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顧客離れを防ぐリテンションマーケティングの必要性

営業の仕事では、顧客を新規に開拓していくことが一番重要な目標として、設定されがちです。しかし、既存の顧客が離れていかないようにすることも、営業の仕事として重要かつ大切なものです。既存の顧客離れを防ぐための営業は、リテンションマーケティングとして注目されています。ここでは、リテンションマーケティングのメリットや方法について考えてみましょう。

営業戦略で大切なのは「アクイジション」より「リテンション」

営業には、「アクイジション」という言葉があります。新規開拓営業のことです。企業の売り上げを伸ばしていくためには新しい顧客を獲得する必要がありますから、アクイジションが重要なことは間違いありません。しかし、アクイジションは大変な仕事です。

初対面の相手と関係を作り上げ、会社や商品を信頼してもらい、購入したいと思ってもらえるように話を進めて行くのですから、並大抵のことではありません。営業担当者の経験知やノウハウが必要とされます。一方の「リテンション」は、新たな顧客を獲得するのではなく、既存顧客が離れていかないようにフォローする営業のことを言います。

このリテンションにも、もちろん、営業上の難しさはあります。しかし、既にその会社の製品やサービスを購入した経験があり、その特長を知っている取引先が相手ですから、アクイジションほどのノウハウは必要ありません。経験が充分ではない営業担当者にも可能な営業手法と言えるでしょう。

リテンションマーケティングに力を入れるべき理由

しかしなぜ、リテンションマーケティングに力を入れるべきなのでしょうか。前述したように「リテンションマーケティングは経験の浅い営業担当者にも可能だから」というのもそのひとつですが、他にもリテンションマーケティングに力を入れるべき理由があります。以下より、その理由について紹介しましょう。

コストの軽減

マーケティングにかかるコストにおいては「1:5の法則」ということがいわれています。これは、新たに顧客を獲得するのにかかるコストは、既存顧客が離れていかないように維持するコストに比べておよそ5倍もかかるというものです。

つまり、リテンションマーケティングには、会社のコストを軽減することができるというメリットがあるのです。具体的に顧客獲得にかかるコストを思い浮かべてみましょう。既存顧客の維持にかかるコストとしては、例えば、会社のホームページにお問合せフォームを設置したり、お客様窓口を置いたり、コールセンターを作ったりすることで発生するものがあります。

営業担当者も定期的にその顧客を訪問する必要はありますが、それほどのコストはかかりません。では、新規開拓営業ではどうでしょうか。新しい顧客に自社製品やサービスを知ってもらうためには、宣伝したり広告を作成したりする必要があります。ときには、展示会や商談会を開くこともあるでしょう。どちらも、多くの手間や費用がかかります。

また、当然のことながら営業担当者も、飛び込み営業を数多くこなさなければなりませんから、人件費もかかります。そこまで苦労しても、新規の顧客を獲得できる確率はあまり高くはないのが通常です。

一生懸命に新規顧客を開拓しようとした結果、費用ばかりがかさんでしまうという事態にもなり得ます。これが、リテンションマーケティングに力を入れるべき理由の1つ目です。費用がそれほどかからず、労力も少ないリテンションマーケティングで、効率よく売り上げをアップさせることを考えることが重要なのです。

利益の維持

リテンションマーケティングには他にもメリットがあります。それが「利益の維持」です。ここでもうひとつ、重要な法則を紹介しましょう。「5:25の法則」です。こちらの法則は、既存の顧客が離れていくことを5%改善させるだけで、利益が最低でも25%、多ければ95%程度もアップするというものです。既存の顧客との関係を大切にして定着を図れば、継続的な売り上げにつなげることができるということを意味します。しかも先に触れたように、そのためにかかるコストは、新たな顧客獲得の5分の1です。

日本だけではなく、世界的に経済情勢が不安定になりがちななか、一年前に多数の新規顧客を獲得できたとしても、今年もそれができるとは限りません。製品の生産コストなどが上昇して、新規開拓営業にそこまでの費用をかけられなくなる可能性もあります。そのようななかで、既存顧客を大切にしていくリテンションマーケティングは、ある程度売り上げを安定させ、経営予測を立てやすくするためのひとつの手段でもあります。

