資金計画とは?調達までの流れや注意点について解説

資金調達

資金計画とは、事業を成功させるために必要な資金を予測し、どのように運用すべきか計画することです。きちんと資金計画を立てることで、資金不足による経営の行き詰まりを防ぎ、スムーズな経営を実現できます。本記事では、資金計画が必要な理由や、資金計画から調達までの流れ、資金計画を立てる際のポイントについて詳しく紹介します。

資金計画とは

資金計画とは、事業を成功させるために必要な資金を予測し、調達方法やどのように運用すべきかを計画することをいいます。事業を始めるには、開業に必要な初期費用や月々の支出などを見積もり、資金繰りを事前に整えておくことが重要です。

事業における資金計画は運営の基盤であり、安定と成長を支えるために不可欠といえるでしょう。

事業において資金計画が必要な理由

事業を成功させるために欠かせない資金計画ですが、なぜ必要なのでしょうか。資金計画が必要な理由を3つ解説します。

資金の流れを把握するため

開業時には、設備投資や仕入れ費用などさまざまな支出が発生します。資金計画をせずに事業を進めると、気づかないうちに資金不足に陥る可能性があります。

資金計画でお金の流れを把握することにより、資金不足になる予測立てや資金調達のタイミングを明確にできるでしょう。収入と支出の時期を整理することで、資金不足を防ぐだけでなく、資金を効率的に活用できます。

経営戦略を立てるため

資金計画は資金の流れを把握するだけでなく、事業の方向性を明確にする経営戦略においても重要な役割を果たします。資金の流れを見据えて計画を立てることで、利益を生み出すための戦略や無駄な支出を抑えた効率的な経営が期待できるでしょう。

また、資金計画を立てて収入と支出の計画を明確にすることにより、情報をもとに適切な経営判断を下しやすくなります。

黒字倒産を避けるため

「黒字倒産」とは、企業が利益を生み出しているにもかかわらず、支払いに必要な資金が不足していることにより倒産してしまうことをいいます。売掛金の回収が間に合わずに資金が底をついてしまった際などに使われる言葉です。

資金と利益を同じ意味と捉える方もいますが、実際は別物ということを理解しておくことが重要です。仮に利益が出ていたとしても、資金が不足していると倒産してしまう可能性があります。

資金計画をきちんと行うことにより、資金が不足しそうなタイミングを予測して調達するなどの対応が可能です。黒字倒産を回避するためにも資金計画は欠かせないといえるでしょう。

開業するにあたって必要な資金

事業を始めるには、開業にかかる資金だけでなく、事業を継続させるために必要な資金もあります。開業するにあたって必要な資金と具体的な内訳について紹介します。

開業資金

開業資金とは、事業を始める際にかかる初期費用のことを指します。店舗の有無や大きさに関わらず、これから事業を始める全員が支払い対象に当てはまる費用です。開業資金の主な項目には、以下が挙げられます。

●物件取得費(敷金・礼金、保証金など)
●内装・設備費(店舗やオフィスの内装工事、机・椅子、PCなど)
●開業手続き費用(会社設立費、許認可申請費)
●仕入れ費(商品・材料の購入など)
●広告・宣伝費(チラシ作成、Web広告など)
●その他(名刺作成、Webサイト作成など)

特に初めての開業では、インテリアへのこだわりや最新設備の導入など、理想が高くなり予算を大幅に超過してしまうことも少なくありません。しかし、開業資金にお金をかけ過ぎてしまうと、事業が上手くいかなかったときのダメージが大きくなってしまいます。細かな部分は事業が拡大した後でも拡大できるため、開業資金で抑えられる部分はなるべくお金をかけないよう最小限にとどめるのがポイントです。

運転資金

運転資金とは、事業を継続するために必要な資金のことを指します。ランニングコストとも呼ばれ、固定費と流動費の2種類に分けられます。固定費は毎月ほとんど同じ支出である一方、流動費は売り上げや業務量に応じて変動するのが特徴です。主な内訳は、以下のようになります。

