リカーリングとは?サブスクリプションとの違いや決済手段についても解説

クレジットカード決済

20世紀半ばから始まった高度経済成長期以来、日本の産業は大量製造・大量消費を前提としたビジネスモデルが主流でした。その中で、日本の製造業は製品の品質を強みとして市場を拡大してきましたが、売り切り型のビジネスモデルは、21世紀に入ってから近年までの市場の変化によりマッチしないものになってきています。

そこで、これからの新しい市場スタイルに適合するものとして、「リカーリング」というビジネスモデルが台頭してきました。すでにリカーリングに舵を切ることで、企業変革を試みている企業も出現しつつあります。この記事では、リカーリングの概要、リカーリングとサブスクリプションの違い、リカーリングビジネスのメリット・デメリットなどについて解説します。

リカーリングとは


ここではリカーリングの概要を理解するために、リカーリングの種類、注目されている背景、リカーリングビジネスの定義、リカーリングビジネスでの関連用語について解説します。

リカーリングの種類

リカーリング(recurring:繰り返す)が語源であり、一度で完結する取引ではなく何回も繰り返し利益を得ることができる仕組みがリカーリングビジネスです。リカーリングビジネスの先駆けは、米国の剃刀メーカー「ジレット (Gillette)」が、繰り返し消費される需要があるだろうと経常利益を見込み、街頭で無料の替え刃を配布した「ジレットモデル」が始まりと言われています。

リカーリングの種類は2つに大別でき、その1つに消耗品販売があります。消耗品販売とは、商品を販売した後にそれを使い続けていくうえで継続的に必要となる消耗品を別売りで購入してもらう販売スタイルです。
身近な例としてはプリンターのインクカートリッジが挙げられます。プリンターのインクは使っていれば必ずなくなるものであり、通常メーカー純正品でなければ使えないことから、顧客は自ずとプリンターのメーカーからインクカートリッジを購入することになります。そして、プリンターを販売した後に必然的に消耗品であるインクカートリッジを購入し続けてもらう仕組みにすることで、継続的に安定した利益を上げることが可能です。

もう1つの種類は、月額での課金です。これは一定額の基本料金を課金したうえで、利用料に応じた料金を従量制で課金するものです。具体的な例としては電気代、ガス代、水道代、インターネット接続料金などがこれにあたります。従量制なので月々の収益は上下することはあるものの、ほぼ安定的に利益を得やすい仕組みです。

注目されている背景

リカーリングが注目されている背景としては、何でも手に入りやすい時代になったことが要因の1つです。モノが溢れている現代社会にあっては、必要最低限のモノしか持たないことがスマートなライフスタイルとして認知されています。そのため、売り切り型のモノを所有するのではなく、必要な時に必要な分だけお金を使うというのが現代のライフスタイルとして広まりつつあります。

また、インターネットが普及したことで、顧客の嗜好や行動に関する大量の情報が入手できるようになったことも、顧客との継続的な関係性構築に大きな影響を与えています。

リカーリングビジネスでの関連用語

リカーリングビジネスに関連する用語を、ここでは2つ解説します。
1つ目は、「リカーリングレベニュー」です。リカーリングレベニューは、将来的に継続して利益を上げる可能性が高い売上を指す用語です。通信関連のビジネスやインフラ関連のビジネスは、毎月一定した売上が将来にわたって見込めるので、このようなビジネスはリカーリングレベニューを中心としたものであると言えます。

2つ目は、「リカーリングコスト」です。リカーリングコストは経常経費とも呼ばれ、エンドユーザーが商品などを使い続けていくうえで継続的にかかる費用を指すものです。上述の通信ビジネスやインフラビジネスでエンドユーザーが負担する費用は、ユーザー側の観点から見ればリカーリングコストに分類されます。

リカーリングとサブスクリプションの違い


リカーリングと似た意味の言葉にサブスクリプションというものがあります。ここでは両者の違いを解説します。

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは、定期購入や予約購入とも言われ、あらかじめ決められた定額料金を支払うことにより製品やサービスを月ごとや年ごとの一定の間、使い放題にできるビジネスモデルのことです。契約期間内であれば常に最新の製品やサービスを使うことができます。主にIT業界で広がったビジネスモデルで、データやソフトウェアの利用などを中心に発展してきました。

サブスクリプションビジネスの例としては、NetflixやHuluのような定額制動画配信サービスがあります。動画を視聴するには料金を支払わねばなりませんが、定額料金を払えば追加料金の心配をすることなく動画を見放題で楽しむことができるサービスとして世界中で利用されています。

リカーリングとの違い

サブスクリプションとリカーリングというビジネスモデルは、どちらも継続的に利用料金を取る点では同じです。違いにフォーカスするのであれば、サブスクリプションは権利料、リカーリングは使用料に注目している点です。
リカーリングでは、消耗して購入した物の「使用」に対して定期的な支払いが発生します。一方、サブスクリプションでは、一定期間使用し放題の「権利」を対象に料金を支払います。

リカーリングビジネスのメリット・デメリット


ここでは、リカーリングビジネスのメリットとデメリットについて解説します。

メリット

従来の売り切り・買い切り型のビジネスでは、継続して収益を上げるためには一度商品やサービスを購入した顧客をリピーターにすべく施策を打つという二段階のアプローチが必要でした。
一方、リカーリングビジネスでは継続的に利用することが前提になっているため、顧客を取り込みやすいというメリットがあります。また、サービスのベースである本体機器やプラットフォームをエンドユーザーがすでに所有している場合は、他社のものに乗り換えにくいというのも提供事業者にとっては有利な点です。

