請求書の電子化とは?メリット・デメリット・やり方などを解説!
ビジネス環境のデジタル化が進む中、請求書を電子化する企業が増えています。しかし、電子化を検討する担当者の方にとっては、どのように電子化を実現するのか、どんなサービスを使用するのがよいのか、イメージが付きにくい点や不安に感じる点も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、請求書の電子化とは何なのか、そのメリット・デメリットについて電子請求書の発行側・受領側双方の視点でお伝えしながら、電子化を実現する際に重要なポイントについても解説します。
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請求書の電子化とは
請求書の電子化とは、紙の請求書をやめて、パソコンやスマートフォンで処理できる電子データに変えることです。専用のソフトやWEB上のサービスを使って請求書を作成し、PDFファイルなどの電子化したデータをメール・ファイル共有サービス・請求管理システムなどによって送付します。特に近年は、「請求書の電子化」という場合、業務を一括して自動化できる請求管理システムの導入を指すことが増えています。本記事でも、請求管理システムによる電子化を念頭に置いて説明します。
請求書の電子化が推進される背景
請求書をはじめとする書類の電子化は、これまで日本ではあまり進んできませんでした。しかし、この状況は新型コロナウイルスの流行によるテレワークの普及や、政府主導で行われた脱ハンコの動きにより、大きく変化してきています。
近年も、新制度の発足や法改正により、帳簿に関する法的要件が大幅に変更されました。以下に、請求書の電子化に影響のある動きをまとめました。
電子帳簿の保存要件が緩和
2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子化した国税関係書類を保存する際の条件変更が行われました。これにより、以前まであった税務署長の事前承認制度が廃止され、最低限の保存要件を満たす電子帳簿でも電子保存が可能となるなど、発行側・受領側ともに電子請求書を導入する際の負担が軽減されました。
インボイス制度の開始
2023年10月から、消費税額の明記を目的としたインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されました。これに伴い、売り手(請求書を発行する側)の課税事業者は、買い手(請求書を受領する側)にインボイスの交付を求められた場合、それに応じ、なおかつ交付したインボイスの写しを保存することが義務となりました。
一方、買い手の課税事業者は、仕入税額控除を行う際に要件を満たしたインボイスが必要になるため、記載内容に漏れやミスがないかよく確認する必要が生じることになりました。
このように、インボイス制度の開始によって経理担当者の負担が増加したため、業務を効率化するべく請求管理システムによる電子化への動きが加速しました。
電子取引記録の保存が義務化された
2024年1月から、国税関係書類が電子データによって発行された場合、受領側は紙ではなく電子データで保存することが義務となりました。また、これによって請求書の電子保存に対応できる環境を整える企業が一気に増えることとなりました。
電子請求書を発行する側のメリット
請求書を電子化することによってさまざまなメリットが得られます。まず、ここでは発行側の6つのメリットをご紹介します。
請求処理時間の短縮
紙で請求書を発行しようとすると、請求書の印刷・封入・郵送など、さまざまな手間と時間を要します。しかし、請求書を電子化すれば封入や郵送の手間がなくなり、請求管理業務を大幅に効率化して時間を短縮できます。特に、毎月の請求書発行請負数が多い会社は大きな効果が期待できるでしょう。
人的ミスの削減
請求書を手作業で取り扱っている場合には、人的ミスはつきものです。請求金額を間違えたり、請求漏れがあったりといったミスが発生することは珍しくありません。請求書を電子化すれば、請求書添付文面の作成、宛名書き、送り状作成の自動化によって人的ミスが起こりにくくなります。
また、電子請求書管理機能を持ったシステムを利用すれば、請求件数、未請求件数、入金予定額を画面に表示させて管理し、請求漏れがないかを確認することができます。さらに、請求書の金額を集計する際も、システムによってはデータの取り込みと仕分けを自動化できるものもあり、これらの機能を使えば手入力にありがちな転記ミスも発生しません。請求でミスをしてしまうと、企業の信用を著しく損ねてしまう可能性もあるため、人的ミスの削減は企業としての信頼維持にも役立ちます。
保管場所が不必要
紙で請求書を管理しようとすると、取引先へ送付した請求書と取引先から受け取った領収書の2つに区分し、それぞれ控えを保存して管理しなければなりません。また、請求書は税務関係の帳簿書類になるため、7年間の保管が義務付けられています。7年分ともなると相当な量となり、保管場所の確保には頭を痛めることでしょう。
これに対して、請求書を電子化すれば、紙で保管する必要がなくなります。加えて、検索機能などを活用すれば、確認が必要な過去の書類を容易に検出でき、探す手間を大幅に省くことも可能になります。
