限界利益とは?本質的な理解をして経営分析へ活用
「限界利益って何のことだろう?」「限界利益について知っておいた方がいいのかな?」会計用語には専門的なものが多く、理解するのはなかなか大変です。とはいえビジネスを成功させるためには、意味するものをきちんと掴んでおく必要があります。限界利益も、知っておきたい重要な会計用語の1つです。その概念をしっかりと理解し仕事に生かすことができるよう、限界利益について詳しくご紹介します。
限界利益とは
限界利益とは、企業の利益を表す数値の1つです。この数値は様々な場面、たとえば企業が事業を継続すべきかどうか、判断するようなときなどに使われます。また、損益分岐点の計算に使用されることもあります。そのため限界利益について正しく知り、理解してビジネスに用いるのが大事です。そうしないと、業務に支障が出るかもしれません。では限界利益とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?
概要
限界利益とは、商品やサービスを販売したときに直接得られる利益のことで、売上に連動して増減します。限界利益がなぜ大事かというと、事業の継続の見込みを立てる際に基準となる数値だからです。限界利益が黒字なら、事業の継続は望めます。反対に限界利益を算出した段階ですでに赤字の場合は、その事業の継続は厳しいと言わざるを得ません。このように限界利益を知ることで、事業の継続の判断をより明確に行えるようになります。
計算方法
限界利益の計算方法は簡単です。売上高から変動費を引くことで求めることができます。式としては、限界利益=売上高-変動費となります。たとえば全体の売上が100万円で変動費が40万円の場合、限界利益は60万円です。売上が100万円で変動費が120万円なら、限界利益は20万円の赤字となります。限界利益が赤字だと、事業を継続しても赤字が増えるだけです。限界利益が赤字にならないようにするには、売上を伸ばすか変動費を減らす必要があります。
商品やサービスを販売する場合、変動費とともに必要になるのが固定費です。限界利益は増減しますが、固定費は変わりません。固定費が50万円だとすると、限界利益が30万円でも70万円でも固定費は50万円のままです。限界利益が固定費の50万円を超えれば、固定費の全額回収が可能になります。つまり限界利益は、固定費の全額を回収できる地点を示す指標の1つでもあるのです。
限界利益率との違い
限界利益と混同しそうになる会計用語に、限界利益率というものがあります。限界利益率は、売上高に対する限界利益の比率を表しています。たとえば売上高が120万円の場合、限界利益が75万円なら限界利益率は75÷120の62.5%です。このように限界利益と限界利益率には明確な違いがあります。限界利益率は売上高が増減したときに、どれだけ限界利益が変動するかを表した数値と言うことも可能です。限界利益率が高くなればなるほど、売上高の増加による限界利益の増加も大きくなります。そのため限界利益率は高い方が、一般的には良いとされています。
売上が多い方が、単純に利益も多くなると思ってはいませんか?しかし、いくら売上が多くても限界利益率が低くては、それほど利益にはつながりません。売上が同じなら、限界利益率の高い企業の方が直接得られる利益が多くなります。このように限界利益率は、利益を得やすい企業かどうかを示す指標の1つだとも言えるのです。”
営業利益との違い
企業の利益を表す会計用語には、営業利益というものもあります。営業利益とは、企業が本業で得た利益のこと。売上高から売上原価を引いたものが粗利(売上総利益)ですが、この粗利から必要経費(販売費や一般管理費)をさらに引いたものが営業利益です。限界利益とは、必要経費に含まれる固定費の扱いに違いがあります。固定費までを引いたものが営業利益で、固定費を引いていないのが限界利益です。そのため営業利益=限界利益-固定費と表すこともできます。
変動費と固定費
ここまで何度か変動費と固定費について言及してきましたが、この2つの違いはどこにあるのでしょうか。変動費と固定費は、売上によって費用が変化するかどうかに違いがあります。変動費とは売上高や販売数など、営業の量によって変動する原価のことです。また変動費には、比例的に変化するという特徴もあります。変動費の主なものとしては材料費や研究開発費、輸送費や消耗品費などが挙げられますし、広告費が含まれることもあります。
これに対し固定費は、売上高によって変化しません。生産量が増えたとしても、あるいは減ったとしても、固定費は同じです。固定費の主なものは地代家賃や減価償却費、水道・光熱費や人件費、保険料などです。ここで注意が必要なのが、全ての原価が変動費と固定費とに分けられるわけではない、ということ。たとえば水道料金や電気料金には、一定の基本料金というものがあります。ここまでは固定費と考えられますが、水道料金や電気料金は使用量に比例して増加していくので、変動費として捉えるのも可能なのです。同じように人件費も固定費とは限らない場合があるので、その点も考慮する必要があります。
損益分岐点とは
企業の損益を表すものに、損益分岐点というものがあります。損益分岐点とは文字通り損益を分ける点のことですが、限界利益を理解すると損益分岐点についてさらに深く知ることが可能です。そこでこの段落では、損益分岐点について踏み込んでご紹介します。
概要
損益分岐点は具体的には、限界利益と固定費が等しく、損も利益も出ていない状態にある地点だと言うことができます。固定費は同じですが、限界利益は増減します。限界利益が固定費よりも下回れば赤字ですし、上回れば黒字です。固定費と限界利益が同額になる売上高が損益分岐点であり、その数値が赤字と黒字を分けるポイントだということになります。
計算方法
損益分岐点とは限界利益-固定費がゼロとなるポイントですが、損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)という式で求めることができます。変動費率とは、変動費を売上高で割った数値です。これだけでは分かりづらいので、具体的な例を上げて説明していきましょう。売上高が80万円で変動費が40万円、固定費が60万円だとします。この場合の変動費率は40÷80=0.5となります。1-0.5=0.5です。固定費は60万円なので60÷0.5=120となり、損益分岐点は120万円です。つまり売上をあと40万円以上伸ばさないと、利益が出ないというわけです。
では売上高を120万円として、限界利益を計算してみましょう。限界利益とは、売上高-変動費です。変動費率は0.5なので、売上高120万円の場合の変動費は60万円となります。120万円から60万円を引いた60万円が、限界利益です。固定費は60万円なので限界利益-固定費はゼロとなります。この結果でも分かるように、損益分岐点は120万円で正解です。
目的
損益分岐点を算出することで得られるメリットは、利益を上げるためには変動費と固定費のどちらを改善すればより良いのか、判明するという点です。先程の例で考えてみましょう。損益分岐点は120万円、変動費率は0.5で限界利益と固定費は同額の60万円です。ここで変動費率を0.4まで改善すると、変動費は48万円となります。120から48を引いた72万円が限界利益です。固定費は60万円なので、12万円の利益が出ることになります。変動費率を変えずに同じ利益を得るためには、固定費を48万円まで下げる必要があります。なぜなら限界利益は60万円で、60-12=48だからです。
この場合変動費率を0.5から0.4まで下げるのと、固定費を60万円から48万円まで下げるのは同じことです。このように損益分岐点を使用した分析により、具体的な改善策の検討と実施が可能となります。売上の獲得に直接関係しない固定費(家賃や人件費など)を削減すれば損益分岐点が下がります。また、変動費を見直して削減した場合も同様です。企業にとって取り組みやすい方を選び、実施することで売上の最低目標が下がり、利益を獲得することができるようになるというわけです。
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