勘定科目とは?分類の仕方や仕訳方法について解説!
企業は利益を得るために、日常的に外部との取引や活動を行います。その日々の金銭のやりとりの情報を取りまとめ、記録し、帳簿にまとめることが経理担当の役割です。そんな帳簿作成の時のために必ずといって必要な「勘定科目」について、それぞれの分類方法や仕訳のしかたについて解説します。
勘定科目とは
勘定科目とは、会社の取引によって行われた取引の種類や分類のことを指します。企業内を出入りする金銭の流れに、わかりやすくインデックスや見出しをつけるようなイメージです。この勘定科目を使うことで、企業のお金がどのように入ってきたのか、そしてどのように出ていったのか、という流れがわかりやすくなります。勘定科目は「取引の理由付け」をすることとも言えます。誰が帳簿をつけて取引内容を記載したとしても、その内容がすぐに把握できるような役割を果たしています。
また、経営の判断の材料になることもあります。帳簿に記載した数字をもとにこれからの経営の改善点を考案したり、年度の終わりには「年次決算」として財務諸表を作成したりします。財務諸表は、企業が経営状況などを表すためにつくる資料のことです。その中でも「決算書」としてとりわけ重要なものが、資産状況をまとめた「貸借対照表」と、一定期間の経営実績を把握するための「損益計算書」です。これらの決算書を作成するためにも、勘定科目は重要な役割を果たします。
さらに勘定科目は税金に関する項目も多く、課税対象になるものも多岐にわたります。税金の計算を行うためにも、必要不可欠な要素です。
勘定科目の注意点
経理業務において勘定科目は重要なポジションにあります。なるべくわかりやすい帳簿作成を行うために、ここでは、勘定科目を利用する際に気をつけておきたいポイントを解説します。
勘定科目の決め方は自由
勘定科目は「この場合はこの勘定科目を必ず使わなければならない」といった絶対的なルールは原則存在しません。企業ごとに自由に設定したり、特殊な取引が発生して該当するものが見当たらないという場合は個人で考案したりすることもできます。
そのため、同じ取引内容だったとしてもA社とB社では勘定科目が異なっている、という場合もあります。法律でこうすべきという定義がない以上、流動的な性質であるということを覚えておきましょう。
誰が見てもイメージしやすい決め方を
勘定科目の決め方にルールがないとはいっても、すべて自分好みにカスタマイズするということはおすすめできません。なぜなら、勘定科目は取引内容を明確にするために用いられるものだからです。また、事業を経営するにあたっては税務署や金融機関など、企業外に経営状況を把握してもらう機会が訪れます。そのため、一般的に広く浸透している、誰が見ても把握してもらいやすい勘定科目を利用することが重要です。たとえば、所得税青色申告決算書で使用されているものは、一般的に広く普及している勘定科目であるといえます。
一貫して使用する
それぞれの勘定科目を期間によって比較できるようにするために、一度使った勘定科目はそれ以降も継続して使用しましょう。取引のカテゴリになる勘定科目が一定でないと、決算書での正確な集計や、管理会計での分析・比較などが行えなくなってしまいます。これを「継続性の原則」と呼び、毎期継続して利用することが原則となっています。
ただし、例外として業務形態が変わった時などは勘定科目を変更する場合があります。例えば、取引の回数や金額が少なく他の勘定科目に含めていたものが、形態の変更により取引が増えた、などの場合は適宜修正や見直しを行うと安心です。
勘定科目の主な種類
勘定科目と一口に言っても、実に多くの種類があります。決算書を作成するには、どの勘定科目がどういった動き方をするのか把握することが大切です。また、使用頻度の高い勘定科目を帳簿に記載することで、より理解の得られやすい書類作成に繋がります。どの勘定科目がどういった種類分けをされているのか、基本的な仕組みを学んでみましょう。
簿記の五要素
勘定科目は、「簿記の五要素」と呼ばれる5つのグループに分けて考えることができます。これは、後述している勘定科目を利用して作られる決算書と連動している考え方になります。どの勘定科目がどのグループに分類されているのかを把握することで、決算書など重要な書類の記載への理解がぐっと深まります。それでは5グループの分類方法と、その中の一例を見ていきましょう。
<資産>
