DX化とは?推進すべき理由や課題、メリットなども解説

2024年11月5日


IT技術の発展により、企業で進んでいるのがDX化です。経済産業省が取りまとめたレポートをきっかけに、日本でもDX化が意識的に進められるようになりましたが、DX化とはどのようなものなのでしょうか。

この記事では、DX化の概念とそのメリット、実現へ向けたノウハウなどをご紹介します。

DX化とはなにか


DXは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。「Transformation」は「変容」という意味を持ち、訳すと「デジタルによる変容」となります。
デジタル技術を取り入れ活用していくことで、生活やビジネスの在り様が変容していくことを指していますが、似たような概念があることから意味を混同しているケースも見受けられます。しかし、DXの正しい理解なくしてDX化を推進していくことはできません。そこで、まずはDXの定義と、IT化・CX・UXとの違いなどを見ていきます。

DXの定義

2018年12月に経済産業省が制作した「DX推進ガイドラインVer.1.0」によると、DXは「企業が他社競合に競り勝つために、データやデジタル技術を用いて、社会そのものや顧客のニーズに合わせ、製品・サービス・ビジネスの在り方・組織・企業文化・風土などを変革すること」と要約されています。ITを駆使しつつ、IT部門のみならず、組織全体の変革を実現することが、DX化の根幹と言えます。

DX化によって達成できること

一部の企業がデジタル技術を用いた新たなビジネスモデルを展開し始めたことで、日本ではデジタル化に対応していない多くの企業の弱体化や孤立が進むことが懸念されています。
日本政府が経済産業省主導の下で目指しているのは、日本国内企業全体のDX化の推進により、多くの企業が抱える既存システムの老朽化や複雑化・ブラックボックス化の根絶です。そして、DX化の推進はそのまま国内企業の競争力の維持・強化に繋がります。

DX化を本当の意味で達成させ、生き残っていくためには、経営戦略を練り直し、ビジネスや組織・体制の仕組みの変革までをも考える必要があります。

IT化との違い

DX化とIT化は一見、同じことのようでいてその考え方は異なっています。
まず、IT化・IT導入は、一般的には既存の業務プロセスは維持したままで、業務の効率化や強化を実現するためデジタル技術を用いる、というイメージで使われます。たとえば、電話や手紙を媒体とした連絡手段が、Eメールやチャットツールに置き換わることはIT化の一環と言えます。

それに対してDX化は、より大局的な次元で、商品やサービス・ビジネスモデルの変革を目指すことを言います。したがって、IT化はDXの手段であり、DXはIT化の先にある目的と整理できます。

CX・UXとの違い

DXと綴りが似通っていて混同されがちなのが、CXとUXです。
CXは、「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略語で、「顧客体験」と訳されます。その意味は、Webサイト閲覧やカスタマーサポート利用、営業マンなどとの接触により、顧客が企業やその製品・サービスに接する際に持つ体験の価値のことです。また、顧客がそれらの体験をもとに抱いた認識も指します。

UXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、「ユーザー体験」の意味を持ち、ユーザーが製品やサービスに接する時に得る体験の価値のことです。ユーザーが実際に使用してみた結果抱く、「操作しやすく仕事の時間を短縮できた」や「デザインが部屋の雰囲気とマッチしていて良い」などの、数字として表れづらい体験や満足感・使用感を指して使われます。

UXがより製品やサービス・Webサイトの使いやすさなどに使われるのに対し、CXではより広い意味での顧客体験を指し、アフターケアなども含む点が両者の違いです。

DX化が注目されるようになった理由


DX化が注目され、取り組みが活発になった理由には、スマートフォンの普及とリモートワークの増加が関係しています。今や誰でも1人1台はスマートフォンを持ち、どこでもインターネットの利用ができるようになったことを背景に、消費者行動は大きく変わっていきました。

また、コロナ禍により在宅ワークなどのリモートワークが増えたことで働き方改革の後押しもあり、働き方に多様性が生まれ、デジタル化も急速に進んでいます。そして、これらの変化は、新しい製品・サービスを生み出す土壌ともなり、今日のさまざまなビジネスモデル誕生の大きな要因となっています。

しかし、なぜこれほどまでにDX化の重要性が叫ばれているのでしょうか。ここでは、DX化注目の背景を「2025年の崖」問題と国の取り組みから解説します。

「2025年の崖」の危機が迫っている

2018年9月、経済産業省は「2025年の崖」問題を指摘しました。これは、2025年までにDX化が推進されなければ、日本全体で1年間に最大12兆円、現在の3倍の損失を生むという予測に基づいた警鐘です。

しかし、DX化が推進されれば国際競争力の低下に歯止めがかかり、また既存システムの維持費が増加していくことを防いで、膨大な損失を抑えられることも提示されています。この警鐘は、多くの企業がDX化への取り組みに着手する大きなきっかけとなりました。

国も力を入れている

DX化に向けて業務のデジタル化を図るためにかかるのが、ITツールやITサービスの導入費用です。また、DX化をスムーズに行うには、DXのノウハウを身につけた人材が必要不可欠です。しかし、十分な資金が用意できず、思うようにDX化を進められないケースも少なくありません。
そして、政府もDX化が進まないことに対する危機感を募らせており、DX化に向けた十分な資金が用意できない企業に対して、資金の一部を国や自治体が補助する制度をいくつか展開しています。

DX化のための補助金・助成金は数多く存在し、またその申請期間も異なります。ただし、活用する際は、受給資格の事前審査があること、また補助金は補助事業が終了して実績報告をしたうえで、事後審査を経てはじめて支給されるなどの点に留意が必要です。

