学校法人会計における減価償却の方法は?
一般企業会計では減価償却方法は法人税法に従って行われます。減価償却の方法は、資産の種類に応じて定率法や定額法によって行われます。一方、学校法人会計においては、必ずしも法人税法に従う必要がありません。このため、減価償却方法についても一般企業とは異なる方法となります。学校法人会計における減価償却方法についてお伝えします。
減価償却方法「定額法」と「定率法」の特徴と計算方法
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については償却可能限度額および残存価額が廃止され、1円まで償却することとされました。また定率法の計算方法についても大幅に改正されました。減価償却資産の一般的な減価償却の方法である「定額法」と「定率法」による償却費の特徴と計算方法は以下のとおりです。
【定額法】
特徴
償却費の額が原則として毎年同額となる。
計算方法
取得価額×定額法の償却率
【定率法】
特徴
償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する
ただし、定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同額となる。
計算方法
未償却残高×定率法の償却率(調整前償却額)
ただし、上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は次の算式による。
改定取得価額×改定償却率
学校法人会計の減価償却方法は定額法
では、学校法人会計において減価償却はどのような方法で行うのでしょうか。
学校法人会計基準第二十六条 (減価償却)では、以下のように定められています。
1.固定資産のうち時の経過によりその価値を減少するもの(以下「減価償却資産」という)については、減価償却を行なうものとする。
2.減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によるものとする。
つまり、学校法人会計では定額法により減価償却を行うのが基本となります。
ただし、附則において以下のように例外が定められています。
3.学校法人が前項に規定する会計年度の末日に有している資産に係る評価及び減価償却の方法については、第二十五条及び第二十六条第二項の規定によらないことができる。
4.当分の間、学校法人のうち、法附則第二条第一項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者に対する第二十六条第二項の規定の適用については、同項中「定額法」とあるのは「定額法又は定率法」とする。
すなわち助成法適用初年度の学校法人や、学校法人以外の個人設立の私立学校については例外として定率法での減価償却が認められることとなります。
以上、学校法人会計における減価償却方法についてお伝えしました。
学校法人会計に携わる方は、減価償却方法についても把握しておくのが大切です。