資産は、所有していると企業運営に役立つもの、または将来的に役立つであろうもの、財産となるグループになります。資産には、売掛金や貸付金などの無形資産と、土地や建物などの有形資産の二種類があります。換金、回収することで現金化できる可能性があるものは資産にあたります。
・現金、普通預金、定期預金、売掛金など
・受取手形など
・建物、車両運搬具、土地など
<負債>
負債は、企業の支払い義務があるものを指します。銀行からの借入金や、「ツケ」で購入した債務などが該当します。また、会計期間内に支払い期限が到達する債務を流動債務、期間外の場合は長期債務と呼びます。
・買掛金、支払手形など
・未払金、預り金など
・借入金など
<純資産>
自己資本ともよばれ、事業を開始するにあたり発生した元手、いわゆる資本金などが純資産に分類されます。これは経営者自身や他人からなど出どころは関わらずまとめて計上されます。さらに、事業が軌道に乗った際に生まれたお金は繰越利益余剰金とよばれ、こちらも純資産に入ります。
・資本金、資本準備金など
・元入金など
<収益>
収益は商品の売買やサービスの提供などで企業が獲得した収入で、資本を増やす元になるもののことを指します。このグループの代表格は「売上」です。企業が運営を続けていくためには、収益はなくてはならないものです。他社の株式を持っていた場合、受取配当金などもこの収益に含まれます。「利益」と混同されがちですが、利益は売上高から後述する費用を差し引いた額のことを指すので、利益は収益の一部といえます。
・売上
・受取利息、受取配当金など
・雑収入など
<費用>
会社が収益を得るためには、さまざまな費用も発生します。資本を減らす要因になりうるもので、材料の仕入や就業する従業員への給与手当、交通費などもこの費用に含まれます。しかし、企業から出ていくお金すべてが費用となるわけではないので混同しないようにしましょう。このグループに分類されるのは、あくまで収益を出すために直接かけられた取引のことを指しています。
・仕入高
・給与手当、役員報酬など
・交際費、会議費、接待費など
・事務用品費、通信費、消耗品費など
勘定科目を利用する簿記の種類
「帳簿に記録すること」を広義的に簿記と呼びます。何を記録するのかというと、「金銭やものの出入り」です。企業では、毎日の活動によってさまざまな要素が変化していきます。簿記では、この変化について記帳を行います。日々企業活動で発生した取引ややりとりは帳簿を使って行われますが、この内容は「現在どのような状況か(ストック)」と「どのような活動を行ったのか(フロー)」ということが中心になります。そして、帳簿をつけるときにわかりやすいインデックスの項目を書き添えるのが勘定科目というわけです。
ここからは実際に勘定科目を使用する「簿記」とはどういったものなのかご説明します。
単式簿記
簿記は大まかに分類すると「単式簿記」と「複式簿記」に分けることができます。「単式簿記」は、一度の取引を1つの勘定科目で記帳する方法です。
たとえば「給与収入 30万円」などという場合です。家計簿やお小遣い帳もこの単式簿記にあたります。記入も簡単でわかりやすいことが特徴ですが、結果の財源残高がどうなったのか把握できないという欠点があります。先程の例の場合、給与収入が30万円増えたとしても、その結果資産合計がいくらになったのかまでは把握できず、情報としては不十分になってしまいます。
複式簿記
一方で、「複式簿記」は、名前の通り2つ、もしくは2つ以上の勘定科目を組み合わせて記帳する方法です。単式簿記より複雑になり多少手間がかかりますが、アプリケーションなどを駆使すればスムーズな記帳が可能になります。
こちらも例を出すと、「電気代を1,000円現金で支払った」という場合の記入方法は「水道光熱費 1,000円 / 普通預金 1,000円」となります。単式簿記とは異なり、取引の結果財政状態がどのように変化したのかを把握することができるようになりました。このとき、左側に来た項目を「借方」、右側に来た項目を「貸方」といい、取引の要素を借方と貸方に分類し、勘定科目と金額の内容を帳簿に書き記すことを「仕訳」といいます。
「仕訳」の方法
「仕訳」は取引を2つの視点から捉えて見ることによって、何が増えたのか、そして反対に何が減ったのか明確にすることができます。複式簿記では、前述した「簿記の五要素」を使って、仕訳により以下の8項目を表現することができます。
1.資産が増えた
2.資産が減った
3.負債が増えた
4.負債が減った
5.純資産が増えた
6.純資産が減った
7.収益が発生した
8.費用が発生した
