請求書の未払いに対する催促方法を解説!未払いリスクの軽減方法なども紹介
毎月の売上代金を回収するために、経理では請求書の発行を行い、入金日には売掛金の消込業務を行わなくてはなりません。このときに予定通り入金があれば良いものの、代金が未払いだった場合は、入金の催促を並行して行う必要があります。
今回は、請求書の未払いが起きてしまったときの催促方法や督促状の記載項目について解説します。また、未払いリスクを軽減するための工夫についても併せて紹介します。
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請求書に対して未払いが発生する3つの理由
まずは、請求書に対して未払いが発生する主な理由を3つ紹介します。
理由1:自社のミス
まず、自社のミスが原因で未払いが発生することがあります。自社のミスとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。
・経理が受注を把握していなくて、請求書が送られていなかった
・請求書を別の取引先に送ってしまった
・支払期日を間違えて記載してしまった
代金が入金されていなかったからといって、いきなり取引先に連絡すると印象を悪くしてしまいます。まずは、自社に不手際がないか確認しましょう。
理由2:取引先のミス
取引先のうっかりミスで入金されないこともあります。具体的には、以下のようなミスが考えられます。
・支払期日を勘違いしていた
・請求書が正しい部署に届いていなかった
・間違って請求書を捨ててしまった
相手のミスが判明した場合は、催促するとともにいつまでに入金できるかを忘れずに確認しておきましょう。ただし、このとき高圧的に催促することは絶対に避けてください。「請求書が分かりにくい書式だった」「期日が書いていなかった」といった問題が自社にもあったかもしれませんし、何より会社の印象を悪くします。たとえ相手に非があったとしても、ビジネスマナーを守って真摯に対応しましょう。
理由3:故意によるもの
ケースとしては多くないものの、貸倒れにより代金が意図的に支払われないこともあります。貸倒れとは、経営悪化で売掛金などの債権が回収できない状態のことを指します。
催促は気が重い仕事ですが、取引先が倒産や資金ショートしてから対応するのでは手遅れです。なかには「何回督促状を送っても入金されないため、直接訪問したら事務所が廃屋になっていた」という事例もあります。
また、明確な悪意を持って入金をしない企業も存在しています。後ほど紹介しますが、こういった悪質な企業との取引を避けるためにも、経理では与信管理を徹底することが重要です。
請求書の未払いへの催促方法
先述したように、未払いだからといっていきなり取引先に催促するとトラブルの原因となります。以下のような手順で確認・対応を進めましょう。
・自社の不備などを確認する
・メールや電話で連絡する
・催促状を送付する
・督促状を送付する
・法的措置を取る
それぞれの対応方法について詳しく紹介します。
手順1:自社の不備などを確認する
まずは、自社に不備がなかったかどうかを確認しましょう。請求書が未払いの際に、自社で特に確認すべき項目は以下の3つです。
①請求書の宛先間違いがないか
取引先が多いと、「宛先の会社名を間違えてしまった」「請求先の部署を間違えてしまった」というミスが生じることがあります。また、取引先が多くの拠点を構える大企業の場合、誤った支店に請求書を送っている可能性もあるでしょう。
ちょっとした間違いが原因で請求書が正しく送られていないケースも考えられるため、念のため宛先に誤りがないかを確認しましょう。
②日付の記載ミスがないか
日付の記載ミスも、よくある不備です。たとえば、月締めの翌月末払いで請求書を出した場合、請求日と支払期日は以下のようになります。
請求日:11月1日 → 支払期日:12月31日
請求日:11月30日 → 支払期日:12月31日
請求日:12月1日 → 支払期日:1月31日
このように、請求日と支払期日を取り違えてしまっている可能性もあります。
③請求書の送り忘れがないか
「請求書を正しく作成したのに、送るのを忘れてしまっていた」というケースもまれにあります。特に月末などの繁忙期中だと、うっかり請求書を送り忘れたり紛失したりしてしまうことは珍しくありません。
特に請求書の作成と送付の担当者が別の場合などは注意しましょう。
手順2:催促メールや電話を入れる
自社に不備がないことを確認したら、取引先に連絡しましょう。最初はメールで連絡することをおすすめします。なぜなら、催促の証拠が残るうえに高圧的な印象を与えにくいためです。単なるうっかりミスで入金を忘れているという可能性もあるので、まずはメールで連絡したほうが相手の心理的な負担になりにくいでしょう。
