クレジットカード決済導入の加盟店審査に落ちる要因とは?審査前の準備や審査内容も解説!

クレジットカード決済

JCBが2000年から毎年実施している「キャッシュレスに関する総合調査」によると、 普段、何らかのキャッシュレスを利用している人の割合は94%。クレジットカードは保有率87%、利用率82%といずれも高水準を維持しています。また、経済産業省では、クレジットカード決済を主たるキャッシュレス決済手段として、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度まで引き上げることを目標に掲げ、事業者に補助金を支給するなどして後押ししてきた結果、2023年には39.3%のキャッシュレス決済比率を達成しました。

こうした社会の流れの中で、オンライン支払いにはもちろん、実店舗においてもクレジットカード決済を導入したいと考える事業者は多いことでしょう。
そこで、この記事ではクレジットカード決済の動向、クレジットカード決済の加盟店になるための審査内容や基準、審査に通らない原因などをご紹介します。また、審査前の事前準備についても併せて解説します。

クレジットカード決済のニーズが高まっている背景

インターネットの普及と共に成長してきたEC市場では、クレジットカード決済を主な決済手段としており、EC市場の成熟と共にクレジットカード決済のニーズは高まる一方です。なかでもBtoBに着目すると、2023年のEC市場規模は465兆2372億円であり、この規模は年々拡大する傾向が顕著で、現金以外の決済手段を提供するニーズの高まりの主たる背景になっています。

BtoBのEC市場では未だEC化率は40.0%で、環境が整備されればクレジットカード決済を利用したいと考えている人の数は非常に多いと思われます。また、これまでクレジットカード決済への対応に消極的だった個人商店などでも、徐々に対応する機運が高まっています。

クレジットカード決済の加盟店審査とは


店舗でクレジットカード決済を導入するためには、加盟店審査を受けなければなりません。以下にその内容について解説します。

加盟店審査の内容

審査内容は、ECサイトの有無や提供サービスの表記、カート機能の有無、特定商取引法に基づく表記、経営実績が対象となります。

・ECサイトの有無
基本的にECサイトが公開されていない状態では、審査を行うことができません。ただし、事業を立ち上げたばかりでECサイトが準備できていない場合は、ECサイトの詳細が分かる資料を提出することで審査を受けられるケースがあります。

・提供サービスの表記
提供している商品・サービスの表記は、決済手数料を決める重要な基準となるため、分かりやすく表記しておく必要があります。なお、後述するように取り扱う商品やサービスによっては、審査が通らない場合もあるのでご注意ください。

・カート機能の有無
ECサイトで商品を閲覧できるだけでは、機能が不十分とされて審査に落ちてしまう可能性があります。しっかりとカートが機能するか確認しておきましょう。カート機能の実画面ができ上がっていない場合は、画面遷移図を提示すれば審査を受けられる場合があります。

・特定商取引法に基づく表記
特定商取引法とは、事業者による違法な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守るために作られた法律です。オンライン決済を行う場合は、必ず特定商取引法に基づく表記を記載しなければならない決まりがあります。

・経営実績
経営実績は、企業の信用度を見極めるための重要な審査ポイントです。特に、起業したばかりの企業に関しては、まずは実店舗において実績を積んで信頼性を向上させる取り組みが必要となります。

加盟店審査の期間

加盟店契約会社と直接契約する場合、数週間~1ヶ月程度で審査結果が届きます。ただし、必要書類に不備が見つかった場合は、さらに時間が掛かるため注意しましょう。

一方、クレジットカード決済代行会社の場合、審査手続きが最短3営業日とスピーディに導入できます。

加盟店審査について

個人の消費者がクレジットカードを作る際に審査があるのと同様に、クレジットカード決済を導入しようとする店舗にも加盟店審査があります。加盟店審査とは、クレジットカード会社がクレジットカード決済導入店舗の信用度を調べるものです。このような審査を行う理由は、クレジットカード決済は消費者、加盟店、クレジットカード会社の三者の間に信用関係が構築されることで初めて成り立つ「信用取引」という取引形態であるためです。

