電子帳簿保存法改正に対応するためにIT導入補助金を活用しよう!
2022年1月には、電子帳簿保存法が大幅に改正されました。そして、2023年にはインボイス制度が施行される予定です。これらに対応するには、経理業務のデジタル化はもはや必須です。しかし、デジタル化のためのツール・システム導入には少なからず出費が伴います。大企業の場合は多少高額でも機能が充実したツール・システムを導入できるかもしれませんが、中小企業や個人事業主は予算面でそもそも導入が難しいケースも少なくないでしょう。
そこでぜひ活用したいのが、IT導入補助金です。この記事では、電子帳簿保存法改正に対応するツール・システムの導入費用を補助するIT導入補助金についてご紹介します。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、業務効率化と生産性向上を目的としたITツールの導入コストを一部補助する制度です。中小企業や小規模事業を対象としており、一般社団法人のサービスデザイン推進協議会が事務局となって提供しています。
2022年で6回目の実施となり、過去に補助金を交付されたことのある企業も申請可能です。ただし、毎回募集要項が更新されるため事前の情報収集を忘れないようにしましょう。ここでは、IT導入補助金の概要と対象企業とそうでない企業の判断基準、2022年度の変更点などをご紹介します。
IT導入補助金の概要
上述したように中小企業・小規模事業者等が自社の課題解決やニーズ対応のために、会計ソフトや販売管理システムなどのITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。ITツールであれば何でもいいわけではなく、事務局に登録されているIT導入支援事業者が事前に事務局に認定を受けたITツールで、なおかつ生産性向上に貢献できることが条件となっています。
そのため、類型ごとに解決すべき業務課題や対象となるITツールが満たすべき要件が異なります。IT導入補助金の交付を受けるためには、あらかじめ決められた流れに沿って申請を行い、審査を経て採択を受けることが必要です。
補助金が交付されてからITツールを購入できるため、金銭的リスクがかからないことや、不採択になっても次回以降に何度でも再申請できることが魅力として挙げられます。通常、実績を報告した後の1ヶ月から2ヶ月程度で還付されるため、採択後、導入・支払いを行うタイミングが早ければ早いほど補助金の還付も早まる仕組みです。
対象事業者と対象外の事業者の基準
中小企業基本法の定義にあてはまる中小企業や従業員が20人以下の小規模事業者を対象とした補助金制度ですが、全ての事業者が該当するわけではありません。
IT導入補助金を申請できる事業者は定められた業種・組織形態に該当していて資本金と従業員数(常勤)が一定以下の場合に限ります。幾つか例を挙げると、製造業や建設業、運輸業では資本金が3億円以下で従業員数が300人以下、卸売り業では資本金が1億円以下で従業員数が100人以下などです。他にもサービス業や小売業、医療法人、学校法人なども対象の業種・業態として規定されています。
また、いずれの業種・業態においても交付申請をした時点において日本国内で登録されている個人・法人で日本国内において事業を行っていなければなりません。一方で補助金制度の対象にならない事業者としては、会社が発行している株式総数又は出資価格の総額の半分以上を同一の大企業が所有しているなどのいくつかの条件が定義されています。
2022年度の変更点
2021年の年末に成立した令和3年度補正予算の中で、IT導入補助金の予算も中小企業生産性革命推進事業の中に組み込まれ成立しています。事業全体の予算額は昨年度よりも下がったものの、引き続き事業環境変化への対応支援を目的とした特別枠が新設されています。
昨年度の2021年は、新型コロナ感染症対策として低感染リスク型ビジネス枠が設けられていました。低感染リスク型ビジネス枠は、コロナ感染拡大防止のために対人接触機会を減らしつつ事業継続を図る、ポストコロナを見据えた新たなビジネスや生産プロセスを導入することを支援するものです。
今年度は低感染リスク型ビジネス枠に代わって、2023年施行予定のインボイス制度を見据え、デジタル化基盤導入枠としてデジタル化導入類型と複数社IT導入類型の2つが新設されました。補助率は3分の2、受給可能な補助金は最大350万円になる見通しです。さらに50万円以下のITツール導入の場合には補助率が3/4までアップし、下限も引き下げられています。他にも、昨年度までレンタルのみが対象だったPC・タブレット、レジ・券売機等について今年度は購入も対象となっており、活用する企業の増加が見込まれます。
電子帳簿保存法への対応枠
前述したように、今年度のIT導入補助金は電子帳簿保存改正やインボイス制度対応に向けたDX化促進の観点から、デジタル基盤導入類型と複数社連携IT導入類型2つの枠を新設しています。ここでは、新たに新設された枠をそれぞれ詳しくご紹介します。
デジタル化基盤導入類型
企業間取引のデジタル化を一挙に推進することを目的とした類型で、主にインボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応が挙げられます。デジタル化基盤導入類型は、通常枠との併用も可能なため、バックオフィスのDX化をまとめて実現できるでしょう。
補助額は5万円~350万円で、機能要件が会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上の場合が5万円~50万円以下、2機能以上の場合は、50万円以上~350万円までになります。補助率は、機能要件が1機能以上の場合が3/4以内、2機能以上で2/3以内になります。
対象となるのはECソフトや会計ソフト等で補助対象費が、ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分補助)・導入関連費用等・ハードウェア購入費です。ただし、ハードウェア購入費に関しては、補助上限額が設定されていることに注意が必要です。
複数社連携IT導入類型