また、電話は「言った・言わない」のトラブルを招く恐れがあります。メールの催促に応じなかった場合のみ、電話して直接話すようにしましょう。
メールや電話をする際には、強い言い方で伝えるのではなく、まずは丁寧に事実を伝えるとともに、相手の状況を確認するのがポイントです。
手順3:催促状を送付する
催促メールや電話をしても入金されないときは、次に催促状を送りましょう。催促状には、「〇月〇日に連絡をしましたが、〇月×日時点で入金の確認ができておりません」「〇月△日までに、ご連絡または入金をお願いいたします」といったことを記載してください。
ちなみに、催促状に法的拘束力はありません。
手順4:督促状を送付する
催促状を送っても入金されないときは、督促状を送りましょう。督促状とは、期日までに代金が支払われなかったことに対し、入金するよう促す書面のことです。催促状との違いとしては、督促状はその送付によって時効の完成を6ヶ月の間、食い止められる点です。ただし、督促状における法的効力は、上記のように「時効を6ヶ月の間食い止めることができる」という点のみです。時効の消滅を食い止めたい場合は、この期間内に訴訟提起や支払督促といった法的措置を検討することになります。
なお、督促状は、書面の送り主と宛先・内容・受け取った日付などを証明してくれる「内容証明」で送ることをおすすめします。内容証明で送れば、相手は「受け取っていない」と言い逃れができなくなり、心理的効果が大きくなるためです。
内容証明は郵便局で手続きができます。1,000~2,000円ほどの料金はかかってしまいますが、強力な証拠として役立ってくれます。
内容証明について、詳しくは以下の記事で解説しています。
督促状の記載項目
督促状には、以下の項目を記載します。
・宛先
・発行日
・差出人
・表題
・支払要求
・法的措置の告知
督促状の各項目の詳細やテンプレートについては、以下の記事をご覧ください。
手順5:法的措置を取る
督促状を送っても取引先が支払いに応じない場合は、法的措置も視野に入ってきます。法的処置には、以下のような手段があります。
・裁判所からの支払い督促
・民事調停申し立て
・強制執行申し立て
・少額訴訟
ただし、法的処置を取る場合は、取引先との継続的な取引ができなくなってしまうことを覚悟しましょう。また、専門的な知識がない場合は弁護士の協力が必要となり、費用もかかります。法的措置は企業にとっても大きな負担となるため、あくまで最終手段として考えておきましょう。
未払いリスクを軽減する工夫
未払いへの対処は経理にとって大きな負担になるので、可能な限り避けたいものです。そのため、そもそも未払いが起きないように対策することが非常に重要です。そこで、ここでは未払いリスクを軽減するために実践したい工夫を3つ紹介します。
業務フローを見直す
請求書の送り漏れやミスを防ぐためにも、まずは業務フローを見直しましょう。ミスの発生を予防するだけではなく、万が一ミスしてしまっても気付ける環境を整えることが肝心です。具体的には、以下のような対策が効果的です。
・従業員ごとの役割を明確にする
・請求書をダブルチェックする
・入金や進捗をチームで共有する
とくに、関連部署内で進捗を共有することは大切です。請求書が正しく取引先に送付できているかが管理しやすくなりますし、万が一未払いが発生しても、自社のミスによるものか取引先のミスによるものかが把握しやすくなります。
与信管理を徹底する
与信管理の徹底も未払いのリスクを減らす有効な対策法です。与信管理とは、取引先の支払い能力や経営状況を調べ、掛け売りをしても問題ないかを判断することです。与信管理の方法としては、以下のような手段があります。
・取引先へのヒアリング
・財務諸表の調査
・Web上の評判、口コミの確認
・第三者による調査依頼
与信管理を厳しくすると新規の取引先を増やしにくくなるというデメリットがありますが、未払いが発生するリスクは大幅に低減できます。
請求業務にシステムを導入する
請求業務にシステムを導入することも、未払いリスクの低減に効果的です。システムを導入すれば請求書の作成や送付を自動化できるため、業務の負担が減ります。システムによっては、支払期日が近づいたときにアラートを出してくれたり催促を自動で行ってくれたりする機能があり、未払いへの初期対応を任せることが可能です。
また、システムに請求業務を任せることで、ヒューマンエラーによるミスを限りなくゼロにできます。自社が原因の未払いリスクを減らせるので、入金管理がしやすくなるでしょう。
システムの導入で業務を圧迫する請求が自動化できれば、従業員は利益に直結するコア業務へ集中できるようになります。費用対効果が非常に高いため、もっともおすすめの対策法です。
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