経理業務はBPO導入で効率化?効果的な運用方法や注意点を総まとめ!
2024年9月1日
経理業務は業務の大半がノンコア業務でありながら、専門性を必要とするため人材の採用・教育にコストを要し、繁閑の差が大きいといった課題を抱えがちです。そうした経理業務を効率化する手法として、経理業務BPOの導入があります。
この記事ではBPOとは何かという基本から、メリット・デメリット、導入する際に注意すべきポイントまで、経理業務へのBPOの導入について解説します。
目次
そもそもBPOとは?
まずは前提として、BPOとは何かという基本的な点から解説します。
BPOの概要
BPOとはBusiness Process Outsourcingの略称で、自社のノンコア事業を外部委託して、自社の経営資源を競争優位に直結するコア業務に集中する経営手法のことを指します。
アウトソーシングは、事業を外部委託するという意味で広く使われる言葉です。これを特にBPOと表現する場合は、企業の一業務分野を一括して外部に委託するという特徴があり、示す範囲が異なります。例えば人事部の業務を一括してBPO化すれば、社内に人事部を設ける必要はありません。さらにBPOの場合、総合的な企業の課題解決を目的とした、業務プロセスの再構築や再設計も委託できる場合があるという違いがあります。
また、BPOはコアコンピタンス経営という経営手法とも密接な関係にあります。コアコンピタンス経営は「選択と集中」によって他社に模倣されにくいコアコンピタンス(ビジネス上の強み)に経営資源を集中させる手法ですが、BPOの活用によって競争力を高める活動に専念しやすくなる効果も期待できます。
BPOサービスの種類
BPOサービスの種類は、IT系のサービスと非IT系のサービスに大きく分けて考えることができます。
IT系のサービスとは、たとえばデータセンター運営事業者にシステムの運用を委託するというような高度なスキルとノウハウを要するものです。
対して非IT系のサービスが受託する業務は広くバックオフィス業務全般にわたり、中でも経理業務は冒頭でお伝えしたような課題の解決策として有効であることから、その代表例となっています。
BPOが対象となる職種
BPOで外注できる職種は多岐にわたり、上記の種類別で言えば経理・人事・受付・事務・コールセンターといった非IT系の事務職から、IT系のデータ処理・システム開発・マーケティングのような専門職まで幅広く対象としています。逆にBPOの対象とならないものとしては財務分野、つまり会社の経営方針に大きく関与する資金調達や予算の作成といった、他社に一任できない業務が挙げられます。
BPOが対応している経理業務の種類
一言で経理業務と言ってもその業務内容は多岐にわたります。経理業務BPOを導入することでどのような業務をBPO化できるのでしょうか。
伝票入力
伝票入力は経理業務の基本で、外部委託する際の候補となりやすい単純業務の1つです。
しかし、手書き伝票の手入力作業をなくす方向でのデジタル化やシステム活用が進む傾向にある昨今では、単純なデータ入力作業の外部委託は減少しつつあります。
支払代行
取引先への支払い情報の作成業務です。通常の経理業務では、作成したデータを元に最終的にインターネットバンキング等により送金を行いますが、送金する段階までBPO事業者に委託してしまうとBPO事業者に対する統制が失われてしまうので、委託範囲はデータの作成までに留めるのが一般的です。
請求書発行
販売・納品データをもとに請求書を作成および発送する業務です。
請求書の作成・発行は、請求書をたとえばPDFのような電子データとして作成し、メールやクラウド等を介してやり取りする電子化が進んでいます。また、法制度的にも電子帳簿保存法の改正などで、請求書等の各種帳票類の電子化が後押しされていることから、紙ベースでの発送に関する委託は伝票入力と同様、将来的には減少していくでしょう。
入金消込
取引先からの入金をもとに売掛金との消込を行う債権管理業務です。月末月初など入金が集中して業務量が膨張する時期にBPO事業者に依頼し、業務量の平準化を図るという活用の仕方もあります。
決算業務
決算期は平時にもまして特に繁忙となりやすいうえ、上場企業では決算関連のスケジュールがタイトなことも珍しくありません。特に連結決算が必要な企業の場合、経理要員が不足している子会社の決算に間に合わせる目的で決算業務をBPO化する利用法もあります。
