電子帳簿保存を対応しない場合どうなる?デメリットや罰則について解説
電子帳簿保存法(電帳法)とは、税法で定められた書類・帳簿の保存義務を、電子データによる保存にも対応できるよう制定された法律です。2023年末までの宥恕期間が終了した今、対応していない場合にどうなるのか解説します。
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電子帳簿保存を導入しないとどうなる?
書類を電子化する際の要件が詳細に定められており、油断をしているとルールを逸脱してしまうケースがあります。ここでは、電子帳簿保存法に違反した際のデメリットや罰則について解説します。
改正により罰則が強化
もし不正が発覚し隠ぺいや偽装など悪質であった場合、改正電帳法では不正な申告漏れと判断された税額の10%が、追徴税35%と併せて重加算されることが明確にされています。
また、事実確認によっては青色申告が取り消され翌年以降の税負担が膨れ上がるだけでなく、電帳法違反に加えて会社法にも違反している可能性が高いため、100万円以下の過料が科される場合も考えられます。義務化にあたり、相当に罰則が強化されていると言えるでしょう。
青色申告の承認を取り消される
青色申告とは、所得税を正しく納税するために行う申告納税制度です。事業や不動産などから生じる所得から最大65万円の控除が受けられたり、家族の給与を経費扱いにできたりといったさまざまなメリットがあります。
電子帳簿保存法に違反し、この青色申告の承認が取り消されると上記メリットが享受できなくなるだけでなく、欠損金の繰越しもできなくなります。さらに、青色申告の承認が取り消されたことによって、会社としての信用を失うことにもつながりかねません。
追徴課税や推計課税を課される
青色申告の承認が取り消されると、白色申告者となります。白色申告になると、青色申告で認められていた控除などが受けられなくなり、さらに「推計課税」が課されます。
「推計」とは、正確な額でなくおおよその額を推定して計算する方法です。そのため「推計課税」では、所得税や法人税の額を税務署が推計により算出し、課税を行います。この方法は正確な納税額ではない上に、税務署の言い値で税額を決められてしまうため、会社としては痛い出費となるでしょう。
また、書類のデータ化や保存を正しい形で行っていないと、それ以外の国税関係書類の保管にも疑惑の目が向けられる恐れもあります。調査が入り、各税法の違反をしているとみなされれば、追徴課税を課せられてしまうかもしれません。
過料が科せられる場合もある
電子帳簿保存法のほかに会社が守らなければいけない法律として、「会社法」があります。これは、会社の設立や組織、運営および管理について定めた法律で、法務省が所管官庁となっています。
会社法の第九百七十六条に帳簿や書類の保存に関する規定があり、この規定の保存義務に違反したり、虚偽の帰蝶をしたりすると、100万円以下の過料が課せられます。そのため、帳簿や書類の保存に関しては、電子帳簿保存法と併せて会社法についても確認しておきましょう。
違反の要件
電帳法の違反は、電子データの保存において求められている「真実性」「可視性」の2要件いずれかが満たされていない場合に発生します。
「真実性」とは、保存された電子データに対する改ざん防止措置が取られていて、実際にオリジナルの状態を保ったまま保存されていることを意味します。電子取引データの保存要件で4番目に挙げた「データの真実性を担保する措置」がこれに該当し、実務的にはシステム導入・事務規定の作成などで重点的に対応しなければなりません。
また「可視性」とは、保存されたデータがいつでも確認でき、必要に応じて検索できる状態になっていることを指します。保存要件で言えば上記以外の3項目がこれに該当し、特に3番目の「検索機能の確保」についてはシステム導入・データの命名規則の制定・社内周知や索引簿の作成により、整合性を確保できるようにしておかなければなりません。
違反しないために取れる対策
これらの2要件を遵守し、違反しないために取れる対策を3点に絞って解説します。
・物量の多い請求書、領収書から始める
受領、または発行した全ての取引関係書類を一度に電子化するのは困難です。そのため、まずは取り扱う数の多い請求書・領収書を確認し、電子データ取引の取引先と紙ベースで受領している取引先を把握しておきましょう。電子データ取引のものは保存義務がありますので、上記の「真実性」「可視性」を担保するための保存措置が必須となります。
・保存方法と保存場所を明確に
電子データの証憑類(PDFファイル、スクリーンショット画像など)はEDIシステムで保存されているものを除いて、自社または取引先でタイムスタンプが付与されているか、訂正削除の防止に関する事務規定を作成し規定に基づいて保存するという、いずれかの真実性を確保できる方法で保存されていなければなりません。
また、保存場所についても可視性を確保するため、証憑保存に対応したシステム内か、いつでも閲覧可能な自社サーバー内で保存されている必要があります。システムを導入せず自社サーバーを使用する場合は、データの命名規則や索引簿の整備が必要になるだけでなく、原則7年間の保存期間に対応できる大容量のサーバーが求められることにも注意しましょう。
・場合によっては業務フローの見直しも必要
経理部などのバックオフィスと、営業部などの現場で電子取引データの取り扱い方が違う場合は、業務フローの見直しも視野に入ります。例えば上長への申請・承認といった手続きのために電子データをわざわざ紙ベースにして回付し、承認後にバックオフィスが再度電子データで保存しておくフローでは非効率です。
また紙で受け取った証憑類も、スキャナ保存などで電子化するフローに含めてしまえば保存の手続きを一本化することができ、複雑化による混乱を防止することができます。
改正電帳法対応のためにシステムを導入すべき?
改正電帳法に違反しないよう、電子データ保存に対応したシステムを導入すべきなのでしょうか。導入する場合・しない場合それぞれのケースについて解説します。
システムを導入しない場合
システムを導入しない場合、すべてを電子化するのは業務全般への負担があまりに大きいことから、義務化された部分にターゲットを絞って電子データ保存へ移行するのが現実的だと考えられます。電子取引以外の任意対応の部分は従来の紙ベースで保存するため、実務への影響が小さく、変化も少ないので短期的には負担がかかりません。
しかしながら、電子データ保存と紙ベースが並立する煩雑な状態が長く続くことになります。それだけでなく、取引先の電子データ取引への移行が進むにつれ、自社においても義務化された部分は拡大していきます。当初より電子保存のボリュームが増えていくことになるため、長期的に見れば並立は負担増となるおそれもあるのです。
システムを導入する場合
証憑保存対応のシステムを導入した場合、抜本的に業務フローを見直す必要性こそ出てくるものの、義務化部分以外も一律に電子保存へ移行することができます。データ保存に関わる経理業務が効率化されることはもちろんですが、前述した社内申請・承認といったフローも電子化されることで省力化も図れるでしょう。また、財務分析や決算・経理情報の共有という点でもデータにより可視化されることから、総合的な業務効率の向上が見込めます。
また将来的にさらなる法改正などで、電子保存の義務化範囲が従前よりも拡大される可能性も捨てきれません。現在は任意対応とされている部分でも、国内産業のDX化進展により義務化されうることも考えられます。その点を考慮すれば、任意対応のうちからシステムを導入し、業務フローを電子保存向けに整えておくメリットは大きいと言えるでしょう。
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