原価の出し方ってどうやるの?原価計算の目的・種類を学びましょう!
原価計算は会社を経営していくうえで重要です。そこで、原価計算をすることで、経営の改善を図りたい、製品を作るうえで無駄な部分を見つけたいと思っている方もいるでしょう。
そこで原価計算はどのような目的で行われるか、原価計算によって得られる効果に加えて、原価計算の種類についても解説します。
原価とは
企業が提供するサービスや商品には、どのようなものでも原価が存在します。そして、原価をわかりやすく定義すると、「商品を販売したりサービスを提供したりするのにかかった費用」のことです。
例えば、お弁当を作って販売する際に必要な野菜や肉などの材料、容器、おはし、付属の調味料は材料費です。また、お米を炊いたりおかずを作ったりする時に使う炊飯器やコンロなどの調理器具、光熱費は総称して設備費に該当します。さらに、お弁当を作る人に支払う賃金は、人件費、完成したお弁当をお店に輸送するためにかかる費用は諸経費となります。
原価とは、このように1つのお弁当を販売するのに必要な材料費・設備費・人件費・諸経費を合わせた費用を指します。
原価の種類
原価には、「仕入原価」と「製造原価」があります。
仕入原価とは、コンビニやスーパーなどが、完成した商品を製造元から仕入れて販売する時の原価です。コンビニやスーパーが商品を仕入れる時に製造元に支払う価格に、コンビニやスーパーで発生する経費をプラスしたものになります。
一方、製造原価とは、製造元が原材料を仕入れ加工して商品を作る時にかかるすべての費用を指します。具体的には材料費、労務費、設備費などです。製造原価は、「売上原価」とも言い換えることができ、これに販売費および一般管理費を合わせたものが「総原価」となります。
損益計算書との関係
「損益計算書」とは、企業において一定期間に発生した収益と費用との状態を示す財務諸表の1つです。年に一度の決算で作成するもので、在庫金額や利益を把握することで、経営に活かすことができます。
損益計算書と原価とは密接な関係にあります。原価は損益計算書の費用の部に計上され、材料費、製造原価、売上原価を計算し、最終的に製品倉庫の製造原価が損益計算書における売上原価と呼ばれるものになります。そして前述の通り、この売上原価に販売費と一般管理費を足したものが総原価として記されるのです。
原価を出す目的
それでは、原価計算とはどのような目的で行われるものなのでしょうか。まずは原価計算の目的を見ていきましょう。
財務諸表の作成
財務諸表には、貸借対照表と損益決算書などがあり、どちらを正確に作成するためにも原価計算を行うことは欠かせません。そこで万が一原価を把握していないと、損益計算書に記載しなければいけない当期の販売数量にかかる売上原価や、貸借対照表の仕掛在庫金額・製品在庫金額もわからなくなってしまいます。
財務諸表を作ることは会社法や金融商品取引法などの法律によって義務付けられており、財務諸表を作らないという選択肢はありません。そこで財務諸表を作成するためにも原価計算を行い、利益などを算出する必要があります。
それに、財務諸表は取引先などステークホルダーに対して会社の経営状況を伝える役割も持っています。そこで財務諸表の内容が杜撰だと会社の信用の低下にも繋がってしまうでしょう。したがって、財務諸表を正確に書くためにも原価計算は正確に行わなければいけません。
価格の決定
原価と利益を組み合わせたものが販売価格であり、適正な価格設定が行われないと利益が出なくなってしまいます。「安くて質が良いものほど良い」という考え方も存在しますが、販売価格よりも原価の方が高く、商品が売れれば売れるほど赤字が発生してしまうという状況は避けなければいけません。
だからと言って原価に見合わない高額な販売価格を設定してしまうと他社に顧客が流出してしまいます。そこでユーザーのニーズを考えたうえでの価格設定を行うためにも、原価を把握することは重要です。
原価管理
原価には大きく分けると標準原価と実際原価の2種類があります。
標準原価とは、標準使用量や標準時間など一般的に設定されている価格の標準値を基準に算出する原価のことを言います。この標準原価は常に一定なので、比較的算出するのが容易と言えるでしょう。ただし、標準原価ばかりを参考としていると、決算時に予算と差が出てしまいます。
そこで参考にするのが実際原価です。実際原価では生産実績や経費など実際に商品を製造した時に発生したお金を基準に原価を計算する手段であり、その時の仕入れ値などによって変動するのでその分標準原価よりも計算が複雑にはなるものの、精度は高いと言えるでしょう。
原価計算をするにあたって、標準原価と実際原価の差を把握することで、経費や人件費など何が原因でコストが高くなってしまっているのかを知ることができます。このように無駄を省いて効率良く利益を出すにあたって、必要な原価管理を行うためにも原価計算は必須です。
予算の作成・管理
予算を作成するには、予算計画の根拠として原価に関する情報が重要となります。特に新商品を開発するにあたっては、過去の商品の販売価格や原価等のデータを元に原価などを算出することが多いようです。そもそも、予算とは必要となる「量×原価」で求めるものであり、原価がわかっていないと予算も把握することができません。それに、市場は常に変化し続けています。そこで、先のことを予測するためにも原価計算は重要と言えるでしょう。