クレジットカード決済の一般的な流れとしては、まず消費者がクレジットカードで買い物をするとクレジットカード会社が商品代金を立て替えて加盟店に支払い、その後消費者の口座から商品代金を引き落とします。その際、何らかのトラブルで引き落としができないとクレジットカード会社は損失を被ることとなります。そのような不利益が生じないようにするために、店舗の運営形態を調査して信用に足るかどうかを確認する加盟店審査が行われるのです。

加盟店のメリットについて

クレジットカードは、利便性が高いことやECサイトの売り上げが増えていることなどから利用者は年々増えています。実際、日本クレジット協会の統計をみても国内のクレジットカード決済合計額は、ここ15年間の実績で毎年7%から14%の比率で増え続けています。近年成長が著しいECサイトではクレジットカード決済が最も多く、事実上スタンダードの決済手段になっているのです。

また、店舗が現金を取り扱うリスクを低減できる点もメリットです。現金決済では、数え間違いで収支額に相違が出たり、店員が現金を紛失したり、ECサイトの場合は現金が振り込まれたことを確認できるまで時間が掛かったりといったリスクや問題があります。しかし、クレジットカード決済ならそのような悩みから解放され、現金管理に掛けていたコストを削減することも可能です。

加盟店契約の流れについて

加盟店契約の流れは次の通りです。
まず、店舗の営業形態に応じてそれぞれ用意されている加盟店申込書をクレジットカード会社に請求します。クレジットカード会社から申込書と案内の資料が発送され、申込書が届いたら店舗の業態、規模、経営状況などの必要事項を記入して捺印のうえ、クレジットカード会社に返送します。なお、オンラインショッピング加盟店の場合は、登記簿謄本や決算報告書などの会社概要資料、オンラインショッピングでの取扱商品の内容が確認できる資料、ファイアウォールの措置やSSL暗号化などの措置が確認できるセキュリティ概要図などの書類も必要です。

クレジットカード会社は返送された書類を元に加盟店の審査・手続きを行います。審査期間は営業形態のよって異なりますが、実店舗販売の場合で2週間程度、オンライン販売の場合で3週間から4週間程度です。加盟店審査が通過して加盟手続きが終わると、クレジットカード会社からステッカーや売上票などのカード取り扱いツールが送られてきます。ツールが届き次第、クレジットカード取り扱いが開始できます。

クレジットカード決済の加盟店審査が通らない原因

クレジットカード決済導入の加盟店審査に通らない主な原因は、「クーリングオフによる損失リスクを抱える業種である」「特定継続的役務提供の対象業種である」「トラブルの生じやすい商材やサービスを取り扱う企業である」「信用情報に問題を有する企業である」といったことが考えられます。

クレジットカード決済導入の加盟店審査に関する詳細な内容は公表されていませんが、経営者の年齢などの個人属性・店舗形態・営業年数・業種や商品の内容・店舗の売上や規模などの「スコアリング」と呼ばれる基準で支払い能力を評価しています。

特に業種や提供サービスの面で、一定の売上が見込めない場合や資金回収が不安定と見込まれる場合は、企業が倒産するリスクが高いことから一層審査基準が高く設けられています。
また、異動情報と呼ばれる信用情報もチェックもされます。

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

クーリングオフによる損失リスクを抱える業種である

クーリングオフによる損失リスクが高い業種は、貸し倒れのリスクを避けるために審査が厳しくなっています。

クーリングオフとは、商品やサービスを特定の取引で契約した際に、一定期間であれば無条件で契約の解除ができる制度です。契約時に支払った費用に関しても消費者へ全額返還されます。
万が一企業が提供する商品をクーリングオフされた場合は、不払いという扱いになり加盟店契約会社は資金を回収できなくなります。

