サブスクリプションビジネスの代表、Netflix。
~海外サブスクリプションサービス紹介ブログ vol.7~
2015年9月に日本に進出したNetflix(ネットフリックス)。「テレビ業界の黒船」や「動画配信の巨人」などと騒がれていますが、サブスクリプションビジネスの代表でもあります。
アメリカ、ヨーロッパ各国を含む世界50カ国以上でサービスを展開し、2015年6月の発表によると、有料会員数は世界で6,500万人以上(そのうちアメリカ全土が約4,200万人)。今年の第3期の終わりには、会員数6,900万人に到達すると予想されています。2014年度の収益はおよそ55億ドル。2009年の収益が約16億ドルなので、僅か5年で3倍以上の伸びを見せた計算です。
しかし今までアジアにのみ拠点が無かったんです。ですので、今年の日本ローンチはアジア市場開拓の一手。以前の海外進出とは違い、日本市場に馴染もうとする努力が見えるので、Netflixの簡単な軌跡も交えてご紹介します。
目次
レンタルDVD屋からの脱皮
Netflixと聞くと動画配信の印象が強いのですが、元々は90年代後半に、インターネットを使ったDVDレンタルサービスとして始まりました。当時、DVDを借りるとなれば、レンタルビデオ屋に出向いていかなければならない時代に、NetflixではDVDをインターネット経由で借りると、翌日に郵送されてくるいうサービスを展開。「翌日じゃなくて、今見たい!」というお客さんも、もちろんいたはず。そんな人も、このサービスの「延滞料がナシ」の特典には満足して利用しました。このアイデアは創業者の一人のリード・ハスティングが、以前に映画を返し忘れて$40(日本円で4,000円ちょっと)の延滞料金を取られたという経験が元ネタだそうです。
しかし延滞料金無しのサービスは、特許で守られている訳ではありません。最近は街のレンタルビデオ屋さんも同じようなサービスを始めました。そこでNetflixはそれまでの「1本借りると何円」方式から「月額一定料金で何本でも」のサブスクリプション形式にビジネスを展開。この新しいシステムには、顧客もちょっと戸惑いましたが、家から出なくていい、お店の閉店時間を気にしなくていい、新作が売り切れない、延滞料金がないと、いい事尽くめのサービスをあきらめる訳にもいかず、そのまま月額サービスへの移行を受け入れることに。Netflixは成功街道をひた走り、2007年には動画サービスを始め、現在に至ります。
便利なサービスを金額を押さえて提供し、手放せなくなったところで月額をオファーする。サブスクリプションモデルの原則を、手探りで行ったところが凄いですね。
顧客のニーズに応える姿勢
過去のヨーロッパやオーストラリア周辺諸国へのローンチを見ると、アメリカとほぼ同じコンテンツをそのまま提供しています。ローカルコンテンツ(その国のテレビ番組という意味です)は全体の10%ほど、多くても20%までと少なく、現地との提携に気を使っているとは思えません。しかし、日本ローンチにはこの姿勢を崩し、まずフジテレビ、吉本興業などと提携を結んでローカルコンテンツの豊富さをアピール。40-50%はローカルが占めると予想されています。さらに料金の支払いをスムーズにする為にソフトバンクと提携。これはソフトバンクの顧客を狙っているとも言えますが、実際のところ、日本の支払いシステムは他国に例を見ないほど独自なので、それを理解しての対策でしょう。
その他にも、クレジットカードに対応できない人の為の、専用プリペイドカードの販売や、パナソニック、ソニー等の家電メーカと協定し、テレビのリモコンにNetflix専用ボタンを作るなど、日本顧客の利用ハードルを下げられるだけ下げておく、細かい努力をしています。また、料金設定も研究しました。画像のレベルによりますが月額650円から1,450円。低画像ならワンコインちょっとで、映画もドラマも特別コンテンツも見放題。なかなか興味をそそられる金額設定かと思われます。
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2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。