簿記の目的は、「一定時点の財政状況を明らかにすること」、そして「一定期間の経営成績を明らかにすること」という2つが挙げられます。これらの目的のために簿記にはさまざまなルールが設けられ、帳簿の記録や資料の作成などの手続きを行います。ここからはその2つの目的のために、仕訳を利用して作成される2つの決算書について説明します。
貸借対照表
貸借対照表は、簿記の五要素のうちの「資産」「負債」「純資産」の要素で成り立っている表です。借方には現金や売掛金といった資産項目を記入し、貸方には買掛金や借入金などの負債、資本金などの純資産が入ります。借方と貸方の金額を一致させて表す表であることから、英語では「バランスシート」とも呼ばれます。つまり、資産から負債を引いて残った金額が純資産ということになります。
損益計算書
損益計算書は、簿記の五要素のうち残りの「費用」「収益」の2つの要素で成り立っている表です。借方には費用が、貸方には収益が記入され、この差額を利益として算出することができます。費用には、売上原価や給与手当、広告宣伝費などが含まれ、収益には売上高や利息などを記入します。このとき、利益がプラスならば黒字、マイナスならば赤字ということになります。
双方の関係性
貸借対照表と損益計算書はそれぞれが独立したものではなく、密接した関係性を持っています。通常、損益計算書の「収益」が増えると貸借対照表の「資産」が増え、「費用」が増えれば「資産」が減ります。
迷いやすい勘定科目
ところで、勘定科目には明確なルールがないというのは前述した通りです。選び方や勘定科目の項目の選び方はその企業ごとによって異なるため、「この場合は何の勘定科目を当てはめたらいいのだろう」と悩んでしまうこともあるかもしれません。そのような時のために、ここでは迷いやすい勘定科目の例を列挙しました。
会議費と交際費
会議費と交際費は、どちらも飲食代が含まれることが多く混同しがちです。飲食代自体はどちらでも間違いではないのですが、目的によってどちらの勘定科目を使用するかが変わってきます。「会議費」は社内会議や取引先との打ち合わせで発生した場所代、資料代や飲食代などの費用のことを指します。レンタルオフィスや機材、会議でふるまわれた茶菓子代などがこれにあたるでしょう。
一方、「交際費」は取引先や得意先、仕入先などの社外の事業関係者に対して、接待・慰安・贈答などのために使用された費用のことを指します。会議ではなく、あくまで懇親を図るための費用は交際費として計上されます。お中元・お歳暮などの贈答や懇親会費などが当てはまるでしょう。
雑費と消耗品費
消耗品の費用は雑費として計上するか迷うケースも出てくるかもしれません。しかし、消耗品費として計上するためには「10万円以下、もしくは耐用年数が1年未満のもの」を購入した場合という条件があります。これに該当する文房具類や事務用品といった少額の費用は、なるべく消耗品費として処理するようにしましょう。ちなみに、どちらの条件も満たさない備品や消耗品の場合は、後述する固定資産として計上されます。
雑費は、使用用途が不明確な勘定科目です。後から帳簿を見返すときに支出の内容が理解しにくくなってしまうため、当てはまる勘定科目があれば積極的にひと目でわかる別の勘定科目を利用するようにしましょう。ちなみに雑費として計上する場合は、粗大ごみ代や引っ越し代など、少額かつ利用頻度が低い費用として計上することが一般的です。
固定資産
固定資産は一般的に企業の事業に用いられる建物や機械設備など、10万円以上の費用がこれにあたります。しかし、10万円以上20万円未満の資産の場合は「一括償却資産」として、消耗品費として計上されるので注意が必要です。また、時間経過とともに価値が損なわれてしまう資産については、「減価償却」として耐用年数に応じて費用として算出することもあります。減価償却の方法は年数や取引金額などの規則が細かく定められており、これに従って計上する必要があります。
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勘定科目を利用する帳簿上の仕訳業務は、経理業務の必須業務です。仕訳を行う経理処理は、「今どのくらいの資産があるのか?」「どの程度儲けが出ているのか?」といった、企業の運営にかかわる財源の動きを把握するために重要な役割を持ちます。これが日次業務、月次業務として、毎回帳簿に手作業で記入をしていくのは非常に時間と労力を要します。そこで導入をご検討いただきたいのが「請求管理ロボ」です。
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