債権回収を個人で行う方法とは?注意点や債権回収代行についても解説
ビジネスでは商品・サービスを提供する取引が生じると、受領者は提供者に対して一定の対価を払う、または提供する義務が発生します。この義務のことをビジネス用語では「債務」と呼び、その債務を負っている人に対して対価を請求できる権利を「債権」と呼びます。
大半の企業間取引は、商品を提供した後にまとめて支払いを行う掛け取引ですが、この場合では提供企業が受領企業に対して掛けと呼ばれる債権を有することになります。債権の回収とは売掛金の回収であり、この回収を遅滞なく、また漏れなく行うことが健全な会社経営の基本です。この記事では債権回収の概要、債権回収方法、個人で債権回収を行う際の注意点、債権回収代行などについて解説します。
債権回収とは
ここでは、債権回収の概念を理解するために債権回収の仕組み、債権の時効期間、債務者に対する事前調査について解説します。
債権回収の仕組み
債権回収とは、債務者が滞納している借金を債権者が取り立てる行為を指します。金銭以外のものが債権になることもありますが、最も多いのが金銭にまつわる債権です。金銭を債権回収の対象にすることを金銭債権と呼び、この場合では債務者に対して金銭の支払いを要求できる権利が債権にあたります。例えば、商品を販売して売掛代金の支払いを求める権利、工事をして工事代金の請求をする権利、有形無形のサービスを提供してその対価の支払いを求める権利などが債権に該当します。
債権回収は、債務者支払いを実際に行わせるための行動と言うことができます。何も問題がなければ、債権者が債務者に請求書を送って期限までに代金の支払いが済むというのが通常の流れです。しかし、債務者が資金の不足によって代金の支払いが延滞したり、不合理なクレームや一方的な都合で支払いを渋ったり、債務者が不渡りを出したりといった事態になると債権回収が滞ります。その場合は、交渉や法的手段によって債権回収をすることになります。
債権の時効期間
権利の行使が可能であると知りつつ権利を一定期間行使せずにいると、その権利は消滅してしまいます。この制度を時効の消滅と言い、債権に対しても同様に適用されます。民法の規定では、商品を販売した側(債権者)が商品を購入した側(債務者)に対して金銭の支払いを請求できる権利が債権と定義されています。
旧民法では、債権を行使できる時から10年経過すると債権の時効期間を迎えると定められていました。これが新民法の改訂により、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、もしくは権利を行使できる時点を起点として10年で消滅すると定められました。つまり、債権者が権利を行使できるかどうかという客観的な時点だけでなく、権利の行使が可能であると知ったという主観的な判断をした時点を時効の起算点とするのが新法の定義です。ただし、法的手段で時効の中断手続きを踏めば、最長で10年まで時効を延長することができます。
債務者に関する事前調査
債務者が支払いを拒んで債権者との交渉にも応じないのであれば、法的措置に訴えることになります。裁判を起こすとなれば時間も費用も要することなので、進めていくにはそれなりの手順を慎重に踏んでいく必要があります。しかしながら、債務者に資産がなければ裁判を起こしても債権の回収はできません。したがって、法的手段に訴える前に債務者に関して事前調査をして資産状況を把握します。事前調査では以下のような点を見ていきます。
・本社所在地の建物・土地の登記情報を調べて不動産を持っているか、また、その不動産が抵当にかけられていないかを調べる
・債務者のホームページなどからメインバンクを調べ、どの銀行に預金口座があるかなどの債権の所在を調べる
・取引している会社を調べ、売掛債権のある取引先を調べる
このような調査は、個人で実施するのはハードルが高いものですが、弁護士に依頼すれば弁護士会を通じて照会手続きを行うことができ、調査範囲を広げることができます。
債権回収方法
法的手段を活用することで債権を回収できる可能性があります。以下に個人でも行える債権回収方法と、法的手段を用いる債権回収方法について解説します。
個人でも行える債権回収方法
個人でも比較的面倒な手続きを経ずに行える債権回収方法として、相殺、債権譲渡、代物弁済、債権者代位権の行使などがあります。