特定継続的役務提供の対象業種である

消費者庁の解説によると「『特定継続的役務』とは、役務の提供を受ける者の身体の美化、知識・技能の向上などの目的を実現させることをもって誘引されるが、その目的の実現が確実でないという特徴を持つ有償の役務のこと」と定義されています。また、特定商取引法では、エステティック・美容医療・語学教室・家庭教師・学習塾・結婚相手紹介サービス・パソコン教室の7業種を「特定継続的役務提供」定めています。

これらの業種には、長期・継続的なサービス提供と高額な対価が必要となるものの、すべての顧客の目的を100%実現するのは難しいという特性があります。そのため、解約や支払いをめぐるトラブルが起こりやすい状況があり、中途解約権などが消費者保護の観点から法令で認められていることもあり、クレジットカード会社としては解約による不払いリスクなども想定しなくてはなりません。

こういった理由から、特定継続的役務提供の対象業種は、経営実績を数値化して判断できないため、資金計画を立てられず審査が通りにくくなっています。

トラブルの生じやすい商材やサービスを取り扱う企業である

「トラブルの生じやすい商材やサービス」としては、「アダルト向け商材」「情報商材」の2つが挙げられ、これらを扱う企業に対しては厳格な審査が行われる可能性があります。

アダルト向けの商材や情報商材のすべてが悪質なものというわけではありませんが、消費者との間でトラブルが起こりやすいのも事実です。また、クレジットカードブランドのイメージを損なう可能性にもつながります。こうしたことから、これらの商材やサービスを取り扱う場合にも審査通過が難しいケースが多いです。

信用情報に問題を有する企業である

信用情報の一つである異動情報が記録されていると、支払い能力や信用度が低いものとみなされます。

異動情報は過去に3ヶ月以上の延滞がないか、保証会社が代位弁済を行ったことはないか、自己破産や任意整理などの債務整理を行ったことはないかといったトラブルの履歴をみるものです。他にも多重申し込みをしていたり、虚偽の申告をしていたりすると加盟店審査に落ちる原因になります。

クレジットカード加盟店審査に必要な準備とポイント

クレジットカード加盟店審査を申請するにあたっては、必要となる準備やポイントがいくつかあります。以下に項目ごとに解説します。

ウェブサイトを運用できる状態にする

1つ目の準備は、Webサイトを正しく運用できる状態にすることです。店舗情報がWebサイトで確認できるかどうかも加盟店審査の判断を左右します。特にエステティックサロンやスポーツジムなどの「特定継続的役務」と呼ばれるサービスを提供している場合や、訪問販売を行っている場合は、Webサイトの有無はもちろんのこと、Webサイトの運営状況やWebサイトに含まれる内容も重要な審査対象になります。

またECサイトを運営している場合は、商品を買い物カートに入れられる状態にしておくこと、Webサイトには特定商取引法に基づく表記の記載をすることも必要です。特定商取引法に関して表記が必要なのは以下の項目です。

・事業者名(法人の場合は登記簿上の名称に加えて代表者氏名を表示)
・所在地
・連絡先
・商品等の販売価格
・送料などの顧客負担となる費用
・代金の支払い時期
・代金の支払い方法(クレジットカード・代金引換・銀行振り込みなど)
・商品等の引き渡し時期
・返品の可否と条件

各種必要書類を準備する

クレジットカード会社や店舗で取り扱う商品・サービスによって必要となる書類は異なりますが、代表的なものは以下の通りです。

・印鑑証明書
印鑑証明書とは、役所に登録した印鑑が本物であることを証明する書類です。個人の場合は、発行は役所や自動交付に対応したコピー機のあるコンビニでできます。法人の場合は、法務局で取得できます。提出する印鑑証明書は、発行してから3ヶ月以内のものを用意しましょう。

・資格書類
資格書類とは、企業の代表取締役などが商業登記簿に記載されていることを登記所が証明する書類です。会社の商号や本店の住所、代表取締役の氏名と住所の3つに変更がないこと、共同代表の登記がないこと、上記全ての項目を登記所が証明していることが記載されています。資格書類は法務局で取得できますが、印鑑証明書同様に取得から3ヶ月以内のものの提出が求められます。

