アルバイトに源泉徴収を行わないとどうなる?
アルバイトに源泉徴収を行わないとどうなる?
源泉徴収義務者に該当する場合は、たとえアルバイトに支給する給与でも源泉徴収を行う義務が生じます。
もし源泉徴収をしっかりと行わないと、その企業にはどのようなペナルティが課せられるのでしょうか。
源泉徴収義務者とは?
源泉徴収義務者とは所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者のことをいいます。
会社や個人だけではなく、給与などの支払をする学校や官公庁なども源泉徴収義務者になります。
しかし個人のうち次の2つのいずれかに当てはまる方は、源泉徴収をする必要はありません。
1.常時2人以下の、お手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている者
2.給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている者
(たとえば給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません)
※所法6、183、184、200、204、229、230、復興財確法28参照
源泉徴収をしないと延滞税が発生する
源泉徴収は甲欄(扶養控除異動申告書の記載をした者)であれば扶養親族がいない場合は月額88,000円から、乙欄の場合には最低でも3.063%が必要となり、これを怠ると源泉所得税の不納付と認定されて延滞税が課せられることになります。
延滞税は重く、納期限(源泉所得税の場合基本翌月10日)の翌日から2月を経過する日まで原則として「年7.3%」となります。
ただし平成28年1月1日から12月31日までの期間は、「年7.3%」と「特例基準割合(2.8%)+1%」のいずれか低い割合となります。
納期限の翌日から2月を経過した日以後は原則として「年14.6%」となります。
ただし平成28年1月1日以後の期間は、「年14.6%」と「特例基準割合(9.1%)+7.3%」のいずれか低い割合となります。
また、納期限に遅れた場合は「不納付加算税」も取られることになります。
「不納付加算税」の金額は自主的に納付した場合は納めるべき源泉所得税の5%、国税庁の指摘により納付した場合には10%です。
ただし、これらの延滞税等は1年以内に1度も納付ミスなどがなければ免除されます。
以上のように、源泉徴収を行わないと多額の延滞税等が課せられることになるため、たとえアルバイトであってもしっかりと源泉徴収を行うようにしなければなりません。
また延滞税が課されるだけでなく、しっかり経理事務を行っていない企業として税務署から目を付けられることにもなりかねません。
企業側に源泉徴収を行わないメリットはほとんどないので、源泉徴収は必ずしておきましょう。
この記事の著者紹介
鈴木 雅嗣(すずき まさつぐ)
税理士
enrolled&memoire合同会社 代表社員
取り巻く環境が複雑であることを背景に、画一的なサービスを提供せずクライアント1人1人とコミュニケーションを取った上での提案業務を主とする。
業務の基本として税理士業務はもちろんのこと、従業員教育、資産形成、経理のアウトソーシング等、業務範囲は問わず多岐に渡る。また税理士事務所にありがちな依頼がいつ終わるのか?と待たせることをせず、納期を設定の上、質を担保した上でのスピードも重視している。
契約可能地域は関東東京近郊を主とするが、一定の条件を満たすことで日本全国可能。顧問料は各自のニーズに合わせて納得いく金額を協議の上決める。通称税務で食わない税理士。