【保存版】売掛保証の基礎知識からサービスを選定するポイントまでを解説!

請求業務

ビジネスにおいて、長年の取引先であってもある日突然経営難に陥り、残っている売掛金の回収見込みが立たなくなるケースは時折あります。高度な情報化・国際化が進み、商取引や情勢の変化がより流動性を増した昨今の経済界では、そうしたリスクにはなおさら注意しなければなりません。そこで、先手を打ったリスク管理対策として有効なのが「売掛保証」の利用です。

本記事では、売掛保証の基本から利用するメリット、利用上の注意点、選定のポイント、実際の利用の流れについても詳しく解説します。

売掛保証の基本を学ぼう

まずは「売掛保証」についての概要と、取扱業務が似ているほかの2つのサービス「ファクタリング」「請求代行」との違いをご説明します。

売掛保証とは

売掛保証とは、取引先の資金繰りの悪化や倒産など、何らかの理由で支払いが遅延したり回収見込みがなくなったりした場合に、取引先に代わって売掛金保証をしてくれるサービスのことです。
これにより売掛金の未回収が発生した場合でも損害が補填されます。欧米ではかなり以前から未回収リスクを低減させる防衛策として売掛保証が広く認知されており、近年日本でも積極的に活用する動きが広まっています。

売掛保証とファクタリングの違い

売掛保証と一見似通っているサービスに、「ファクタリング」というものがありますが、この2つには明確な差があります。
売掛保証とファクタリングの違いは、売掛債権の所有者が誰であるかという点です。

売掛保証では、売掛債権は自社が保有したまま、未回収分の売掛金を保証会社が保証します。そのため、保証金を受け取った後でも、取引先への未回収金の請求業務そのものは、引き続き自社で行っていくことになります。また、取引先の入金遅延や倒産など、保証会社へ保証金を請求できるのは一定の事由が発生した場合に限られており、自社が任意のタイミングで資金を受け取ることはできません。ファクタリングと比較してリスク回避の性質が強いサービスといえます。

対してファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に売却したうえで、ファクタリング会社が取引先への請求を行います。そのため、自社は売掛債権にかかわる請求業務を手放すことができます。また、ファクタリング会社によっては最短即日入金というところもあり、現金化されるまでの速さも特徴です。売掛保証と比較して資金調達の性質が強いサービスといえます。

ファクタリングについては、以下で詳しい解説をしています。

ファクタリングとは?意味や仕組みを解説

売掛保証と請求代行の違い

売掛保証のほかに、与信取引の関連業務を取り扱うサービスとして「請求代行」というものも存在します。
請求代行は、与信管理・審査請求書の発行・送付、入金確認・消込、遅延時の催促といった請求業務フローを代行してくれるサービスです。経理業務の一部または全部を外注するサービスであることから、売掛保証とは趣が異なります。

また、売掛債権そのものを譲渡して取り扱ってもらうわけではなく、サービス提供会社が代行するのはあくまで経理業務であることから、ファクタリングとも全く異なるものです。

ただし、代行内容に与信管理・審査業務が含まれている請求代行サービスの場合は、利用時に必須となる売掛保証サービスが一緒に組み込まれているケースがあります。この場合は入金遅延時の催促に留まらず、未回収時の売掛保証までも請求できるため、広義の売掛保証サービスとして利用が可能でしょう。

請求代行については、以下で詳しい解説をしています。

請求代行サービスとは?代行できる業務や活用メリット、外注先の選び方など徹底解説

売掛保証のメリット

売掛保証を利用することで得られるメリットは、主に以下の3点です。

未回収リスクを解消できる

まずは、未回収リスクを解消できるという点です。

企業にとっては、売掛金が回収不能となる事態は最も避けたいものの一つです。特に個別の取引金額が大きく、かつ取引先の少ない企業であれば、取引先がたった1社倒産しただけで会社の存続にかかわるほどの損害を被る可能性もあります。

債権を100%保全できる手段はそう多くないため、取引先が万が一倒産してしまった場合のリスクを考えると、売掛保証の利用は有力な選択肢といえるでしょう。

与信管理業務を効率化できる

売掛保証を利用し、与信管理業務を外部へ委託することで業務効率化を図れるのもメリットの一つです。なお、信用取引に必要な与信管理には、事前の調査や分析の時点からかなりの労力と専門知識を要求されます。

専属の部署を設けて、調査に工数を宛てることができる大企業であればともかく、中小企業や個人事業主では、人材面・コスト面の課題から難しい場合も多いでしょう。また、得られる取引先の内部情報にはどうしても限りがあるという問題もあります。

しかし、売掛保証会社へ依頼すれば、自社から人員も労力も割くことなく、専門家の見地から取引先の与信判断をしてもらうことができるのです。企業はその分本業に集中することができるため、全体の生産性の向上にもつながります。

取引先に知られることなく契約できる

最後は、取引先に知られることなく契約できるという点です。売掛保証では基本的に取引先へ直接聞き取り調査をしたり、連絡を取ったりすることはありません。そのため、取引先から「信用調査を行っているのではないか」という、不信感を抱かれる心配もせずに済みます。

特に長年築き上げた信頼関係のある取引先であればあるほど、関係にひびが入るような事態は避けたいものです。相手方に気取られることなく自社のリスクを低減できるのであれば、それは大きなメリットといえるでしょう。

売掛保証の注意点

このように、万が一の備えとしてメリットの多い「売掛保証」ですが、注意点もいくつかあります。以下、注意点について一つひとつ解説します。

取引先の与信審査が必要

売掛保証は無条件に受けられるわけではなく、保証契約の締結前には取引先に対する与信審査が実施され、この審査に通らなければ利用することができません。審査に通らない企業は将来的な安全性が低い、すなわち既に経営状況に何かしらの問題を抱えた企業である可能性が高いため、保証なしでの取引継続にはリスクが伴います。