経理業務のBPO導入によるメリット
それでは、経理業務BPOの導入により具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
労働時間の削減
経理業務は専門性を必要とされる業務です。しかし、その一方で単純作業の大量の反復が伴っており、その消化のために労働時間が費やされている側面が否定できません。
また決算や入金などのように、月末・月初や期末・期首のような特定の時期に業務が集中し、残業時間も増えがちです。そこで、BPO化によって繁忙期の負荷を分散することで、業務量の平準化やコストの削減が期待できます。
コスト削減
経理業務BPO事業者の要員は、多くの現場で経理処理に従事してきた経理業務の専門家であり、効率良く業務を処理することが期待できます。
また、自社の経理要員には給与・福利厚生だけでなく、採用・教育・研修などのコストがかかりますが、BPO事業者の要員にはそれらのコストは不要です。
上述のように経理業務は繁閑の差の非常に大きい業務であり、繁忙期には長時間残業が発生することも珍しくありません。経理業務BPOを導入すれば、コストを抑えつつ繁閑に応じて必要な時に必要な分だけマンパワーを増強できます。
業務効率化
ノンコア業務である経理業務がBPO化されると、人員・予算・時間など自社のリソースを割く必要がなくなります。これにより長期的には、売上や事業戦略に関わるコア業務に自社要員・時間・労力・予算を振り向けることができるようになります。結果として、適正なリソース配分によるコア業務全体の効率化を実現することが可能です。
経理業務プロセスの可視化
経理業務BPOの導入により、自社の経理業務に社内と社外からチェックの目が入るため、不正に対する牽制となったり、場合によっては摘発の機会になったりします。また経理業務BPOの導入を機に属人化していた経理業務が可視化され、業務手順書として整理されます。経理業務のブラックボックス化が解消されることで、経理担当者の不時の休職・退職などによる業務の引き継ぎや停滞を心配する必要がなくなるのもメリットです。
経理業務BPOの導入時にも引き継ぎは必要ですが、BPO事業者が業務手順を整備し、いったん自社と共有してしまえば、以降は事業者内部での引き継ぎで済むようになります。
専門家へ業務を一任
経理業務BPO事業者のスタッフは、多くの現場で経理処理に従事してきた専門家揃いです。自社で一人だけの担当者に依存していると、業務に支障が出る場合もあります。しかし、経理業務に専門性の高いBPO事業者に一任すれば欠員の補充に悩む必要もなくなり、業務が安定して処理されるだけでなく、質の向上も期待できます。
BPOの導入に向けた注意点
経理業務BPOの導入は多くのメリットをもたらしますが、一方でBPOの利用上、注意すべき点も多々あります。ここでは特に注意すべき点を5つ取り上げます。
セキュリティ対策
経理業務を委託するということは、自社の経営状態に関する情報を外部に提供するということでもあり、事業者のセキュリティ体制は必ず確認すべきポイントです。プライバシーマークやISMSのような第三者認証の有無は客観的な指標となります。
また、BPO事業者の事業所で処理が行われるのであれば、セキュリティレベルを確保する具体的な施策や設備まで確認できるとよいでしょう。具体的には入退室管理や監視カメラの設置有無、執務スペースへの記録メディアやデバイスの持ち込み制限といったものが挙げられます。
代行する業務範囲の選定
経理業務と一口に言ってもその業務は多岐にわたっています。そしてBPO事業者の側でも対応できる業務の範囲はさまざまですから、どの範囲の業務をBPO化するのかを事前に明確にしておきましょう。
たとえば経理のなかでも例外的な処理に絞って委託したいのに、そうした処理への対応力のない事業者に委託しては、思ったような効率化は実現しません。BPO化の範囲と狙いを明確化し、それに合致したサービスを提供できるBPO事業者を選択する必要があります。
また、自社や業界の慣行をBPO事業者が必ずしも理解しているとは限りません。その点を考慮せず事業者を選んでしまうと、処理の結果を自社で再確認しなければならず二度手間になる可能性もあります。慣例化している処理がある場合、適切に対処してもらえる柔軟性のある業者を選びましょう。