さらに、リカーリングビジネスでは従来のビジネスモデルのように商品やサービスごとに価格を細かく設定する必要がありません。事業開始前から一定の売上を見込めるので、契約者数といった指標を立てれば比較的容易に販売戦略を定めやすいというのもメリットです。他にも、利用登録している顧客データベースから顧客の属性などの広範な情報を蓄積でき、販売戦略の精度を高めることも可能です。

デメリット

リカーリングビジネスでは高い顧客満足度を維持しなければ顧客はすぐに解約・脱会してしまうという点がデメリットです。そのため損益分岐点に到達させるまでには、顧客の声を反映して商品やサービスの質を定期的に改善していく必要があります。また、顧客にとっての操作性や利便性といった使い勝手を継続的に向上させていく努力も必要です。

しかし、質の改善や使い勝手の向上、アフターサービスの拡充などにはコストを要し、提供事業者は資金面で体力がないと事業の継続が難しいでしょう。顧客としても、使った分だけ料金の支払いが発生するため、商品やサービスの出来栄えや品質、使い勝手、障害の有無、不具合の程度、サポート体制などには敏感に反応します。
このような点は実際に利用してみないと顧客には見えてこないものであり、従来の売り切り・買い切り型のビジネスと比べると顧客が不満を溜めやすい要素です。そのため、顧客の離脱を防ぐためには高い顧客満足度を維持し、顧客を第一に考えた運用が必要です。

リカーリングビジネスで求められる決済手段


ここではリカーリングビジネスで求められる決済手段として、顧客やビジネスモデルに合わせた決済手段と継続課金システムについて解説します。

顧客やビジネスモデルに合わせた決済手段

リカーリングビジネスを展開するうえでは、どのような決済を用意するかが1つの重要なポイントです。従来型のビジネスと比べると、リカーリングビジネスでは課金ポイントが非常に多くなり、提供事業者にとっては発行する請求書の数が増え、顧客にとっても支払いの手間が増大します。また、そもそも顧客が欲している決済手段を提供できなければ、顧客獲得に至りません。そのため、顧客とビジネスモデルに合わせた決済手段を提供することで双方にとって利便性が高まります。

決済手段として第一に導入すべきなのは、クレジットカード決済です。クレジットカード決済は、インターネット上におけるEC取引およびキャッシュレス決済で最も高い利用率を誇る決済手段です。また、クレジットカードを持っていない若年層や高年齢層向けには、銀行口座を持っていれば利用できる口座振替を用意すれば、より幅広い層の顧客が取り込めます。さらに、音楽ストリーミングサービスのような少額決済のデジタルコンテンツ向けなどには、キャリア決済やID決済を導入するのがおすすめです。

継続課金システム

リカーリングビジネスと相性が良い課金方式として挙げられるのは、継続課金システムです。継続課金とは顧客から決済に必要な情報を預かって定期的に課金する方式で、自動的に課金されるので支払いの手間が省けること、未回収リスクが低いこと、決済処理にまつわる手間が少ないことなどがメリットです。

継続課金システムであれば確実に代金を回収することができ、また決済がスムーズに完了するので顧客の離脱を防ぐ効果が期待できます。特に、月額課金制のオンラインゲームや継続利用を前提とする健康食品のEC販売などでは、継続課金システムの導入が欠かせません。

また、月ごとに利用料が変動したり、従量課金制で料金が月ごとに変わったりすることもあるため、課金額の変更が柔軟に行える継続課金システムを選ぶことが重要です。

リカーリングビジネスの効率化は「サブスクペイ」にお任せ!

リカーリングビジネスは継続課金を前提にしていることから、顧客が一度契約手続きを済ませれば継続的な売上が見込めるビジネスモデルです。リカーリングビジネスの成否は顧客数と継続率が鍵となりますが、一方で顧客数が増えれば請求業務や決済業務は煩雑化し、経理担当の方の負担を増やします。

そんな課題をお持ちなら、「サブスクペイ」にお任せください。

サブスクペイ」は、サブスクリプション事業に特化した顧客管理・自動決済サービスです。業界唯一の継続課金システムは、煩わしい毎月の課金日の予約作業・顧客の払い忘れなどによる未入金の回収作業といった業務からご担当者様を解放します。

また、決済連動の顧客管理データベースにより、ファンクラブ会員、メール会員、有料コンテンツ会員など、あらゆる会員管理業務に最適な機能を備えたソリューションを提供。利用状況の見える化で単価アップや解約防止に寄与するとともに、顧客属性・行動情報・売上予測の見える化によってネクストアクションの策定・投資判断などにお役立ていただけます。

さらには、業界最安水準の手数料2.65%~、顧客管理と決済処理をひとつのクラウドに集約したことによる間接費の削減により、導入するだけでコストダウンを実現できます。

なお、気になる対応決済手段についても、クレジットカード決済口座振替銀行振込・バーチャル口座コンビニ決済など幅広く搭載。顧客に合わせた柔軟な課金モデルの設計が可能です。決済代行会社の安全なサーバー内に顧客情報を預けて管理するため、導入事業者様の情報管理負担、セキュリティ負担も解消します。

これまで株式会社ROBOT PAYMENTは、決済代行業として20年以上にわたり、決済代行事業を行ってまいりました。サブスクペイは大手から中小、個人事業主まで累計14,000社以上の導入実績があり、年間500億円以上の取引に活用いただいております。決済導入フローについても、審査提出から最短5営業日で稼働が可能です。

オンライン決済の導入やサブスクリプションビジネスにおける顧客管理・課金設計などにお悩みのご担当者様は、株式会社ROBOT PAYMENTの「サブスクペイ」までお気軽にご相談ください。
監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。