バックアップ体制の強化
請求書を電子化してデータをバックアップすることで、自然災害や火災などの緊急事態に遭遇した時でも資産の損失を最小限に留めることができます。そして事業の継続と早期復旧を可能にするためのBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策を行うことが可能です。
電子化されたデータは紙の書類とは異なり劣化することがありません。万が一使用している端末やサーバーが故障、盗難の被害にあっても、クラウドシステムを用いていればバックアップデータを復元することができます。
コストの削減
紙で請求書を発行すると、用紙代・インク代・封筒代・郵送代などの諸経費がかかります。特に2024年10月から、定形郵便物は25gまで84円、50gまで94円だったものが、50gまでを統合して110円に値上げされることになり、コストがより増えることとなりました。一方、請求書を電子化すれば、こうした諸経費をカットすることができ、税務上の課税文書の定義からはずれて印紙税も不要になります。
検索・再発行・修正にすぐ対応可能
紙の請求書の場合、再発行や修正を求められると再度の印刷や郵送が必要となり、手間も時間も要します。一方、電子請求書であれば、保存データをすぐに検索し、修正・再発行・送付を即行うことができます。
電子請求書を受領する側のメリット
次に電子請求書を受領する側のメリットをご紹介しましょう。
即日受領して処理できる
電子請求書の場合、郵送などにかかるタイムラグがないため、発行当日に受領し、すぐに承認することができます。また、記載に誤りがあった際でも、すぐに修正を依頼して即日再発行してもらうことも可能になります。
管理の手間を大幅に削減できる
電子請求書の場合、会計システムなどと連携させていれば、記載情報を自動的に入力してくれるため、データ管理にかかる時間や労力を大幅にカットできます。また、デジタルで一元管理されているため、監査時のデータ提出や確認作業などの管理業務も容易になります。
担当者のテレワークを実現できる
従来、紙の請求書を取り扱う経理担当者は、テレワークの導入が難しいとされてきました。しかし、電子請求書はPCと通信環境さえあれば、どこからでも請求書の受領ができます。ファイリング等の管理がいらずペーパーレス化になるとともに、ハンコなども不要になるため、テレワークの推進につながります。
電子請求書を発行する側のデメリット
請求書の電子化にはデメリットもあります。以下に発行側のデメリットを紹介します。
システムの導入コストがかかる
電子請求書の作成には、請求管理システムを用いることが一般的なため、導入コストがかかる点がデメリットといえます。しかし、紙の請求書を廃止した場合には印刷・封入・郵送などの手間やコストの削減が見込めるので、メリットとデメリットを多面的に比較することが重要です。
業務の流れを再構築する必要がある
電子請求書を導入するにあたり、これまで手入力や印刷をしていた請求書発行のときとは業務の流れが変わります。新しい業務の進め方について、マニュアル策定や社内研修などの対応が必要になる場合もあるでしょう。
電子化が困難な取引先もある
自社が請求書を電子化していても取引先が電子化に対応していないと、請求書を紙に印刷して送付するなどの非効率な業務が生じてしまいます。コストや業務効率を考えると、自社に合わせて電子化対応できる取引先を選ぶ必要性が出てきます。
電子請求書を受領する側のデメリット
次に電子請求書を受領する側のデメリットをご紹介しましょう。
「真実性」と「可視性」の確保が必要
電子請求書を受け取った場合、受領側は「真実性」と「可視性」の確保をしなければなりません。前者は保存する電子データが改ざんされていないことを証明することであり、後者は保存した電子データをいつでも検索・表示できる状態にすることです。
そして、この2つの証明には、電子帳簿等保存に関するポイント、請求管理システムなどを通じて電子取引されたデータの保存に関するポイント、紙の請求書をスキャナ保存する場合のポイントなど、状況によって要件が複数あります。これらの条件を満たすことが、電子請求書の受領側にとってハードルになります。
それぞれのポイントについては、以下の記事に詳しい記載があるので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。
請求管理システムを選ぶ際のポイント
請求管理システムを導入しようと考える場合、何を基準にサービスを選べばいいのでしょうか? 重要なポイントを6つお伝えします。
現在の請求業務における課題を洗い出す
システムの比較検討に入る前に、まず自社の請求業務が「どこに」「どんな」課題を現在抱えているのかを洗い出しましょう。請求担当者の悩みに限らず、決裁者や営業担当など関係者全員の課題も洗い出すことが大切です。
システム化のゴールを明確にする
請求業務の課題が洗い出せたら、その中で解決したいことに優先順位をつけ、それをもとにシステム化のゴールを明確にします。優先度の低い課題の順位は「現行の業務フローの社内改善で間に合うのか」「(顧客数増加が見込めるなどで)いずれはシステム化すべきのか」を基準に判断するといいでしょう。