10社以上が集まって商工団体や観光振興に取り組む中小企業団体などが連携し、各種システムやそれに係わるハードウェアなどに対して最大で3,000万円が交付される類型です。
補助額は、デジタル化基盤導入類型で定められている要件に属する場合と属さない場合で異なります。属する場合は、基盤導入経費として会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上の機能要件を満たす場合は5万円~50万円、機能要件を2機能以上満たす場合は50万円超~350万円です。
属さない場合は消費動向等の調査分析経費として50万円×参画事業者数、参画事業者の取りまとめに要した事務費として基盤導入経費+消費動向等の調査分析経費×10%の金額が補助されます。補助上限額は、基盤導入費と消費動向等の調査分析経費が3,000万円、消費動向等の調査分析経費と補助事業者が参画事業者の取りまとめに要した事務費が200万円です。
なお、補助率は基盤導入費の場合、機能要件を1機能以上満たす場合は3/4以内、2機能以上を満たす場合では2/3以内と定められています。また、消費動向等の調査分析経費と補助事業者が参画事業者の取りまとめに要した事務費はどちらも2/3以内です。
IT導入補助金の申請準備に必要なもの
IT導入補助金を申請するには、必要書類を揃えておく必要があります。法人の場合は、法務局に登録されている企業の登記事項を証明する履歴事項全部証明書と、その1からその6までの全6種類ある法人税の納税証明書のうち、その1あるいはその2を用意します。納税証明書は税務署の窓口で発行されたもののみ有効です。
個人事業主の場合は、交付申請日が有効期限内である運転免許証又は交付申請日から遡って3ヶ月以内に発行された住民票、所得税の納税証明書、所得税確定申告書Bが必要になります。所得税確定申告書Bとは、税務署が確定申告の書類を受け取った日付を示す受付印が押された書類のことです。所得税の納税証明書は、法人同様全6種類のうちのその1あるいはその2が必要となり、税務署の窓口で発行されたもののみが有効です。
上記で挙げた必要書類の他にも、申請には事前に準備すべきことがあります。以下に、申請前に準備すべきことをご紹介します。
gBIZIDプライムの取得
gBIZIDとは、法人・個人事業主向けの共通認証システムです。IDを取得すれば1つのIDとパスワードでさまざまな行政サービスにログインできます。具体的にはIT導入補助金の申請や事業継続力強化計画などの認定申請、社会保険手続き、飲食店の営業許可申請などがインターネット上から可能になります。有効期限がないため、一度IDを取得してしまえば面倒な年度更新も不要です。ただし、紛失すると悪用されるリスクもあるため、取得後は大切に保管しましょう。
gBIZIDにはプライムとエントリーの2種類のアカウントがあり、IT導入補助金の申請ではプライムアカウントの取得が求められます。プライムアカウントを取得するにはgBIZID公式サイトで登録申請書に入力してダウンロードし、印鑑証明書の代表者印、個人事業主の場合は印鑑登録証明書の実印を押印して郵送します。なお、申請後プライムアカウント発行までにおよそ2週間程度を要する点には注意が必要です。IT導入補助金を申請するタイミングから逆算して、余裕を持ってアカウントを取得するようにしましょう。
課題解決ソリューションの選定
電子帳簿保存法改正やインボイス制度施行など事業者を取り巻く環境が目まぐるしく変化するビジネス状況下においては、社内システムも常に変化に対応できるように更新していく必要があります。既存システムで対応できない場合は新たにシステムを導入する必要があるでしょう。ただし、闇雲にシステムを導入したのでは、期待した効果は得られないかもしれません。
補助金の申請を行う前に、まずは自社の経営課題や事業規模などを現場担当者とヒアリングし、自社が抱えている課題を可視化しておきましょう。なお、その際は外部ベンダーに依存することはできるだけ避け、自社のリソースで現状を把握したほうが正確な課題の把握に繋がります。課題が明確になれば必然的に必要な機能も絞られるため、適格に課題解決のためのソリューションを選定することができるでしょう。
IT導入支援事業者の選定
IT導入補助金の交付を受けるにはIT導入支援事業者として登録されたベンダーと共同での申請が必要です。IT導入支援事業者とは、事務局及び外部審査委員会によって執り行われる審査を経て採択されたベンダーを指します。IT導入支援事業者の役割は中小企業や小規模事業者が生産性向上に取り組むにあたり、ITツールの選定・提案や導入計画・事業計画の立案・策定、及び各種の申請手続きを支援することです。事務局に登録されているIT導入支援事業者やITツールは中小機構のIT導入補助金メインページから検索することができます。
申請を希望するソフトウェアに関しても、共同で作業にあたるIT導入支援事業者が提供するITツールであることはもちろん、これまでの申請実績も交付を受けるうえでは重要なポイントです。複数の事業者と共同しての申請はできないため、複数の事業者を比較検討して自社に合うベンダーを選ぶといいでしょう。
請求業務の効率化は「請求管理ロボ」にお任せ!
電子帳簿保存法改正やインボイス制度の施行などによって、経理業務のデジタル化が急務である中、予算が少ない中小企業等はツール・システムを導入するコストの捻出が困難です。そこで、IT導入補助金をはじめとする補助金制度を活用してデジタル化を図る企業が増えています。しかし補助金の対象ITツールは限定されており自社にあったツールの選定は一苦労でしょう。
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加えて、SFA(販売管理システム)との連携により、自動で行われた請求業務の内容を会計システムに反映させることも可能です。これにより、煩雑なやり取りの削減と企業会計の透明化をサポートし、従業員がコア業務に専念できるようになります。
なお、コンビニ決済、クレジットカード決済、口座振替、銀行振込など、複数の決済手段に対応しているため、企業間取引のみならず、BtoC取引にも活用いただけます。
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