請求書に電子印鑑を導入するメリットとは?法的効力や注意点など様々な疑問を解決!
2020年、世界に広まった新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言が発令されたことを受けて、リモートワークを導入した企業が多く現れました。しかし、紙媒体を使うことの多い業務やそれらの書類へ押印するという、旧態依然とした業務内容のために出社を余儀なくされる社員がいる課題も提起されました。
このような紙・印鑑文化から脱却するには、資料の電子化(ペーパーレス化)と電子印鑑による電子承認への移行が必要です。この記事では、電子印鑑の概要やメリットとデメリット、使用上の注意点などについて解説します。
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電子印鑑とは
ここでは、電子印鑑の理解のために普及の経緯や法的効力、書類の電子化に関する法律について解説します。
電子印鑑の普及の経緯
パソコンとインターネットの普及に伴い、電子商取引が急速に拡大してきました。この電子商取引を可能にし、安全性を確保するために欠かせないのが電子印鑑です。
電子印鑑の概念は、1970年代に電子商取引におけるトラブルを防ぎ、書類の改ざんが行われなうようにする手段として公開鍵暗号技術を利用した電子印鑑が提唱されたのが始まりです。当時は限られた人しか電子印鑑を利用できませんでしたが、1990年代に入ってデジタル署名の機能を組み込んだ電子印鑑が開発され、一般の人にも使用される契機となりました。
そして、ペーパーレス化の促進、オンライン化の普及、クラウドサービスの台頭といった時代の変化とともに、社内資料の電子化、商取引の電子化を支える技術として電子印鑑が普及してきました。インターネットが当たり前のインフラとして普及した現代では、紙を媒体としたプロセスでは滞りがちな業務を、電子印鑑を用いて電子化していく試みが企業の大小を問わず行われています。
電子印鑑の法的効力
電子印鑑の法的効力に関しては、e-文書法で契約書を含む一部の商取引文書の電子化が認められています。そのため、契約書を紙にプリントアウトせずに電子化して取り交わした場合も、契約書は法的に有効なものとなります。もちろん、電子化された契約書に電子印鑑を捺印することも可能です。
ただし、電子印鑑が法的に効力を持つためには、公的機関の証明が必要です。電子証明書と呼ばれるもので、信頼できる第三者(認証局:Certification Authority)が、電子印鑑が間違いなく本人のものであることを電子的に証明するものです。
紙媒体で契約書を交わす際の印鑑証明書に相当するもので、電子証明書が施された電子印鑑を捺印した文書は、紙の文書に実印を捺印したのと同等の法的効力を発揮します。
法的効力のある電子印鑑を作成するためには、有料のデジタルハンコサービスを利用します。デジタルハンコサービスで作成した電子印鑑には、シリアル番号や個人認証機能、印影データに本人の識別情報や押印した時間などの記録情報が付与されており、いつ・誰が・何に押印したかという履歴が残ります。
書類の電子化に関する法律
書類の電子化が進むにつれて、法制面でも整備が進みました。まず、1998年に電子帳簿保存法が施行されました。これは従来、紙の形で7年間保存しなければならないとしていた会計記録などの国税関係の帳簿書類を、一定の保存要件下で電子データと保存することを可能にしたものです。
次に、2001年に電子署名法が施行されました。これは電子署名が、直筆の署名や実際の印鑑を用いた押印と同等の法的効力があると定めたものです。同法では、電子署名が行われた電磁的な記録情報は、真正に成立したものとみなすと記されています。
同じく2001年にIT書面一括法も施行されました。これは書類のやりとりを、電子メールなどの情報通信技術を用いた方法に代えてサービス提供を行うことを可能にしたものです。同法は、紙の書面で手続きすることを義務付けている各種の規制が、電子商取引を進めるうえで阻害要因になっているとの指摘を受けて成立しました。そのため、契約を結ぶ際に相手側が同意するのであれば、紙媒体の契約書に代えて電子的手段を用いることを認めています。
そして、2005年にe文書法が施行されました。これは商法や税法で保管が義務付けられている帳票類などを、電子化した形で保存することを認めたものです。
このように、法律からも書類の電子化の流れが加速していることがわかります。また、働き方改革が声高に叫ばれている昨今では、業務効率の向上とコア業務に集中できる環境作りが喫緊の課題とされています。
そのため、あらゆる業務において書類が電子化していくことは避けられません。他社に後れを取らないためにも、早めに電子化に対応しておくことは必須といえるでしょう。
請求書に電子印鑑を使用するメリットとデメリット
ここでは、電子印鑑を使用した請求書のメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
メリット
請求書に電子印鑑を使用するメリットとして最初に挙げられるのは、業務効率が向上するという点です。紙媒体と実際の印鑑を用いた業務では印刷する手間、印鑑と朱肉を用意する手間、印鑑を押し間違えた場合にもう1回印刷して捺印し直す手間などが掛かります。