固定費
●家賃(店舗・オフィスの賃料)
●人件費(正社員・パートの固定給・社会保険料)
●水道光熱費
●通信費(インターネット・電話代・Wi-Fi代など)
●広告宣伝費(毎月発生する広告費、月額契約の広告費)
●税金・保険料

流動費
●毎月の仕入費(商品・材料の購入費)
●原材料費
●販売手数料
●修繕費・メンテナンス費
●消耗品費

流動費は売り上げに応じて変化する一方、固定費は売り上げに関わらず毎月一定の金額がかかります。そのため、毎月の固定費が高くなりすぎると、売り上げが思わしくない場合に資金不足に陥ってしまう可能性があります。
もしもの場合に備えて固定費はなるべく抑えられると、効率的な事業に繋がりやすいといえるでしょう。

資金計画から調達までの流れ

事業を始めるには、適切な資金計画とスムーズな資金調達が重要です。ここからは、資金計画から調達までの具体的な流れを紹介します。

Step1.必要な資金(開業資金、運転資金)の把握

まずは、事業を始めるにあたってどのくらいの資金が必要なのかを把握します。

事業が軌道に乗るまでは時間がかかるため、開業直後は赤字になることも珍しくありません。また、想定外のトラブルによる支出にも対応できるよう、資金を備えておく必要があります。

業種にもよりますが、運転資金は大体3〜6ヶ月分の資金を確保しておくのが理想的といえるでしょう。

Step2.事業計画書と損益計画の作成

資金調達をスムーズに進めるために、事業計画書と損益計画を作成します。

事業計画書とは「事業の内容や戦略、今後の資金計画などを記載した計画書」のことです。金融機関や投資家は、事業計画書の内容をもとに「この事業には投資する価値があるのかどうか」を判断します。そのため、具体的な根拠と数字で事業の将来性や収益見込みを示せれば、融資審査が通りやすくなります。

事業の運営状況についてまとめる損益計画も、事業を始めるにあたって欠かせない工程です。事業の収益性や収入と支出のバランスを数値でまとめることで、リスクの回避や経営目標がより明確になるでしょう。

Step3.資金計画の立案

資金計画の立案では、事業を始めてから安定して運営するために必要な資金を具体的に算出します。Step1では必要な資金総額の概算を見積もりましたが、ここでは資金の管理方法や活用計画までをより綿密に立てます。

資金計画の立案では、設備投資に必要な金額を明確にするほか、売掛金や買掛金など主要な取引先との決済条件を具体的な数値として整理する必要があります。

Step4.収支計画書の提出

資金の管理や活用方法を明確にした後は、収支計画書の提出が必要です。収支計画書とは、事業を始めるにあたって収入と支出の見通しを数値化し、資金不足に陥らないかを判断するための書類です。

収支計画書で資金不足の懸念がある場合は融資を受けられない可能性もあるため、注意が必要です。

Step5.資金調達の方法を検討する

資金の調達にはさまざまな手段がありますが、「自己資金の有無」や「返済のリスク」を基準に判断しましょう。

預金や貯金などの自己資金がある程度ある場合は、金融機関の融資やノンバンクからの借入れがおすすめです。自己資金がある場合は事業としての信頼度も高まるため、自己資金がない人と比べて融資を受けやすくなるでしょう。

貯金が少ないもしくは全くない場合は、出資を受けることを検討するのがおすすめです。出資とは、エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル(VC)などから融資してもらう、クラウドファンディングなどの方法です。出資は、借入れとは異なりお金を返済する必要がありません。しかし、いずれも「成長を見込める企業である」ことが条件であり、事業に将来性が見えないと出資を受けられないでしょう。

