反面調査とは?調査対象になった場合の正しい対応方法
反面調査の対象になった場合の正しい対応方法
税務調査は、各税法に規定される質問検査権の行使として行われます。質問検査権については、質問に対する不答弁ならびに検査の拒否・妨害に対しては刑罰が科されることから、質問・検査の相手方には質問に答え検査を受任する義務が生じます。
質問検査権の行使の相手方としては、調査先のみならず調査先と取引関係にある第三者も含まれますが、この取引関係にある第三者に対する調査については反面調査とよばれています。
反面調査の概要をきちんと把握して、正しい対処方法を身につけましょう。
反面調査の調査方法とは
反面調査の実施については、調査先の調査後実施するというような制約を定めた特段の規定はありません。そのため、客観的な必要性があると認められる場合には何時でも実施しうるものと解されているのです。
基本的に事前通知はなく、突然来社して行なわれます。また場合によっては来社の際、反面調査である旨、どこの会社の反面調査であるか等様々な情報を税務署は開示しなくても良いことになっています(最高裁平成21年8月12日判決より)。
反面調査の方法自体は通常の調査と同様、帳簿、請求書等の確認及び口頭での質問です。
反面調査への正しい対処方法
概要に記載の通り、客観的に必要性があると認められた場合拒否することはできません。
しかし、運営指針に反していると言える場合は交渉の余地があります。詳細は記載できませんが下記を参照して下さい。これを知っている人は少ないと思います。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/
反面調査を受ける際、社長や担当者が不在の場合はその旨を調査官に伝えて後日来社してもらいます。この際来社理由等を聞くことができればその後の行動につながります。
反面調査を受ける場合に大事なことは通常の調査と同じく、今どこの勘定科目の帳簿、請求書等を見ているかをしっかり見極めることです。これによって反面調査の相手先がどこであるかを確認することができます。
反面調査が行われる一般的な理由と対応
反面調査が行われる一般的な理由は相手先が税務調査等を受けた際に、税務署として疑問がある領収書等が出てきた場合です。
事例としては相手先が自社の領収書を経費にしている場合、当社のほうで売上として計上されているかという整合性の確認や、相手先の売上が過少であるとの疑いがある場合に、当社のほうで経費として計上されていないかという確認が挙げられます。
前者(自社が領収書を切っているのに売上に計上されていない場合)は脱税幇助となりますので論外です。そもそも架空の領収書を要求してくるような取引先とは取引を停止したほうが良いでしょう。
問題になるのはむしろ後者のほうです。売上を過少に申告するというのはよくある脱税の手口ですが、自社が反面調査の相手先の得意先であった場合、自社の情報から相手先の売上が過少である事実が判明してしまうことがあるでしょう。このような場合に相手先から反面調査の結果を理由に取引を停止されてしまう可能性があります。
しかし、基本的には反面調査の結果を受けて取引が停止されたとしても判例上は税務署が正当化されます。こうなると自社が損害を受けることにもなりかねないので、反面調査が来たときには相手先に通知することが重要です。
ここで相手先に言えることは「反面調査は調査ですので、事実を述べます」ということだけです。口裏を合わせたり虚偽を行ったりすると罰則が科せられることもあります。
では、反面調査を受けた場合自社が損害を被っても何もできないのかというとそういうわけではありません。国税庁の反面調査の運営指針に反している場合や、国家賠償法に規定しているようなケースに該当する場合は、国に賠償を要求することも可能です。
この記事の著者紹介
鈴木 雅嗣(すずき まさつぐ)
税理士
enrolled&memoire合同会社 代表社員
取り巻く環境が複雑であることを背景に、画一的なサービスを提供せずクライアント1人1人とコミュニケーションを取った上での提案業務を主とする。
業務の基本として税理士業務はもちろんのこと、従業員教育、資産形成、経理のアウトソーシング等、業務範囲は問わず多岐に渡る。また税理士事務所にありがちな依頼がいつ終わるのか?と待たせることをせず、納期を設定の上、質を担保した上でのスピードも重視している。
契約可能地域は関東東京近郊を主とするが、一定の条件を満たすことで日本全国可能。顧問料は各自のニーズに合わせて納得いく金額を協議の上決める。通称税務で食わない税理士。
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