サービス領域・機能をもとにシステムを絞り込む
システム化のゴールが決まったら、そこを解決する請求管理システムを絞り込みます。比較サイトでは集めきれない情報は、各サービスサイトの閲覧や問い合わせで集めましょう。
運用中のシステムとスムーズに連携できるか
システムを絞り込めたとしても、すぐに「価格が安い方に決定!」というわけにはいきません。よくある失敗が「せっかく導入したものの運用に乗らず、結局ほとんど使われなかった」という例です。こうした失敗をしないためにも、導入後の運用面の比較検討が不可欠です。まず、運用中のツール・他システムとの連携がスムーズにいくかを確認しましょう。
同規模・同業種の導入事例はあるか
機能や連携面で問題がなかっとしても、実際に導入となると「自社に本当にマッチしたシステムなのか」と不安になるものです。こうした不安を手軽に解消してくれるのがベンダー各社が出している導入事例になります。
導入実績(社数)だけにとらわれず、同規模・同業種の企業が導入しているかに注目しましょう。さらに請求管理システムにおいては、事例企業の請求タイプ(都度請求・定額請求・従量請求など)について注意を払う必要があります。システムによって得意とする規模・請求タイプは異なるためです。
カスタマーサクセス体制があるか・充実しているか
結局のところ担当者にとって気がかりなのは、オンボーディングやサポート体制が充実しているかではないでしょうか。ベンダーのカスタマーサクセス体制の有無を事前に確認しましょう。「カスタマーサクセス」とは「顧客の成功のためにサービスの価値を最大限引き出す支援部隊」です。顧客の疑問に答えるカスタマーサポートとは異なり、能動的に改善案を顧客に提示し成功へと導きます。
オンボーディングでは「使用中のシステムとの連携」「運用体制が整うまでのサポート」を実施してくれるととても心強いはずです。導入後のサポートでは、FAQやメールだけでなく電話や訪問などの制度があるかを事前に確認しましょう。こうした情報の入手は「問い合わせ」や「利用者のレビュー」が適切です。
電子請求書の導入を決定後にすべきこと
請求書を電子化を決めた際、社内外ですべきことがあります。以下で具体的に解説します。
取引先への案内文を送付する
請求書を電子化することが決まったら取引先へ案内文を送ります。余裕を持った案内を心掛け、移行開始時期の3ヶ月位前から案内を開始するのが望ましいでしょう。案内文には次の3点を盛り込むとこちらの意図がよく伝わります。
1点目は、請求書の電子化は決定事項であるということです。お願いやお伺いという形で案内すると「面倒だから対応しない」「よく分からないからやめておく」などと積極的に対応してもらえない可能性があります。はっきりと社の方針であることを明示することが必要です。
2点目は、電子化は社会の趨勢であるということです。現在の日本社会は全体が電子化へ向かって進んでいます。電子帳簿保存法の改正による要件緩和や、脱ハンコの流れを見ても分かるように、紙社会からペーパーレス化社会・電子化社会への動きは明らかです。今対応しないとこの動きに乗り遅れてしまう、これからは電子化する会社がどんどん増えていくといったことを伝えるようにします。
3点目は、双方にとってメリットがあるということです。発行する側の業務効率向上、コスト削減などのメリットだけでなく、受け取る側にとっても開封作業が不要、担当部署との迅速な共有が可能などのメリットを明示し、導入を後押しします。
社内の体制を整える
電子請求書に切り替える際には、社内で電子請求書の取り扱い方法についてルールを整える必要があります。また、電子請求書にまつわる制度や法律に沿った業務フローを確立することも大切です。
紙媒体で請求書を取り扱う場合は、印刷した請求書を上長に渡して承認のハンコを押してもらいますが、電子請求書ではクラウド上の請求書に電子印鑑を押してもらうといったように形態が変わります。加えて、その後の発送・保管・入金管理などについても、プロセスの見える化が求められます。
段階的に切り替えていく
長いスパンで考えれば、電子請求書は発行する側にとっても受け取る側にとってもメリットがあるものですが、だからと言ってある日突然電子化するのは容易に受け入れてもらえるものではありません。電子請求書に切り替える企業は増えているものの、中には紙の請求書を送ってもらわなければ、支払処理に取り掛かることはできないといった社内規定にしている企業も少なくありません。
一律に電子請求書に切り替えるのは現実的ではなく、例えば今期中は取引の30%を電子化、来期中に取引の50%を電子化などのように、段階的に切り替えていくと受け入れられやすいでしょう。
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加えて、SFA(販売管理システム)との連携により、自動で行われた請求業務の内容を会計システムに反映させることも可能です。これにより、煩雑なやり取りの削減と企業会計の透明化をサポートし、従業員がコア業務に専念できるようになります。
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