また、保証会社への登録前に発生した債権は基本的に対象とならないほか、既存の売掛金に支払い遅延がある場合、その取引先を保証会社へ登録すること自体が不可能な場合もあります。そのため、売掛債権を保全したい取引先については、先方の経営が傾く前にあらかじめ保証申込をしておきましょう。

なお、売掛金の回収サイトが長い、取引金額が大きい、または直近の決算が赤字で業績悪化の兆候が見られる取引先などは、審査を通るのが難しいため注意が必要です。

支払保証を受けるまでに手間がかかる

実際に入金遅延や取引先の倒産が起こった際の会社の損害を考えれば、少しでも早く保証金は入金してほしいというのが本心です。しかしながら、保証金の申請手続きは、ワンクリックや電話1本で完了というわけにはいきません。

まずは保証会社へ、発注書や取引先元帳といった、保証対象となる債権を特定するための書類を送付する必要があります。スピード重視の一部ファクタリング会社などとは違い、即日入金とはならないため注意しましょう。入金までの期間は保証会社によって異なりますが、数週間程度の時間を要するのが一般的です。

手数料が発生する

売掛保証にかかる手数料は、与信審査の結果に基づく売掛金回収リスクによって変動するサービスがほとんどです。手数料の平均は5~15%ほどといわれていますが、取引先のリスク査定によっては、想定よりも負担が大きくなる可能性もあります。

また、個人事業主や小規模企業は、大企業と比較すると破綻の懸念が大きい傾向にあります。そのため、個人事業主や小規模企業を取引先とする売掛保証は、保証会社の負うリスクが大きく、手数料が高額になりやすいということを覚えておきましょう。

売掛保証サービスを選定するポイント

一口に「売掛保証サービス」といっても、実際に自社に合うサービスとはどんなものなのか、分からない方も多いでしょう。こちらでは、売掛保証サービスを選定する上で特にチェックしておきたいポイントを、3つに絞ってご説明します。

料金体系が予算に合っているか

売掛保証サービスの料金体系には「月額制」と、支払い対象となる保証金額に応じた「利率払い」、またはその両方が組み合わさったものが存在します。さらに、保証される売掛債権の総額の上限や登録できる取引先の数など、保証内容によっても変動する場合があります。
月額固定費のみのサービスが適しているのか、それとも固定費を抑えて有事の時だけコストがかかる形式がよいのか、自社の予算や取引状況に合わせて選ぶのがポイントです。

保証内容がニーズにマッチしているか

保証会社によって保証内容や範囲はさまざまです。入金遅延の段階から対応してくれるところもあれば、倒産や民事再生にまで至った場合のみ保証されるなど、対応可能な範囲や保証金額は、各サービスで差があります。ちなみにこの差は、手数料の金額にも反映されている場合がほとんどです。

未払いの発生を想定した時、どの段階で保証会社に対応を希望するのかによって適切なサービスが異なるため、選定基準として希望を明確にしておくことが重要です。

また、取引金額が少ないのに保証金額無制限のプランを選んでしまったり、逆にコスト増大を恐れるあまり取引額に対して補償金額が少額すぎるプランを選んでしまうと、望んだ費用対効果が得られない場合があるので注意しましょう。

いかに保証内容が自社のニーズにマッチしているかが、売掛保証サービスを選ぶにあたっての大きなポイントとなるのです。

保証体制は万全か

一企業である以上、保証会社も経営難に陥ったり、倒産したりしてしまう可能性はゼロではありません。そのため、保証会社から売掛債権への保証とはまた別に、依頼する保証会社自体が信頼性を担保できる体制になっているか、併せて倒産時の保証があるのかも確認すべきです。

具体的には、単独で売掛債権の保証を行っている保証会社よりも、金融機関やほかの保証会社と連携し、外部のバックアップを得ている保証会社のほうがより安全といえるでしょう。

売掛保証サービスを利用する際の流れ

こちらでは、実際に売掛保証サービスを利用する際の流れについて、順を追って解説します。

会員登録する

企業または個人事業主として、売掛保証サービスにアカウントを登録します。アカウント登録自体は無料の場合が多くなっています。

取引先を登録する

取引先を初回登録する際には与信審査があります。保証会社は提携するリサーチ会社や信用情報機関などから情報を集めますが、利用者側も同時に、取引先の企業情報・取引内容・決済方法などの取引関連情報を提供する必要があります。

保証が開始される

書類の提出が済むと、後日審査結果が通知されます。適格債権で与信通過と判断されれば、該当する取引先についての保証を受けることが可能となります。その後、保証会社へ保証依頼を行い、設定した保証開始日を過ぎると保証が開始されます。

未払い報告をする

保証期間中に取引先の未払い・入金遅延・倒産といった事由が発生した場合は、保証会社へ報告し、所定の書類と添付資料を提出して保証金を請求します。取引内容・保証会社によって必要書類は異なりますので、しっかりと確認してから準備するようにしましょう。

保証会社から入金される

請求手続きが完了すれば、あらかじめ申請しておいた口座へ売掛金相当額の保証金が入金されます。

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加えて、入金情報についても、ダッシュボードで取引先の滞納・未収金状況をリアルタイムで確認できます。メール開封履歴・入金履歴など各取引先の状況についても確認ができ、社内での情報共有もスムーズです。

これまで弊社は、決済代行業として20年以上にわたり、事業を行ってまいりました。その実績に基づき、弊社審査において適格債権と判断され、かつ与信通過した債権については、入金遅延・貸し倒れが起きた場合にも、売掛金を100%保証しております。
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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。