リテンションマーケティングの具体的な方法

リテンションマーケティングに力を入れるべき理由を、2つのメリットを挙げながら説明してきました。しかし、メリットがあることは理解できても、実際にどのようにリテンションマーケティングに取り組めば良いのか、悩んでいる経営者も多いかもしれません。そこで以下より、リテンションマーケティングへ取り組む際の具体的な方法について解説していきます。

カスタマーサポートの改善

カスタマーサポートは、リテンションマーケティングに取り組む上で非常に重要な役割を果たします。なぜならば、優れたカスタマーサポートは、顧客離れを食い止めるだけではなく、新たな収益や製品開発につながることがあるからです。

逆に、カスタマーサポートの対応次第では、顧客を維持するどころか、顧客離れの原因を作ってしまうこともあり得ます。顧客離れの原因になり得るカスタマーサポートの対応のひとつが「マニュアル対応」です。多くのカスタマーサポートの窓口ではマニュアルがあり、それに従った対応がとられます。

しかし、顧客が不満や要望を伝えたいときや、製品やサービスに関してもっと踏み込んだ話をしたいという場合には、マニュアル対応では上手くいかないことが多いです。顧客からすると、そのような場面でもカスタマーサポートの応対が紋切り型であったり、すぐに他の担当者に回されたりとマニュアル対応をされることは、気持ちの良いものではありません。

最悪の場合、会社に対して良くないイメージが定着してしまいます。カスタマーサポートで働く人がマニュアル対応から少しでも脱し、自社製品についての知識を深めて、自分で考えて対応できるようになることは大切です。

不満や要望などを聞き出すコミュニケーション能力を身に付けることも必要でしょう。会社側も、研修を行うなど工夫して、カスタマーサポートの改善を図っていかなければなりません。

改めてアプローチ

リテンションマーケティングへの取り組み方として、過去に購買履歴がある顧客に対して、改めてアプローチするという方法もあります。過去に購入した経験のある顧客が相手ですから、初対面の顧客相手のような営業トークを繰り広げる必要がありません。

しばらく購入や利用がない原因として、他の会社の製品やサービスに流れてしまっていることなども考えられますが、ただ何となく利用していなかっただけとか、自社の存在を忘れていたなどの理由であれば、少しプッシュするだけで売り上げにつなげられる可能性があります。

ただし、しばらく間が空いていたのにもかかわらず急に積極的にアプローチすると、顧客側の心理的なハードルを逆に上げてしまうことがあります。キャンペーンやセール、新商品の発売時などに、DMハガキやメールを送るなどで徐々にアプローチするというのが、顧客からも受け入れられやすい方法です。

継続的なコミュニケーション

継続的なコミュニケーションを図ることも、既存顧客を維持するためには有効です。これは、顧客が自社製品やサービスの存在を忘れて、他社の製品やサービスに目移りしてしまうことを防ぐことになるからです。

加えて「今の製品が特別不満というわけではないけれど、もう少しこういうところが違った風になっていればなあ」などと顧客が考えていたときにも、こまめにコミュニケーションをとっていれば、要望を吸い上げて新たな製品開発につなげることができますし、売り上げのアップも期待できます。

既存顧客とのコミュニケーションをとる方法としては、定期的な顧客訪問がまず挙げられます。直接顔を合わせることは、やはり効果的なコミュニケーション方法です。しかし、自社の存在を忘れさせないという意味では、キャンペーンやセールのお知らせDMを出したり、新商品の販売のタイミングでメールなどを送ったりするというのでも良いでしょう。

顧客の見極め

顧客をランク分けして、その顧客ごとに適した対応をとっていくというのも、リテンションマーケティングへの取り組みを効率的にします。ここで、多くの会社が「顧客のランク分けはしている」と言うかもしれません。

