貸倒損失とは?貸倒損失として計上できるケース、できないケースを解説

経理

売掛金や貸付金などは、会社にとって大切な資産です。しかし、取引先が売掛金を支払えない事態に陥るケースが少なくありません。売掛金回収ができないと貸倒れが生じ、最悪の場合には赤字経営に陥り倒産してしまいます。
貸倒れが生じた場合、会計上では、回収できなかった金額を「貸倒損失」として処理します。では、貸倒損失とは、いったいどのような勘定科目なのでしょうか。
このコラムでは、貸倒損失の概要と計上できるケース、貸倒損失を防ぐための対策などについて詳しくご紹介します。

貸倒損失とは

貸倒損失とは、企業が取引先に貸し出したお金(売掛金や貸付金など)が回収不能になった際に発生する損失のことです。また、回収不能な債権に対して損失額を処理するための勘定科目のことも指します。回収不能になる原因としては、取引先の倒産や債務超過などが挙げられます。

会計上では貸倒損失が発生すると貸倒処理が行われ、最終的には決算書類の損益計算書に表示されます。
売掛金など営業に関する損失は「販売費及び一般管理費」として、貸付金・立替金など営業外に関する損失は「営業外費用」として、臨時かつ金額が大きい損失は「特別損失」として処理されます。

貸倒損失は企業の収益性に直接的な影響を与えます。
例えば、1,000万円の売上に対して100万円の貸倒損失が発生した場合、実質的な売上は900万円となり、営業利益や経常利益に大きな影響を与えることになります。企業の資金繰りにも深刻な問題を引き起こす可能性があるため、適切な管理と対策が必要となってきます。

貸倒損失として計上できるケース

先程も紹介したように、全ての貸倒債権が損失として計上できるわけではありません。損失といっても実際に現預金の支出があるわけではないので、脱税対策として安易に処理してしまうと税務調査で指摘される可能性があります。また、貸倒れが発生する事由によって計上する時期も決まっているため、タイミングを逃してしまうと貸倒損失と認められないケースもあるので注意しましょう。

具体的に、法人税法上、貸倒損失として経理処理できるのは大きく分けて3つのケースがあります。ここでは、貸倒損失として計上できるケースをそれぞれ詳しくご紹介します。

金銭債権が切り捨てられた場合

法的手続きにより金銭債権が切り捨てられるケースとして、会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられる場合があります。このような法的手続きによる債権カットは、裁判所の関与のもと行われるため、貸倒損失として認められやすい特徴があります。

また、法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定や、行政機関・金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる場合も該当します。この場合、全債権者の合意に基づく判断であることが重要です。

さらに、債務者の債務超過状態が相当期間(一般的に3年以上)継続し、金銭債権の弁済を受けることができない場合に、債務者に対して書面で明らかにした債務免除額も貸倒損失として認められます。ただし、債務超過の状態が一時的なものではなく、継続的であることを証明する必要があります。

金銭債権の全額が回収不能となった場合

債務者の資産状況や支払能力等から債権の全額が回収できないことが明らかになった場合、その事実が判明した事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。ただし、担保物がある場合は、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。

この場合の回収不能の判断は、慎重に行う必要があります。債務者の財務状況、営業状況、資金繰りなどを総合的に判断し、客観的に回収が見込めない状態であることを示す必要があります。また、保証人がいる場合は、実際に履行されるまでは貸倒損失として計上できないことにも注意が必要です。

債権額の一部のみが回収不能と判断される場合でも、貸倒損失として処理できるのは全額が回収不能な場合のみです。部分的な貸倒れは認められないため、慎重な判断が求められます。

一定期間取引停止後弁済がない場合等

売掛債権に特有の処理として、継続的な取引を行っていた債務者の資産状況や支払能力等が悪化したため取引を停止し、その後1年以上経過しても支払いがない場合に貸倒損失として認められます。この場合、取引停止の事実と期間経過を明確に示す必要があります。

また、同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合も貸倒損失として認められます。これは経済合理性の観点から、回収にかかるコストが債権額を上回る場合に認められる処理です。

貸倒損失の仕訳と「償却債権取立益」の処理

勘定科目としての「貸倒損失」は、その性質上、企業の財務状態に重要な影響を与えます。そのため、適切な仕訳処理と証憑書類の保管が必要不可欠です。

実務上の基本的な仕訳例として、売掛金の貸倒れの場合は「借方:貸倒損失 / 貸方:売掛金」となります。貸付金の貸倒れの場合も同様の処理となりますが、営業外費用として区分される点が異なります。

また、特に注意が必要なのは、一度貸倒損失として処理した債権を後日回収できた場合の処理です。これは「償却債権取立益」として処理され、発生した事業年度の営業外収益として計上します。
ただし、貸倒損失を計上した同一事業年度内に回収された場合は、貸倒損失の取消処理を行う必要があります。

貸倒損失を防ぐための対策

貸倒損失による企業への影響を最小限に抑えるためには、事前の予防策が重要です。

そのため、日頃から徹底した債権管理が大切になります。支払期日から遅延している場合は、素早く催促して回収するようにしましょう。
また、取引先が確実に売掛金を支払ってくれるか与信管理も重要です。取引先の財務状況や信用情報を詳細に確認し、適切な与信限度額を設定することで、リスクを軽減できます。

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※一部サービス提供元の運営記事です/PR
監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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