有休消化期間中のアルバイト、給与明細はどう作成する?

経理

有休消化期間中のアルバイト、給与明細はどう作成する?

有休消化期間中のアルバイト、給与明細はどう作成する?

退職を決めた従業員が退職願の提出後、残っている有休を消化していくケースがあるが、その消化期間中に他社でアルバイトをすることがある。このときアルバイトとして採用している企業において給与明細をどう作成するかがポイントとなる。以下、論点ごとに整理する。

(1)税額表について

給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書の提出があるか否か。これを提出してもらえれば甲欄で所得税を引けば良いこととなり、扶養者がいなくても月額88,000円未満なら所得税を引く必要がない。しかしこの申告書は2か所に提出することはできないので通常は乙欄に該当すると考えられる。乙欄の場合には3.063%を給与に乗じた所得税(88,000円以上の場合には税額表参照)を徴収することとなる。
また有休消化中であることを考えると日雇いのアルバイトというケースも考えられ、この場合には所得税は月額表でなく日額表を使うので注意が必要である。

(2)社会保険について

有休消化期間中のアルバイト、給与明細はどう作成する?

社会保険(健康保険・厚生年金)はアルバイトとして働いていても、前職から給与が発生していて社会保険にも加入している場合、給与を合算して報酬月額を算出し控除することが原則となる。これはアルバイトとして採用している企業からすると「前職の給与を調べる必要が出る」「働いている企業の所在地都道府県が今と違う場合、健康保険料率が違う」など、かなり煩雑な作業となるので注意が必要である。
しかし週20時間(従業員が500人以下の場合は週30時間)以上働いた場合に初めて加入条件を満たすので、週8時間を3日(500人以下の場合は週8時間で4日)以上働いているような人が条件を満たすため、有休消化期間中の人が加入条件を満たすのはなかなか難しいと考えられる。

(3)雇用保険について

雇用保険は社会保険と違い2か所で加入することができないため、週20時間以上労働時間があり、1月未満で雇止めの明示がない場合でも加入条件は満たさないので控除しない。
しかし前職の有休期間が終了して離職票をもらってきた場合には、加入資格を満たせば控除することとなるので注意が必要である。

以上のように有休消化期間中の人をアルバイトで採用する場合にはさまざまな特殊な要素があるので、採用する側は上記を踏まえる必要があること。アルバイトをしようとする側は、前職の職務規定等に副業禁止を明示している企業も多いので後に争いにならないためにも抵触しないか確認しておくことが必要である。

この記事の著者紹介

鈴木 雅嗣(すずき まさつぐ)
税理士
enrolled&memoire合同会社 代表社員

取り巻く環境が複雑であることを背景に、画一的なサービスを提供せずクライアント1人1人とコミュニケーションを取った上での提案業務を主とする。
業務の基本として税理士業務はもちろんのこと、従業員教育、資産形成、経理のアウトソーシング等、業務範囲は問わず多岐に渡る。また税理士事務所にありがちな依頼がいつ終わるのか?と待たせることをせず、納期を設定の上、質を担保した上でのスピードも重視している。
契約可能地域は関東東京近郊を主とするが、一定の条件を満たすことで日本全国可能。顧問料は各自のニーズに合わせて納得いく金額を協議の上決める。通称税務で食わない税理士。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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