ラベリングやファイリングを工夫すれば改善は期待されますが、準備の手間を考えると効率的な手法とは言えないのです。
そうした際に領収書が電子化されていれば、情報をデータとして扱えるのでパソコンで瞬時に検索を行えます。探している領収書の日付や項目が分かれば、手間をかけずに見つけ出すことができるのです。もし、内部監査などで特定の領収書が必要になっても、即座に対応できるので電子データをメール送信するだけで済みます。
電子帳簿保存法における注意点
電子帳簿保存法における3つの注意点について解説します。注意点にも配慮できるように企業のデジタル化の準備を進めましょう。
検索要件に対応する
検索要件に対応するためには、電子データで保存するファイル名を工夫しましょう。例えば、日付・取引先・金額を記載しておくと簡単で分かりやすいです。「領収書_202301030_A企業_2500円」などといったファイル名が該当します。また、日付・取引先・金額と電子データが紐づけられる索引簿をエクセルなどで作成すれば、検索要件を満たすことが可能です。
使用するクラウドサービスの選び方
電子帳簿保存法に対応するためにはクラウドサービスを活用することができます。ポイントとしてはJIIMA認証を受けているクラウドサービスを選ぶことが重要です。JIIMA認証とは電子帳簿保存法の要件を満たしているサービスに付与される認証です。認証を受けたサービスにはパッケージや公式サイトなどにJIIMAの認証ロゴの使用が認められているため、チェックするようにしましょう。
加えて、既存のシステムがある場合には、連携できるどうかも重要なポイントです。電子データ化したい領収書などの書類を把握して、必要となるシステムの種類を事前に確認しておきましょう。
社内規程の整備
電子帳簿保存法の改正でさまざまな要件が緩和されました。しかし、改ざんや不正利用などのリスクが高まったことには注意が必要です。そうした不正に対応するため重加算税の加重措置が設けられたことはお伝えした通りです。企業としても一定の社内規程を設けて対応する姿勢が求められます。例えば、以下のような規定の整備が推奨されます。
● 電子帳簿等保存のための経理規程
● スキャナ保存のための電子化保存規程
● 電子取引データ保存のための事務処理規程
こうした社内規程を整えられれば電子保存に関わるあり方や、規範としての社内ルールを従業員に示すことができます。
電子帳簿保存法対応は「請求管理ロボ」にお任せ!
電子帳簿保存法が改正され、企業の経理業務のデジタル化が促進されています。デジタル化には業務効率化やコスト削減、DX推進への対応などさまざまなメリットがあります。しかし、電子帳簿保存法の内容を正しく理解してデジタル化を進めていかないと、法令違反などの問題が発生してしまうかもしれません。
そうした思わぬトラブルの発生を未然に防ぐために、「請求管理ロボ」などのシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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加えて、SFA(販売管理システム)との連携により、自動で行われた請求業務の内容を会計システムに反映させることも可能です。これにより、煩雑なやり取りの削減と企業会計の透明化をサポートし、従業員がコア業務に専念できるようになります。
なお、コンビニ決済、クレジットカード決済、口座振替、銀行振込など、複数の決済手段に対応しているため、企業間取引のみならず、BtoC取引にも活用いただけます。
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