企業会計とどう違う?学校法人会計の特徴
学校法人会計には、企業会計とは異なる表現や処理が求められる部分があります。企業での会計業務の経験がある人でも、学校法人で会計業務に就くとなると戸惑う部分が多いものです。具体的に企業会計と学校法人では何が異なるのでしょうか。学校法人会計の特徴についてお伝えします。
企業と学校法人は会計の目的が違う
一般企業は利益を得る目的で存在していますが、学校法人は教育研究活動を目的とした非営利法人です。法人の存在理由が異なるため、会計の目的も当然異なります。学校法人は、教育研究を永続的に行っていくための資金を確保する必要があります。このため、学校法人会計は、損益より資金に着目した会計となっています。
企業会計と学校法人会計では、財務諸表も以下のように異なります。
学校法人会計:資金収支計算書、事業活動収支計算書、貸借対照表
企業会計:損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書
「資金収支計算書」と「キャッシュフロー計算書」の違い
企業会計の「キャッシュフロー計算書」は、損益計算書では把握できない資金の動きを営業活動、投資活動、財務活動ごとに示す計算書です。期中の実際の資金の収支を3つの区分に分けて表示して期末資金残高を表示します。
学校法人会計の「資金収支計算書」も、キャッシュフロー計算書と同様に資金の動きに着目するものです。すべての資金の収入と支出を明らかにするもので、損益に関わらない前受金などの資金収入、固定資産取得時の資金支出など「資金の増減」に関わるものをすべて表示するのが特徴です。資金の増減がどのような活動によるものなのかを把握するための資料となります。
「資金収支計算書」と「損益計算書」の違い
学校法人が永続的な教育活動を行うため、損益を表すための資料が「資金収支計算書」です。その会計年度の消費収入および消費支出の内容及び均衡の状態を明らかにするために作成されるもので、企業会計における「損益計算書」と似た役割を担っています。
資金収支計算書の収入の部に「基本金組入額」という収入をマイナスする科目がある点が、企業会計と大きく異なります。基本金組入を差し引く前の収入から消費支出を差し引いた額が企業会計における最終損益と同じものになります。
「貸借対照表」の違い
貸借対照表は、学校会計と企業会計でほぼ同じ構造ですが、「基本金」と「資本金」の違いがあります。
企業会計では、出資者の出資相当額を拘束財産と定義し「資本金」として表示しますが、学校法人会計では教育研究活動に必要な資産を継続的に保持すべきものとして、それに見合う金額を資産負債差額のなかで「基本金」として表示します。
何が変わる?「学校法人会計基準」一部改正のおさらい
学校法人会計基準の一部を改正する省令が公布され、平成27年度(知事所轄学校法人については平成28年度)以後の会計年度にかかわる会計処理および計算書類の作成から適用されることとなりました。
学校法人会計に携わる方は、改正の趣旨と概要について把握しておきましょう。
学校法人会計基準 一部改正の趣旨は?
昭和46年に制定された学校法人会計基準は、私立学校の財政基盤の安定に資するものとして、また補助金の配分の基礎となるものとして、広く実務に定着しています。
しかし、社会や経済状況は40年前の制定当時と大きく変わりました。また、会計のグローバル化などを踏まえさまざまな会計基準が改正になり、私立学校を取り巻く経営環境も変化しています。
こうした状況を受け、公教育を担う学校法人の経営状態について、社会にわかりやすく説明する仕組みが求められています。
・収支状況について経常的な収支と臨時的な収支が区分できるようにする
・新たに活動区分ごとに資金の流れが分かる活動区分資金収支計算書を作成する
以上のような改正を行うのが、今回の一部改正の趣旨となっています。
一部改正の概要をおさらいしよう!
では、具体的に学校法人会計基準のどのような点が改正になるのでしょうか。
概要をおさらいしておきましょう。
(1)資金収支計算書について
新たに活動区分ごとの資金の流れがわかる「活動区分資金収支計算書」を作成すること(第14条の2第1項関係)
(2)事業活動収支計算書について
従前の「消費収支計算書」の名称を変更した「事業活動収支計算書」について、経常的及び臨時的収支に区分して、それらの収支状況を把握できるようにすること(第15条関係)
(3)基本金組入れ前の収支状況の表示
現行の基本金組入れ後の収支状況に加えて、基本金組入れ前の収支状況も表示すること(第16条第3項関係)
(4)貸借対照表について
「基本金の部」と「消費収支差額の部」を合わせて「純資産の部」とすること(第32条関係)
(5) 第4号基本金について
その金額に相当する資金を年度末時点で有していない場合には、その旨と対応策を注記するものとすること(第34条第7項関係)
(6) 第3号基本金について
対応する運用収入を「第3号基本金引当特定資産運用収入」として表示すること(第1号様式関係)
(7)第2号基本金について
対応する資産を「第2号基本金引当特定資産」として表示すること(第7号様式関係)
(8)特定資産について
固定資産の中科目として新たに「特定資産」を設けること(第7号様式関係)
(9)第2号基本金および第3号基本金について
組入れ計画が複数ある場合に、新たに集計表を作成するものとすること(第10号様式様式第1の1および様式第2の1関係)
(10)「消費支出準備金」の廃止
「消費支出準備金」を廃止すること(改正前の第21条関係)
以上が一部改正の概要となっています。改正については平成27年4月1日から施行されており、改正後の学校法人会計基準の規定は、平成27年度以降(知事所轄学校法人については平成28年度)の会計処理および計算書類の作成について適用する必要があります。
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