督促状の正しい書き方をご紹介!支払いがない・届いた場合の対処方法も!
企業間で取引を行っていると、期日になっても取引相手から代金が支払われないということも起こり得ます。取引が発生した時点で、売り手側には債権が発生しているため、早めの対処で回収を行いたいものです。代金を回収する際に重要な役割を果たすのが、速やかに支払いを促すために取引先に送付する「督促状」です。
この記事では、督促状はどのような体裁で書けば良いのか、督促状を送っても支払いが行われなかった場合はどうすればいいのか、といった督促状にまつまわる情報をまとめて解説します。さらに、「督促状がもし届いてしまったら?」という疑問にもお答えしていますのでぜひご一読ください。
督促状とは
督促状とは、代金の未払いや借金の返済を促す際に発行する書類のことを指します。定められた返済期日までに支払われなかった借金を返済してもらうために、相手方に対して返済義務の履行を求めるようにするために使われるものです。
督促状はハガキや紙媒体の書類として郵送されることが一般的ですが、「紙媒体でなければならない」といった法律は存在しません。そのため、メールやインターネット上の管理システム、SNSなどを利用した場合も督促としての性質を有しているということになります。ただしこの場合、発信者・受信者、そして督促の内容が明確であるということが前提条件です。
商取引の場では催促状と2段階に分けて送る
督促状と混同されがちな書類として、「催促状」というものもあります。催促状もまた取引先などに向けて定められた期間売掛金やサービス、商品ほか代金の入金がなかった場合に支払いを促す文書です。
督促状との違いとしては、催促状には「法的拘束力がない」という点で、あくまで未納の代金の入金に対しての催促のみを通達する文書です。一方で、督促状はより強く支払いの未納について言及することができ、支払いがなかった場合は支払督促などの法的措置をとるという旨を記載できます。
支払い期日に遅れたことが発覚した場合はまず「催促状」を送付し、それでも支払いの動きがみられなかった場合は「督促状」を送るという流れが一般的です。
督促状の法的な効果とは
それでは、督促状がもつ法的効力とはどのようなものがあるのでしょうか。
・時効を阻止できる
民法153条において、「催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」と定められています。
また、民法150条では催告から6ヶ月を経過するまでは時効が完成せず、時効の完成が猶予されている期間の再催告は時効の完成猶予の効果を要しないとしています。
つまり、督促状の送付によって6ヶ月間は時効の完成を食い止められる効果があるということです。時効の消滅を食い止めたい場合は、この期間内に訴訟提起や支払督促といった法的手段を検討することになります。
しかし、督促状における法的効力は、上記のように「時効を6ヶ月の間食い止めることができる」という点のみです。つまり、督促状を送付したからといって支払いの権利義務がすぐに発生することもなければ、差し押さえといった実力行使が使えるというわけでもありません。
督促状の書き方
次に、実際に督促状を送付するという場合にどのように書類を作れば良いのか見てみましょう。
督促状の基本構成
基本的に督促状に記載する内容は以下のようになります。
・宛先
企業対企業の取引の場合、宛先は企業名としますが、ケースに応じて支店名や部署名を記載します。また、個人宛で会費や商品代金の支払いを促したい場合は、個人名を記載するのではなく「◯◯会員様」とすることで形式的な印象になります。
・発行日
日付に関しては、督促状の発行日または送付日を記載しましょう。これは先方からお詫びや支払いに関する連絡があった場合に、督促状の指定が容易になるためです。
・差出人
会社名、担当部署、担当者および上役の記名と捺印をしましょう。記載する位置は督促状の最上部右側です。
・表題
「督促状」と表記するとインパクトがあるうえに、やや事務的な印象を与える効果がある一方で、心理的なプレッシャーを感じさせる効果もあります。もう少し柔らかい雰囲気で送付したい場合は、「お支払いのお願い」などと表記するとよいでしょう。
・支払要求
督促状には「何の件についてか」「いくら支払いがあるのか」「支払いの期日はいつか」「支払い予定はいつか」を具体的に書き記します。これらの情報は特に間違いのないよう、事前によく確認しておきましょう。
・法的措置に言及
今回の督促状の送付をもってしてもなお支払いがなかった場合、支払督促などの法的措置をとるということも考えられます。そのため、こちらが検討している次のステップについて督促状にて告知しておきましょう。同時に、遅延に際してかかった再請求などの費用も明記しておく必要があります。
督促状の書き方・テンプレート
督促状の作成において気をつけるポイントは、支払いをうっかり忘れていたなどの理由で相手に非があったとしても、丁寧な表現でわかりやすく明記するという点です。あくまで事務的に催促を行い、誠意ある対応を行うためにも文中は節度ある内容を心がけましょう。