しかしその際、過去の取引回数や売上金額のみで、ランク分けしていないでしょうか。その方法も間違いではありませんが、違った相手に、時間や労力をかけ過ぎることになってしまうリスクがあります。例えば、過去の取引実績で見ると、優良顧客に分類される取引先があったとしましょう。優良顧客ですから、会社としてもその相手を優先して営業活動を行ってきました。

ところが相手は、資金力の問題などから、これ以上の取引拡大は全く考えていません。そうすると、会社がその相手に対する営業に、あまりに多くの時間や手間を割くことは「顧客維持」を超えて、非効率となり得るのです。このように、取引実績は顧客ランクを考えるうえで重要な指針ではありますが、すべてではありません。顧客をランク分けする際には「どの程度時間をかけられる相手か」、つまりは、今後の取引がどのくらい拡大し得るかということも、考慮に入れる必要があります。取引が拡大する可能性については、相手の最近の業績や資金力など、さまざまなところで判断ができるでしょう。

さて、このようにして顧客のランク分けができたら、そのランクごとにどのような営業を行うのか、具体的な対応を決めて、システム化してしまいましょう。ランクが低い顧客に対しては、新商品のお知らせは出すが会社の訪問はしないといった具合です。このように、ある程度シビアに対応を決めることによって、限られた時間や手間を本当に重要な顧客に対して割くことができるようになります。

効率良くリテンションマーケティングを行うには

紹介したようにリテンションマーケティングでは、ランク分けした顧客ごとに適切なアプローチをすることが効果的です。しかし、営業担当者に限らず、従業員はそれぞれ日々の業務で精一杯で、顧客分けどころか顧客リストの作成さえ難しいという会社もあるでしょう。そのような会社におすすめなのが、CRMです。CRMは顧客管理ツールのことで、自社に合ったものを導入すれば顧客管理を各段に楽にし、効率的な営業を実現します。

顧客データの一元管理

CRMの導入で得られるメリットとしてまず挙げられるものに、顧客データの一元管理が可能になるということがあります。多くの企業では顧客の情報を、営業担当者がそれぞれに作成したExcelファイルなどで、管理しているでしょう。

しかしこの管理方法だと、その顧客リストは、基本的には担当している人しか見ることができません。仮に担当者以外の人に見せたい場合には、メールで送ったり、共有フォルダにアップしたりという手間が生じます。そうすると、情報の共有までに時間がかかります。

また、顧客リストに変更が加えられると、どのファイルが最新版なのか確認しなければならない事態がしばしば発生します。さらに、営業担当者が出先にいて、そこから社内の他の人間に顧客リストを確認してもらいたい場合にも、わざわざ自分のパソコンを開いて見てもらわなければなりませんから効率が良くありません。CRMを導入すると、営業担当者それぞれが、自身のパソコンからCRMに直接顧客情報を入力するだけで、他のパソコンからも簡単に顧客リストを確認することができます。

データが一元化されるため、どの情報が最新なのかを気にする必要もありませんし、データの集計や分析もスムーズです。急な担当者の変更があったときでも、引継ぎの手間を省けます。

データの共有

データの一元化と似ていますが、CRMにはデータを共有できるというメリットもあります。営業担当者だけではなく、チームや会社全体が常に最新版のデータを確認できるため、その担当者が気づかないアプローチ上の問題などに、他の従業員が気づける可能性があります。また、社内での話し合いの際にも、問題点の把握や問題意識の共有が、スムーズに行えるようになります。

営業の負荷を軽減

営業の負荷を軽減できるということも、CRM導入によるメリットです。CRMには日報作成の機能がついています。日報の作成が業務になっている会社は珍しくはありませんが、その作成方法として、用紙への記入や、個人のパソコンで作成したものをメールで送信するなどの形がとられていることがあります。これでは、管理する側にとっても作成する側にとっても手間がかかります。また、誤って違う相手にメールを送信してしまうと、情報漏洩にもなります。CRMでは、顧客情報と同じように日報も、直接入力すれば作成ができます。紙も使いませんし、メールを送る必要もありません。

情報漏洩のリスクや手間を、最小限に抑えられます。営業担当者は出先からでも日報の提出ができるようになり、会社に戻って日報を作成することで生じる負担を軽減することができます。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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