犬のご褒美ボックスだけじゃない。BarkBoxの尽きないアイデア
アイデア勝負のサブスクリプションビジネスを提供して、成功している企業はいくつかありますが、そのうちの一つ、BarkBox(バークボックス)は提供品の目の付け所がユニークなのと、今後のビジネス展開が多岐にわたっているところが、とても魅力的な会社です。似たようなサービスが沢山ある中で、ずば抜けて勝ち組に座った理由を、そのひと味違うブランド作りも含めてご紹介したいと思います。
目次
日常品ではなく、『ご褒美グッズ』
BarkBox(バークボックス)では、犬用の『ご褒美グッズ』つまり普段は買わないような、高級ペット用お菓子(「ロブスターのビスケット」など)、犬の体に優しい職人手作りおもちゃ、ペット用高級タオルなどを提供しています。もちろん毎回箱に入っている物は、BarkBoxスタッフが厳選し、同じ物がリピートされる事は滅多にありません。
年間契約での料金設定は、月18ドル。箱の中身は30ドル以上はする商品が入っているそうなので、価格的にはかなりお得です。さらにちょっと変わっているのが、月1回オーダー29ドルのオプションがあること。半年や3ヶ月は良く聞きますが、1回は珍しいですね。
過去のデータによると、バークボックス利用者のじつに7割以上が、年間契約を選択。そのうち9割以上が契約を数年にわたって維持しているリピーターです。なのでひと月でも買ってもらえば、それが長期契約に繋がる可能性が高い事は明白です。
こんなに広がる!他サービスへの展開
他サービスへの展開も目覚ましく、2015年の2月からは出張犬獣医サービス、『バークケア』をニューヨークのマンハッタンとブルックリンで開始。これは救急サービスではなく、健康診断やちょっと体調が良くないかもなどという時に、気軽に獣医さんを予約できるサービスです。料金は年間契約で基本サービスの99ドルか、検査込みオプションの199ドルが選択できます。これを安いと思うか、高いと思うかは顧客しだいだと思いますが、自宅まで来てくれるので、犬を連れて出向かなくて良い利点、また子犬用のサービスが充実しているので、予防注射の費用を考えると、ペットオーナーにとっては十分割安かも?と納得させられるサービスのようです。
実際に『バークケア』は評判になり、2014年3月の終わりにはサンフランシスコの街中で、数ヶ月後にはサンフランシスコ周辺のオークランドまで、サービスの対応を広げています。
さらにバークボックスには『バークポスト』という情報サイトがあるのですが、こちらも最近になって評判が高くなってきました。ブログで2013年12月には100万ヒットくらいだったこのサイトも、6ヶ月後には1,000万を超えるヒットを記録。従業員も当初の1人から4人に増え、犬オーナー専門の優良情報交換サイトに成長しました。サイトを訪れた人が、『バークボックス』や『バークケア』を知るキッカケになるのはもちろんのこと、サイトに貼っている広告の収入も、かなりの伸びを記録しているようです。この他にも、販売開始一ヶ月で10万ダウンロードを記録した犬の引き取り手を探す養子縁組アプリ、『バークバディ』の開発や、愛犬の写真がお手軽に加工できる、犬用インスタグラムアプリの『バークキャム』の発表など、話題には事欠きません。
あくまでも犬目線のサービス
2011年設立のバークボックスは2015現在、約20万人ほどの年間または半年契約に加入している顧客を抱えています。さらに今後数年で、業績を3−4倍に伸ばすであろうと予想されています。2014年にはResolute.vcを筆頭に1,000万ドルの融資を獲得しました。上にも書いたように、他サービスへの展開を試みているバークボックスですが、基本はあくまで犬目線です。
例えば養子縁組アプリの『バークバディ』では今年の末から、週末お試し期間オプションが追加できるようになると予想されています。
その理由をバークボックス経営者の一人であるMatt Meekerがこう語っています。
「犬の養子縁組がすんなり行かなかった経験がある人のうち、4割近くの人が再度挑戦を躊躇してしまうんですね。なので週末お試し期間を設ける事で、その不安を取り除いてあげれば、もっと多くの犬が助かるじゃないかと思うんです。」
アメリカには巨大スーパー企業のウォールマートやアマゾン傘下のワグドットコムなど、ペットの日常品をオンラインで購入できる会社が沢山あります。品揃えの充実したサイトで、検索システムも使いやすく、さらに40ドル以上購入すれば送料無料など、大企業ならではの、他社の追随を許さないサービスを展開しています。
BarkBoxがペットの日常品を箱に入れて提供するだけのサービスだったら、成功は難しかったのではないでしょうか。『ご褒美グッズ』というユニークなアイデアで、大手との競争を上手に避けつつ利益を上げ、さらには犬目線で新プロジェクトを展開することで、NPO的な経営理念を自社のブランドに取り込んでいることが、バークボックスが成功した理由の1つです。
参考サイト:
http://techcrunch.com/2014/07/11/barkbox-series-b/
https://barkbox.com/subscribe/yip
http://www.mysubscriptionaddiction.com/2014/08/barkbox-review-august.html
http://www.dynamicbusiness.com.au/featured/four-ways-mobile-customer-service-will-help-your-small-business-thrive-12082014.html
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2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。