請求書には有効期限がある!売掛金が時効を迎えたらどうなる?

請求業務

掛売り取引においてやりとりされる請求書は、債権者側から見れば、書面に残すことで相手方に対し請求の事実を確定させる役割を持つ重要な書類の1つです。しかし、債権には民法の消滅時効の規定が適用されます。では、たとえ相手方に請求書を送付してあったとしても、未回収や請求漏れのまま時が過ぎてしまえばその代金(売掛金)の請求権を確定的に失ってしまうのでしょうか。

今回は、法律を根拠に請求書の時効について明らかにするとともに、代金が支払われない場合や請求漏れがあった場合の対処法とリスク回避のポイントについても解説していきます。

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請求書の時効とは

代金を支払ってもらうために送付する請求書ですが、請求書には有効期限(時効)が存在することを忘れないようにしましょう。時効が成立すると売掛金を請求する権利が失われ、代金が回収できなくなるおそれがあります。つまり、請求書の時効とは、売掛金が消滅する時効を意味します。

請求書の時効は何年?

請求書の時効の成立期間は、当該債権の発生が2020年4月1日より前の場合は2年、それ以降の場合は5年です。

これまで民法では、以下に該当する債権を2年間行使しないと時効により消滅すると定めていました(旧第173条)。

1. 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
2. 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
3. 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権

本条は、日常頻繁になされる取引における権利関係を早期に確定させる趣旨から、2年間という短い消滅時効を規定したものです。したがって、旧法によれば、未払いのまま支払期日の翌日から2年が経過してしまえば請求書自体も期限切れとなり、代金が支払われないことが確定していました。

しかし、2017年の民法大改正により、短期かつ職業別の消滅時効制度の廃止と債権の消滅時効期間の統一が図られました。そして、新民法166条1項1号により、原則として支払期日の翌日から5年で消滅時効になり、請求書の法律上の有効期限も5年に延びることになりました。新民法は2020年4月から施行されています。

請求忘れがあった場合の対処法

自社のミスで請求忘れがあったことに気付いた場合は、速やかに取引先に連絡して謝罪をしたうえで、請求書を再発行して支払いを依頼しましょう。請求忘れは相手に迷惑がかかることはもちろん、自社のキャッシュフローなどにも影響をきたします。請求情報の管理方法を見直すなどして、再発防止に努めましょう。

請求忘れについては、以下の記事も合わせてご覧ください。
▶「資金繰りにも悪影響!請求漏れを防ぐ効率的なやり方とは?

未払いの場合の対処法

請求書の未払いがある場合、時効が成立する前に適切な対処をする必要があります。以下のような手順で確認・対応を進めましょう。

・自社の不備などを確認する
・メールや電話で連絡する
・催促状を送付する
・督促状を送付する
・法的措置を取る

それぞれの流れについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

請求書の未払いに対する催促方法を解説!未払いリスクの軽減方法なども紹介

請求書の時効の延長はできるのか?

請求書の時効が迫っている場合、内容証明の送付や訴訟・支払督促を行うことで、時効の延長やリセットが可能です。なお、請求書を送りなおしただけでは時効を延ばすことはできないので注意しましょう。

内容証明書の送付による延長

内容証明書による請求書の送付は、民法上の時効中断事由の1つである「催告」にあたり、時効期間、すなわち請求書の有効期限を6ヶ月延長することができます。
ただし、催告から6ヶ月以内に裁判上の請求や差押、仮処分などの手続きをとらないと時効中断の効力が失われます。内容証明書の送付だけで時効中断の効力が確定的に得られるわけではないので注意が必要です。また、再度の催告による時効期間の延長も認められません。

訴訟や支払督促によるリセット

訴訟や支払督促など、裁判所での手続きを行う場合には、時効のリセットが行われます。長期にわたって支払いを行っていない相手方に対しては、支払いを求める訴訟(賃金返還請求訴訟)を起こすことが可能です。

自社が相手方に対して訴訟を起こすことにより、特別送達で「訴状」や「答弁書催告状」などが裁判所から相手方に通達されます。これらの書類が相手方に届いたことにより、進行していた請求書の時効を0に戻すことができます。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。