赤字決算を出してしまったときの対策法
毎回黒字を出せればよいのですが、ときには赤字決算となる場合もあるかもしれません。赤字決算の場合、税務調査の確率が下がりますし、翌期以降黒字になる可能性があるならば、赤字にして欠損金を出しておくという選択肢もあります。今回は、赤字決算になった場合の対策法について考えてみましょう。
銀行の借り入れは赤字でもできる?
銀行からの借り入れは、リーマンショック期や東日本大震災など経済全体が落ち込んでいるときには、赤字決算であるほど金利が安く、100%国の信用保証がついて融資が容易に受けられました。しかし、現在は景気も回復してきており、黒字企業の割合のほうが多くなってきている実勢ため、赤字決算企業の融資は以前ほど有利ではありません。本来、融資は返済の見込める企業に貸すものなので、赤字決算であれば相当な理由があっても不安材料になります。
赤字決算の内容が、社長への役員報酬が高いためであるとか、減価償却費が大きいためなど、外部への支出が伴わないものであれば、検討の余地はあります。さらに社長からの短期借入は資本と同等に扱いますので、逆に好条件になります。
赤字決算になったら減らすべきもの
黒字化の必要性がある場合に検討できる決算対策をご紹介します。赤字決算は黒字決算のときの決算対策の逆のことを行えばいいのですが、まず経費のうち、翌期にまたがる経費があるかどうかの検討をします。
1.前払費用
あらかじめ買っている「航空券代」やセミナー費用など何か月前から支払が生じます。赤字決算のときは、経費勘定のなかで、まだ消費していない項目がないかチェックして「前払費用」に移動していきましょう。
2.消耗品費
消耗品費のなかで10万円以上の物品の購入がなかったかをチェックしましょう。もし、10万円以上のものがあれば「工具器具備品」に移動して一括償却という、3分の1ずつ償却する方法に変更するだけで、経費が少なくなります。
3.買掛金
買掛金のなかで未払の状態が長期になっている支払先がないかチェックします。相手先と確認のうえ、伝票の削除か外注費の逆仕訳または雑収入への振替をします。
4.債務免除
役員からの借り入れについて、返済の見通しが立たない場合は債務免除として特別利益へ振替えましょう。税引前利益の改善が図れます。
5.減価償却をしない
赤字決算法企業の場合、償却費を計上するかしないかは任意で選択できます。減価償却を計上しないことで、会計上の利益は出るかもしれません。しかし、金融機関対策で見た場合、明らかな黒字対策なので償却費を割り引いた会社評価になるというデメリットもあります。この方法をとる際は、慎重に判断する必要があります。
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