DX化で実現できること


DX化を達成することで、企業はどのような恩恵が受けられるのでしょうか。ここでは主に3つの項目に分けてご説明します。

業務効率化

DX化で得られる最大の成果は、業務の効率化です。たとえば、ITツールの1つである「RPA」を導入することで、恒常的に発生する反復業務をすべて自動化できるようになります。

データ入力や定型的なカスタマーサポートの自動化などを実現することにより、社員は人の思考や判断が必要とされるコア業務に注力できます。

働き方改革の実現

業務の効率化は、企業の働き方改革を促進する効果ももたらします。社員の残業を減らせるだけでなく、クラウドツールを導入すればテレワークの実現が容易になり、社員の多様なライフスタイルやニーズに応えられるようになります。
働きやすい魅力ある組織になれば、離職率の低減や優秀な人材確保も目指せるでしょう。

新たなビジネスモデルの確立

営業部門で電話やメール・ビデオ会議システムなどを駆使したインサイドセールスの環境を整えれば、潜在的な見込み客の獲得や新たな顧客の発掘が進めやすくなります。
また、種々の業務を自動化すれば、自動化によって確保できた時間を商品開発や新たな広告戦略に回すことが可能となるでしょう。

このようにDX化によって、既存のスタイルからの脱却を図り、新たなビジネスモデル確立を目指した戦略立案に集中することができます。

DX化の障壁になる3つの要素


ここでは、DX化を進めていく中で克服すべき3つの課題について解説します。

DX化する目的が不明確である

推奨されているDX化の必要性は理解していても、具体的なビジョンが描くことはできないでいる企業は多いのではないでしょうか。しかし、明確な目標設定や経営戦略がなくては、単純な業務のデジタル化に留まってしまいDX化は達成できません。
自社においてDX化を成功させるためには、漠然としたイメージを抱いて着手するのではなく、具体的な経営戦略を初めに明瞭化させ、企業全体の共通認識として固めておく必要があります。

DX化するための人材が不足している

日本企業の多くは、DX化のためのIT人材を外部の専門企業に委託して確保しているのが現状です。この外部への依存体質は、新しいITを活用したサービスを始めようとする時、他社にシステムの開発を任せているためにすぐに反映、展開ができないという問題に直面する要因でもあります。

新たなサービスの運用をどの企業よりも早く始めるためには、IT人材の育成は多くの日本企業にとって喫緊の課題です。そして、DX化の浸透が進む中で、IT人材の獲得競争は激化していくことが見込まれています。企業にとって優秀なIT人材の確保と育成は、市場競争を勝ち抜いていくために欠かすことのできない要素です。

既存システムのIT化が困難である

古くなったコンピューターシステムや技術を使い続けるレガシーシステムの問題もあります。レガシーシステムは、短期的な視野でシステム開発を繰り返した結果、システムの肥大化や古くなった技術によって仕組みが複雑化し、またシステム運用担当者の定年退職などでシステムがブラックボックス化してしまった状態を指します。DX推進を遅らせないためには、レガシーシステムを一掃し、一貫性のあるシステムの構築に着手することが大切です。

DX化を成功させるために押さえておくべきポイント


では、DX化を推進する際はどのような点に気を付ければよいのでしょうか?ここでは、押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

既存システムから脱却して新たなITシステムの構築を検討する

日本企業には、社内に個別のシステムが複数存在し、システム間の連携ができていない状態が散見されます。この問題により、業務の効率化やデータの有効活用が妨げられているのが現状です。

また、社内の事業部単位でDX化を図ると、全社的に活用できるシステム作りができずに終わってしまうケースがあります。したがって、DX化に着手する際には、新たなITシステムを導入して既存システムからの脱却を目指すとともに、自社全体を俯瞰して一貫性のあるシステムの運用体制の構築を目指すことが大切です。

DX人材を積極的に確保する

先述した通り、DX化推進にIT人材の確保と育成は不可欠な要素です。取り組みのポイントとしては、社内部門の枠を超えて動くことのできる経営陣の直轄のチームとして、IT人材を配置することです。いくら経験豊富で有能な人材を確保できたとしても、縦割り組織の制約のもとにあっては、DX化の改革を促進していくことはできません。

経営者・トップ層が参画して一丸となって取り組む

DX化には、社内各事業部の現場の協力、経営陣のコミットメントも必要不可欠です。経営陣のビジョン、つまりDX化により企業にどのような価値を生み出していくのか、どのようにビジネスを変革するのかが明確化されていなければなりません。

さらに、DX化のための人材や予算の割り当てを決定すること、現場との意思疎通を怠らないこと、企業全体の意識の向上を促すことなども求められます。DX化は短期間で達成されるものではないため、経営トップの強力なリーダーシップの下、全社一丸となって中長期的に進めていくのが理想的です。

経理DXは「請求管理ロボ」にお任せ!

[ロボバナー]

IT化が業務のプロセスを変えずに、デジタルにより業務の効率化を図ることであるのに対し、DX化は経営戦略や企業体制そのものをも含めた変革を目指すことです。DX化を確実に成功させるためには、経営ビジョンを含めた中長期的目標の明確化、充実したIT人材の確保と育成、一貫したシステム構築が必要不可欠です。

DX化に何から着手すべきか分からない方は、まずはその第一歩として「請求管理ロボ」の活用をぜひご検討ください。

[請求管理ロボ]