相殺は、債権者が債務者に対して未弁済の債務を所有している場合に、お互いの債務と債権を相殺する方法です。片方のみの主張で成立するので、個人が行う債権回収方法の中では簡単にできるものです。
債権譲渡は、債権を第三者に買い上げてもらうか、債権をその内容はそのままで譲渡してもらうかのいずれかで債権を他者へ移転して回収します。代物弁済は、債務者が所有する資産を債務の弁償の代わりに譲渡してもらって弁済とするものです。債権者代位権の行使は、時効期間が迫っている債権に対して時効で無効になることを防ぐために、債権者が保有する権利を債権者が代わりに行使するものです。
法的手段を用いる債権回収方法
法的手段を用いる債権回収方法は、民事調停、支払い督促、少額訴訟、強制執行などがあります。
民事調停は、簡易裁判所に申し立てを行って調停委員を指定してもらい、調停委員に債権者と債務者の間に入って双方の意見をまとめてもらう手続きです。相手側が同意すれば調停証書を作成しますが、同意が得られなかった場合の調停は不成立となります。
支払い督促は、裁判所に申し立てて裁判所から債務者へ支払いを促す方法です。それと同時に、強制執行を申し立てるのに必要な仮執行宣言付支払督促という債務名義を取得します。
少額訴訟は、支払いの請求額が60万円以下の場合を対象とした訴訟手続きです。費用が少なく、また1回の申し立てで済むのがメリットです。しかしながら、訴えられた側(債務者)が希望すれば民事訴訟に移行しなければなりません。強制執行は、支払い督促で債務名義を取得しても債務者がその内容に従って弁済を行わなかった場合に、財産を差し押さえて債権を回収する方法です。債務者が個人の場合は給与債権や預金債権を差し押さえます。
個人で債権回収を行う際の注意点
個人で債権回収を行う際にはいくつか注意すべき点があります。以下にそれぞれについて解説します。
債務者が弁済に応じにくい
債権が回収できない場合、多くの会社では電話や書面で督促を行っています。このような方法では債務者が素直に弁済に応じてくれることは少なく、効果が見られることはほとんどないと考えておいた方がよいでしょう。弁護士や裁判所を通すなどしない場合、法的な拘束力がないことから債務者が支払いに応じないことは珍しくありません。
また、弁護士や裁判所を通さずに当事者間で交渉をしたり、調停委員を介して話し合いをしたりした場合では、本来の債務額を下回る条件で合意することがあります。特に債権者が個人の場合、その傾向が強くなります。
裁判所への申立に時間がかかる
前項で解説した法的手段を用いる債権回収方法は個人でもできる手続きですが、申立書の作成や必要書類の準備にはそれなりの時間や手間、費用を要します。また、裁判所の書類チェックは厳しいので、書類に不備があると一度では受理してもらえません。その場合は申し立ての準備をやり直さなければならず、さらなる手間が掛かってしまいます。
さらに、裁判を正式に起こすことができたとしても審理には時間を要し、少なくとも半年から1年はかかります。費用に関しては、債権回収金額が大きくなれば通常は費用も大きくなります。標準的な費用例としては、3000万円の債権回収では裁判所に納める訴訟費用は11万円、弁護士に払う費用は159万円程度です。
訴訟手続きへの対応が難しい
支払い督促を行っても債務者が督促異議を申し立てたり、民事調停でも話し合いがまとまらなかったり、少額訴訟を起こしても債務者が異議を申し立てたりした場合は民事訴訟へ移行します。訴訟手続きは上述のように時間、手間、費用を要するもので、訴訟手続きのために何度も裁判所に出向かなければならないのは、当事者にとっては非常に荷が重いものです。
訴訟手続きとしては、請求する内容とその法的根拠を示した訴状の作成、訴状と一緒に提出する証拠の準備、裁判所に訴状を郵送し訴訟の提起、被告(債務者)への訴状の送達という手順を踏む必要があります。その後、被告からの反論文書である答弁書の受領、第1回の裁判期日の出席、準備書面や書証等のやりとり、尋問手続き(人証調べ)へと進みます。
これらのことに全て対応するのは非常に困難でしょう。民事訴訟では被告が原告の主張を認めない限り反証の書面を提出していく必要があり、結審(弁論終結)・判決に至るまでの道筋は険しく、個人で対応できる範囲には限界があります。
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