以下では督促状の文例をご紹介します。このような文例は、あらかじめテンプレートとして作成しておくと何度も作り直す手間が省けるので、1度作成したら社内共有するようにしておきましょう。
令和◯年◯月◯日
株式会社 ◯◯
◯◯部 氏名 印
株式会社 ◯◯ 御中
(もしくは ◯◯ 様)
督促状
(もしくは◯◯お支払いの件について、など)
拝啓
御社におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
さて、早速ではありますが令和◯年◯月◯日付にて弊社よりご請求申し上げました◯◯の代金につきまして、本日時点で入金の確認ができておりません。
貴社との契約では◯◯は本日がお支払いの締切日より1週間となっておりますが、弊社といたしましても帳簿整理等の都合がございますので、お支払いいただくようお願い申し上げます。
ご多忙の折、大変恐縮ではございますがご確認のうえ、いつまでにお支払い頂けますか、ご連絡をいただけると幸いでございます。
つきましては、◯月◯日までにお支払いを頂けない場合、誠に遺憾ではございますが弊社といたしましても法的措置を取らざるを得ませんことをご承知おきください。
なお、ご送金が本状と行き違いになっておりましたらご容赦願います。
取り急ぎまずはご連絡を申し上げます。
敬具
督促状の送付方法
文書の内容が完成したら、いよいよ督促状を送付する段階に入ります。催促状や督促状は、一般的には普通郵便で送付します。督促状のほかには催促を要求する内容の請求書やそのコピーを同封しましょう。このとき、請求書には「再発行」という印を押しておくと、先方の二重計上を防止できて親切です。
封筒の表書きには、こちらも内容物を明確にするために「督促状」「お支払いに関するお知らせ」などの朱書きをします。
督促状を出しても支払いがない場合の対処法
もし、督促状を先方に送付しても支払いがなかった場合は、支払督促などの法的措置を検討することになります。
まずは内容証明郵便で送付する「催告書」を作成しましょう。内部証明郵便とは「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰に差し出したのか」という内容を証明する郵便物です。指定された郵便局でのみ取り扱いがあり、この方法で文書を送付すると消滅時効を半年間延長できます。そのため、通常郵便で送付した督促状よりもより強い拘束力を発揮することになります。
催告書によっても代金が回収できなかった場合は、「支払督促」を行いましょう。支払督促は裁判所に申し立てを行い、裁判所から先方(債務者)に対して督促通知を送付するというものです。支払督促は直接裁判所に出向する必要もなく、費用も安いため迅速に支払いを遂行してもらいたい場合にはよく用いられる方法です。
裁判所からの支払督促に対しても効果がなかった場合は、裁判や差し押さえといった強制執行に移ります。強制執行で財産の対象となるのは、預金や商品、車両、生命保険の解約返戻金、貸金庫の内容物などです。そのため、事前に財産の有無を確認してから法的措置を講じる必要があります。
また、裁判の判決が出る前に資産を隠すことを防ぐために、仮押さえを行う必要があります。しかし、民事訴訟などの裁判を起こすには時間と費用がかかるため、回収が見込める金額と比較しながら対応を検討する必要があります。
督促状が届いた場合の対処法
ここまで督促状の書き方についてご紹介してきましたが、受け取る側になることも考えられます。ここからは、督促状が届いた場合どうすれば良いのかという対処法をご紹介します。
指示された期限内に支払いを行う
「文例」の項目でご紹介した通り、督促状には「いつまでに支払ってください」という内容の指示が必ず含まれています。最も穏便に済む方法は、提示された期日までに支払いを終えることです。支払いをうっかり忘れていたなどの理由で、督促状が送られた段階ですぐに支払いを終えればトラブルに発展することはまずありませんし、遅延による損害金なども少額で済む場合が多いでしょう。
また、期日に間に合わない場合は支払うことのできる期日、支払う意思があるのかどうか、もし遅れてしまう場合はその理由をきちん伝えましょう。これらを明言しておくのと何もしないのとでは、取引先からの信用が大きく変わってきます。
また、代金を支払うことができないといった場合もそのままにせずに、取引先に連絡を取るようにしましょう。
支払いができない場合は取引先へ相談する
支払いができない理由や内容によっては、分割での返済や支払い猶予を長く設けてもらえる場合もあるかもしれません。もし督促状を無視してもそのまま支払いに応じなかった場合は、最終的には強制執行へと繋がるおそれがありますので注意しましょう。
もしも連絡をして話し合いで解決しなかった場合は、「任意整理」を検討します。任意整理とは、買掛金の減額や分割での支払いを要請するものです。手続きは先方へ直接話し合いを持ちかけることもできますが、知識がない場合は司法書士や弁護士などの専門家を介して行った方が良いでしょう。
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