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原価の計算方法
原価計算の方法には標準原価計算・実際原価計算・直接原価計算の3つの方法があります。それではそれぞれどのように原価を算出する方法なのか見ていきましょう。
標準原価計算
目標利益や予算の計算に用いられるのが標準原価計算です。何の根拠も無しに目標利益を設定してしまうと、明らかに実現不可能な数字となってしまったり、逆に簡単に達成できてしまったり、商品の開発・販売に関わる人のモチベーションを維持することが難しくなる可能性があります。
そこで、統計的・科学的に求めた数値を用いて製品1つに対してどれくらいの費用が必要になるかを算出し、その単価に自裁生産量をかけた数字を標準原価とすることで、適正な目標利益を求めることができます。
標準原価計算では一般のデータをベースに原価を計算することから、偶然的な価格・操業度の変動によって営業成績が左右されることを防ぐことが可能です。それに、売上が上がった時点で粗利がわかるので、その期のある程度の利益を把握できるという点も標準原価計算のメリットと言えるでしょう。
ただし、標準原価計算は計算方法がシンプルな分、実際に発生する費用と差が生じる可能性が高く、原価を求める手段のうちの1つということを忘れてはいけません。
実際原価計算
実際原価計算とは実際にかかった費用を元に原価を計算する方法であり、商品の生産が終了し、その期にかかった実際の原価を算出する際に用いられます。したがって、財務諸表に記載される原価に関しては実際原価計算で求められたものとなります。
製品を製造するにあたって発生する費用は、その時の景気などによって変動するものなので、標準原価計算だけでは正しい数字を求めることができません。そのため、基本的に原価計算は標準原価計算と実際原価計算の両方を用いて行われます。
ただし、実際原価計算において予定賃率や間接費などは実際にいくらかかるかわかりません。したがって、これらの数字に関しては予測したうえで計算することとなります。
直接原価計算
全部原価計算では、固定費と変動費の両方を含めたうえで原価を計算します。それに対して直接原価計算では、費用を固定費と変動費に分け、変動費だけを原価として計算する方法を言います。
一般的に人件費は固定費に分類されますが、実際は残業などによって変動します。そのため、変動する部分としない部分を分けて計算しなければいけません。それに対して、直接原価計算の場合は変動費のみに着目して計算を行うので、人件費が原価に影響しません。
実際に人件費が商品原価に含まれてしまうと、清算した商品が売れずに棚卸商品として計上された際に、実際よりも利益が多く出てしまいます。そこで人件費が原価から除外される直接原価計算の場合はこのような事態が起こらないので、棚卸商品が多く発生してしまった際も利益が多く計上されることを避けることができます。
原価計算を行うメリット
原価計算を行うメリットは何でしょうか。ここでは2つのメリットに言及します。
コストの削減
目標とする標準原価を努力次第で到達できる程度に設定し、実際原価と比較することで無駄なコストを把握することが可能となります。無駄の原因を分析して実際に無駄を省くことができれば、原価が下がり、企業利益も上がります。そして企業利益が上がれば、社員に給与や福利厚生などの面で還元できるものが増えるだけでなく、経営の面でも余裕ができるでしょう。
人件費など必要な経費を削ることで利益を出そうとする企業も多くありますが、この方法だと従業員側にかかる負担が大きく、モチベーションが低下することによって経営悪化に繋がる可能性が高くなります。したがって、原価を把握して無駄なコストを省いて利益を上げるという方法が社員のモチベーションを高く維持し、経営状況を良くするためのベストな方法と言えます。
損益分岐点の把握
損益分岐点とは、原価と販売価格・利益のバランスで決まるものです。
1個当たり原価が20円のパンを1,000個生産すると、総合原価は20,000円になります。そして、1個100円で販売すると「販売価格100円-原価20円=80円」なので、1個当たりの利益は80円です。
「総合原価20,000円÷パン1個の利益80円=250」で、パンを250個売れば原価分の利益を回収できる計算になり、この場合の損益分岐点は250個です。パンを250個売ればかかった費用と売上高が等しくなり、それ以上売れば損益分岐点を超えて利益が生じます。
このように、損益分岐点を知ることで事業の採算を判断できるため、健全な経営ができます。
サービス原価の把握
原価計算は、製造や食品メーカーのみが行うものという誤った認識があります。しかし、実際にはソフト開発など、人材をリソースとして投じる企業にも原価は存在します。これを「サービス原価」と呼びますが、原価計算に取り組むことは、サービス原価についても明瞭に把握し、赤字プロジェクトを生み出す危険を回避することに繋がります。
経営の改善
会社を経営するにあたって、原価が占める割合を把握し、どの部分を省いて良いか探すことは重要です。この作業を行うことで、製品を生産する際に何に重点を置いて製造をすれば良いか、どの部品のコストを削減できるかなどといったことが見えてきます。そして、社員全員が原価について把握することによって、経営状況をより良くするためのアイデアに繋がりやすくなるでしょう。
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