しかし、電子印鑑を用いればそのような手間から解放されます。また、業務効率が上がるのは請求書の作成だけではありません。紙の書類と実際の印鑑を持ち歩く必要がないので、外出先からでも稟議書や決済書の承認を行うことができ、事務手続きが滞留してしまうという心配もありません。
もう1つメリットとして、請求書をプリントアウトする必要がないので、用紙代やインク代などの印刷コストを削減できることが挙げられます。1枚あたりの印刷コストは小さいものの、年間を通してみればそのコストは無視できない額になります。特に、郵送による切手代が掛からなくなるため、大幅なコスト削減が実現できるでしょう。
さらに、紙の書類のように保管するためのキャビネットや保管場所も要らず、管理面でも楽になります。
デメリット
電子印鑑を利用した請求書のデメリットとして最初に挙げられるのは、セキュリティ面に注意しなければならないという点です。印影を単純に画像化したデータなら無料のツールやエクセル、パワーポイントなどで簡単に作成することができます。
しかし、このような画像データではその印影を押捺したのが本当にその所有者なのかどうかは証明できず、なりすましや複製、不正利用などの恐れがあります。経理処理上の正式なシステムとして電子印鑑を導入するのなら、印影に所有者の情報などを付与できる電子証明書が施された電子印鑑を用いてセキュリティ対策をする必要があります。
もう1つのデメリットとしては、セキュリティ対策を講じた仕組みにするためには、導入コストが掛かることも挙げられます。そのため、導入コストと削減できるコストを比べて導入する利点があるかどうかを事前に見極める必要があります。
電子印鑑の使用上の注意
電子印鑑は使用するうえで何点か注意する必要があります。以下に3つのポイントを解説します。
電子印鑑の種類によって使い分ける
電子印鑑は、3種類のその作り方に大別できます。
・無料のツールやエクセル、パワーポイントなどを使う方法
最も手軽に作成できる方法で、フリーウェアの印鑑作成ツールを使ったり、パソコンにインストールされているエクセルやワードを使ったりして作成できます。自分の名前や社名、承認などの文字を入力し、図形ツールで文字を丸や四角で囲んで画像データとして保存すれば完成です。
ただし、このような方法で作成した印鑑は、本人が捺印したことを証明することができないので、社内の回覧書類など重要度の低い書類のみに用いましょう。
・押印した印鑑をスキャンする方法
紙に実物の印鑑を捺印して、その印影をスキャナーでパソコンに取り込みます。1つ目の方法よりはオリジナリティがありますが、やはり本人証明能力がないのでこちらも使うのは社内向けの非重要文書に限ります。
・デジタルハンコサービスを利用する方法
3つ目は、先にも触れた、有料のデジタルハンコサービスを利用して作成する方法です。印影に識別情報が含まれるので、社外向けの契約書などにも使えます。
複製のリスク
前項で触れた無料のツール・Officeソフトなどを使う方法や、印影をスキャナーで読み込む方法は、ツール内のフォントが誰でも使えること、画像データから印鑑を複製できることから不正利用のリスクがあります。これらの方法で作成した印鑑はただの画像データであり、セキュリティ性は殆どありません。
誰でも複製できるものなので、電子印鑑と呼ばれていても、実際には社内回覧文書にサインの代わりに押印するくらいしかビジネスの現場では使い道はありません。
このように無料で作成できる電子印鑑は、印影を細かく調整したり、オリジナリティを出したりすることが難しく、複製のリスクを回避しようと凝ったものを作成するのには不向きです。
その点デジタルハンコサービスを利用して作成した電子印鑑は、いつ・誰が・何に押したかの履歴が残り、記録情報や個人認証機能が付いているので複製・改ざん・悪用のリスクが低く、セキュアなビジネス環境下で使用するのに適しています。
また印面のデザインも三文判のような簡易なものから、角印や社印のような複雑なものまで選択肢が豊富です。
取引先への事前確認
電子印鑑は、決済や承認のプロセスをスムーズかつスピーディにする利便性の高いものですが、実際の普及度はまだ限定的です。電子印鑑は、企業取引でポピュラーなものになりつつあるとはいえ、中小企業や零細企業では従来の紙と実物の印鑑を使った業務スタイルを保っていることが多く、電子印鑑の知名度が低いという現実があります。
また、大企業でも電子印鑑のセキュリティ対策や運用システムが理解されておらず、電子印鑑の使用を拒否するケースもあります。そのため、日常的なやりとりにのみに使用し、契約書や請求書のような重要な書類は紙媒体で行うということもあります。
電子印鑑の使用を躊躇う企業の多くは、セキュリティ対策が十分なされているかを懸念しています。これは、本当にセキュアな場面で使える電子印鑑はまだまだ限られており、一般的には単なる画像データの電子印鑑が多く出回っているという背景があるためです。
セキュリティ対策が施された電子印鑑の普及が今一つという現在の状況を鑑みるに、取引先が電子印鑑の使用を認めるかどうか事前に確認しておくことは欠かせません。
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