コスト面
基本的に発生した作業量に対する対価を支払うことになりますが、導入時の初期費用や別料金のサービスを導入した場合の料金など、トータルで見た場合に費用対効果が得られるかどうかは慎重に見極めましょう。
また、業務に必要な品質と信頼性を提供できるBPO事業者でなければ委託する意味がありません。事前ヒアリングを行ったり、委託件数や継続率、受託業務の内容といった過去の実績をチェックしたりすることで、事業者の手腕と信頼度を確認しましょう。
業務フローの刷新
経理業務BPOの導入前には、単にそれまでの経理担当者の担当業務が変わる程度の変化ではなく、経理が関わる業務フロー全体を広く見直す必要があります。
例えば経費精算に小口現金や仮払制度が残っていると、BPO事業者に委託しても高い効果が見込めないばかりか、事業者が現金を扱えない場合は委託自体が門前払いとなってしまう可能性もあります。
また経理担当者が既に入力した情報をBPO事業者も重複して入力してしまう「二重入力」を同じくフローの改善により防止することも、効率化のためには重要です。
経理ノウハウの喪失
長期にわたって経理業務BPOに経理業務を委託し続けると、自社の経理担当者を常駐させておく必要がなくなるため、自社の人材育成は行われなくなり、ノウハウが失われます。何らかの事情で委託を止めた場合に対応ができなくなったり、対応しても品質が大幅に落ちたりするというリスクが生じます。
この課題に対処するには定期的に作業内容を監査したり、BPO事業者が整備した手順書を確認したりといった、経理業務がブラックボックス化しない配慮が必要です。
また、BPO事業者の中には経理要員の育成サービスを提供する事業者もあるので、自社対応の能力を残したいのであれば検討してみるのもおすすめです。
BPOサービスの現状と今後
列挙したようなメリットの多さから国内でも普及の進むBPOサービスですが、海外企業ではノウハウのない分野にも事業展開できるという強みを生かした戦略的な利用が進んでいます。文字認識精度の向上、チャットボットによる自動応答といったAI技術や、クラウドサービスも浸透してきているBPOサービス市場は、今後ますます成長を加速すると予想されているのです。
一方、日本企業においては依然としてコストカットを主眼に置いた利用法に終止しています。この傾向には「BPOによる代替で既存人材が行き場に困る」という、日本の終身雇用制度も影響しているでしょう。こうした諸々の背景を鑑みると、BPOを上手く活用することで業務効率を伸ばす伸びしろは充分にあると言えます。多様化するBPOをより積極的に活用し、競争力を確保する戦略が国内でも一般化していくかもしれません。
経理業務の自動化は「請求管理ロボ」にお任せ!
経理業務BPO導入の選択肢として、人ではなくシステムに任せるという選択肢もあります。経理業務の中でもボリュームが大きく、定型性・反復性が高く、繁閑の差が顕著な請求管理業務を自動化できたらとお考えの方もおられるでしょう。このような課題を持つ事業者様は、ぜひROBOT PAYMENTの請求管理ロボの導入をご検討ください。
「請求管理ロボ」は、毎月の請求業務を最大80%削減する請求管理・債権管理システムです。請求書の発行や送付、集金、消込、催促などの売掛金管理を全て自動化し、人的作業を減らしてミスを防ぐとともに、経理業務の効率化を実現します。
加えて、SFA(販売管理システム)との連携により、自動で行われた請求業務の内容を会計システムに反映させることも可能です。これにより、煩雑なやり取りの削減と企業会計の透明化をサポートし、従業員がコア業務に専念できるようになります。
なお、コンビニ決済、クレジットカード決済、口座振替、銀行振込など、複数の決済手段に対応しているため、企業間取引のみならず、BtoC取引にも活用いただけます。
インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応しており、これまでに700社以上の企業に導入され、年間取引請求金額は約2,770億円に上ります。経費の管理や帳簿付け、請求業務にお悩みの企業のご担当者様は、お気軽に「請求管理ロボ」にご相談ください。