政府や自治体によっては助成金や補助金を受け取れる可能性もあるため、創業支援制度の活用も検討してみてください。

Step6.金融機関などに借入れ

事業計画や資金計画が全て完了し、資金調達の方法も確定した後は、実際に資金調達の工程に入ります。

金融機関の場合は、担当者とすり合わせた後に最終的な手続きへと進みます。借入れでは、書類の提出とともに事業の計画性や返済能力をしっかり示すことが重要です。

もしも連帯保証人が必要である場合は、融資を受けられる可能性が見えた後に相談することをおすすめします。初めの段階から相手に相談してしまうと、事業が成功するか不明であることから信頼度が薄まり、断られてしまう可能性があるためです。

資金計画を立てる際のポイント

資金計画は、事業を成功させる上で欠かせない基盤です。適切な計画を立てることで資金不足による経営危機を防ぎ、安定した運営が実現します。ここからは、資金計画を立てる際に意識したいポイントを4つ紹介します。

収入や支出の予測は綿密に行う

事業を安定して継続させるためには、お金の流れを把握して適切に管理することが重要です。大まかにコストを見積もると、思わぬ支出が出た場合に資金不足が発生してしまう可能性があります。事業を始めたばかりの時期は、計画通りに売り上げが伸びない場合も少なくありません。そのため、綿密に予測を立てることが重要なポイントです。

特に予想しづらい「収入」については、商品の価格やサービスの価格を定めるところから始めます。その次に、市場環境や立地条件をもとに1日の販売数や来店人数を設定すると、予測が立てやすいでしょう。

数年先を見越した計画を立てる

資金計画は、数年先まで予測することが重要なポイントです。

数年先の未来を予測するのは難しいですが、長期的なゴールを定めた後に短期的な目標を逆算して立てるとイメージがつきやすくなります。完璧に仕上げようとこだわらず、仮に変更が生じたとしても、修正すれば問題ありません。

最低でも3年後まで見据えた計画を立てると、目標に向かうための具体的な行動も見えてくるでしょう。

資金繰りも計画する

資金計画を立てる際は、資金繰りを計画しておくことも重要です。資金繰りとは、事業の収入と支出のバランスをしっかりと管理して資金不足を防ぐことを指します。

事業では、毎月の給料のように安定した金額が振り込まれるわけではありません。また、入金されるタイミングも取引先ごとに異なるため、時差を想定した資金対策が必要です。特に事業を始めたばかりの時は、売り上げてはいるものの、資金を回収できていないため支払い期日に間に合わないという現象も少なくありません。

このような問題が生じないよう、開業数ヶ月ほどの資金を用意しておくなど、余裕を持った資金繰りが重要です。

無理のない計画を立てる

無理のある資金計画は経営が困難になるだけでなく、常に資金繰りのプレッシャーに追われる状況を作り出します。開業したてはどうしても支出が多く、不安を感じる場面も多いことでしょう。しかし、支出を打ち消すために返済負荷が大きすぎる計画を立ててしまうと心理的な負担が重なり、冷静な経営判断が難しくなります。

また、資金計画は前向きな内容にすることも重要なポイントです。ネガティブな内容ばかりの計画を立ててしまうと、事業に対するモチベーションの維持が難しくなります。また、前向きな計画は審査対象者にもいい印象を与えられるでしょう。

資金繰りに関する相談は、ROBOT PAYMENTの「資金繰り相談窓口」にお任せ!

資金計画は運営の基盤であり、事業の安定と成長を支えるために不可欠です。先を見越した綿密な計画を立てることで、資金不足による経営の行き詰まりを防ぎ、スムーズな経営を実現できます。計画書などは手間がかかることも多いですが、きちんと作成することで融資が受けやすくなるなど、事業の信頼獲得にも繋がります。

資金計画を立てる際は、事業の収入と支出のバランスをしっかりと管理して資金不足を防ぎましょう。資金不足が生じないよう、余裕を持った資金繰りを意識してください。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。