・許可証
許可証とは、後に説明する許認可が必要な商品を取り扱う場合に必要になる書類です。許可証は、取り扱う商品によって取得場所が異なるので事前に確認しましょう。

・登記簿謄本のコピー
登記簿謄本は、法人を設立した際に法務局へ登記した情報が記載されている書類です。企業名や法人名、設立日、所在地、資本金額、事業目的などが明記されています。登記簿謄本のコピーは、最寄りの法務局から取得できますが、ネット環境が整っているのであればオンライン請求で取得可能です。登記簿謄本のコピーは、取得から3ヶ月以内のものを用意してください。

・振込先口座情報
振込先口座情報は、加盟店契約会社が企業へ売掛金を入金する際に必要となる情報です。内容に誤りの内容に準備しておきましょう。

他にも、以下のようなものが必要になる場合もあります。
・契約者(事業主)の名前、住所、電話番号、生年月日
・法人代表者情報
・個人事業開廃業届
・メニュー表
・店舗写真
・取り扱い商品、サービス内容、価格
・商品写真(3点以上・ホームページ可)
・代表者身分証
・飲食店営業許可証
・深夜酒類営業開始届出
・連帯保証人身分証

店舗が完成していない場合は賃貸契約書、開業広告チラシ、求人広告が必要です。イベント利用の場合は、イベント情報が掲載されたチラシやホームページのURL情報、集客方法の詳細が分かる書類などが必要になります。

必要な許認可を取得する

店舗で取り扱う商品やサービスの内容によっては、公的機関から許認可を取得する必要があります。ここでいう許認可とは、国や地方自治体、保健所、警察署などの各種行政機関から取得する許可・認可を意味します。

許認可の種類は、個人や法人、団体で分けられており、関連する法令も異なってきます。一例を挙げると、飲食業では飲食店営業許可、お酒の販売では酒類販売業免許、医薬品の販売では薬局開設許可、美容院では美容所開設届出、旅館・ホテルでは旅館業営業許可がそれぞれ必要になってきます。手続き内容や関連する法令はさらに細かく分かれているので、事前に業種ごとの許認可項目とその要否をきちんと調べる必要があります。

またWebサイトがある場合は、サイト上で許認可情報の開示も必要になります。

クレジットカード決済の契約方式によって加盟店審査の手続きが異なる


クレジットカード決済の加盟店審査の手続きは、直接契約か決済代行会社経由の契約かによって異なります。

【直接契約】カードブランドごとに審査が必要

直接契約は、決済代行会社を通さずにカードブランドからライセンスを取得し、加盟店の審査や管理を行う「アクワイアラ」と直接契約する形態です。決済手数料を低く抑えることができますが、加盟するカードブランドごとに審査手続きが必要となります。

また、自前で決済システムを開発するとなると、クレジットカード会社ごとにシステムを開発する必要が出てきます。他にも、クレジットカード会社によって締め日や入金日が異なるため、経理業務が煩雑になるという懸念点もあります。

【決済代行会社】一括で審査が可能

決済代行会社経由で契約する方法は、包括加盟店方式とも呼ばれており、決済代行会社が複数のカード会社との契約手続き、商品決済、売上金管理、入金処理などの店舗運用を一本化して仲介するものです。複数種のクレジットカードを導入したい時でも、加盟店は申請書類を1セット提出するだけで手続きが済み、決済代行会社がカード会社各社への申請手続きを代行してくれます。

また、加盟店審査をスムーズに通過するためのノウハウを教えてくれたり、アドバイスをしたりするので直接契約よりも審査通過率が上がる可能性もあります。さらに、決済代行会社が管理システムを提供するので、カード会社ごとにシステムの仕様が異なる場合でも加盟店は1つの管理システムを扱うだけで済みます。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。