事務作業を効率化するメリットは?効率化の具体的な方法や進め方を解説
2024年11月22日
会社の業務は一度仕組みができあがると、人が入れ替わっても見直されることは少ないものです。前任者のやり方を踏襲する風習も根強く、メスを入れるのも容易ではありません。そのため、コストの削減や時間短縮、モチベーションのアップにつながる業務効率化を課題としつつも、なかなかどこから着手すれば良いか分からない人は多いのではないでしょうか?
ここでは事務作業をはじめとした業務効率化を図る方法、実践的なアイデアを中心に解説します。事務作業を効率良く進めるための流れも解説するので、業務効率化を進める際の参考になるでしょう。
目次
- 事務作業の効率化とは?
- 効率化を図るには
- 効率化と生産性向上の違い
- 事務作業を効率化するメリット
- 無駄な時間を減らせる
- 人手不足の解消になる
- 従業員モチベーションアップにつながり離職を防げる
- 企業の利益向上につながる
- 事務作業の効率化を促進する方法
- 1日にやる業務の優先順位を決める
- 業務に関するマニュアルを作成する
- ルーチンワーク業務の目的を把握する
- ルーチンワーク業務のリストアップと見直し
- メールチェックの時間を固定する
- 同じ作業は自動化する
- 会議の見直し
- 社内文書を標準化・テンプレートの活用
- ITの活用
- パソコンは処理速度の速いものを使う
- ショートカットキーを利用する
- クラウドソーシングの活用
- 周囲の従業員と協力する
- 事務作業効率化の進め方
- 1.現状を把握する
- 2.問題点を探し出す
- 3.スケジュールを立てる
- 4.改善策を実行する
- 5.改善効果があったのか検証する
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事務作業の効率化とは?
事務作業は書類の作成や管理、電話応対、来客対応など机に向かって行うデスクワーク全般の業務です。事務作業は一般事務や営業事務、経理事務など多岐にわたり、それぞれの仕事内容は異なりますが会社の規模や業種に関係なく発生します。事務作業はルーチンワークになりやすく、効率化も図りやすいのが特徴です。効率的に事務作業が行えるようになれば人件費の削減、時間短縮につながるでしょう。
効率化を図るには
事務作業は毎日ほぼ同じ作業を行うため、一つひとつの作業に時間をかけすぎないように進めるのが大切です。事務作業の効率化を図るには作業上の無駄を省き、非効率の原因になっている課題を改善しなければなりません。非効率な業務の改善にはさまざまな方法がありますが、文書作成時にテンプレートを活用したり、会議時間を見直したりといった点はすぐに実践可能です。
作業の見直しと共に効率化に便利なITツールの導入、外部へのアウトソーシングなども検討すると良いでしょう。ただし、効率化を進めていくにあたって仕事のスピードだけを速めてしまうと、ケアレスミスの原因にもなるため注意が必要です。
効率化と生産性向上の違い
「業務の効率化」と「生産性の向上」は一見すると同じ意味に聞こえますが、内容は多少異なります。業務の効率化とは、仕事上の無駄を排除し少ない時間や人件費で業務を行うことです。業務の見直しや改善に取り組みつつ、今まで通りの成果を上げていくのが狙いです。
一方、生産性の向上とは投入した資源から得られた生産物の割合を示す指標です。投入した資源が少ないほど、生産性は向上します。ビジネスにおける資源とは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4点です。業務の効率化とは異なり、生産性は「生産量÷投入資源」という計算式で導かれます。業務の効率化と生産性の向上をまとめると「生産性を向上させるための方法の1つが業務の効率化」といえるのです。
事務作業を効率化するメリット
事務作業はさまざまな業務に細分化されますが、どれもルーチンワークが基本であり、効率化を図りやすいという特徴があります。事務作業を効率化した結果「無駄な時間の削減」「人手不足の解消」「企業の利益増大」などのメリットを受けられます。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
無駄な時間を減らせる
事務作業の効率化によるメリットとして一番に挙げられるものは、「無駄な時間を減らせる」という点です。ルーチンワークである事務作業において、非効率な無駄をカットすることで業務にかかる時間が減り余裕が生まれます。さらに、残業時間も削減できれば人件費も抑えられます。残業時間の削減は企業側だけでなく、働く従業員にとってもメリットになります。残業が減れば従業員の負担も軽減し、より働きやすい環境になるでしょう。
人手不足の解消になる
中小企業を中心に、少子高齢化による働き手の減少は深刻な問題です。業務量に対して働き手が足りないために、事務作業に支障をきたしている企業も少なくないでしょう。しかし、作業の無駄を減らし業務を効率良く進められれば、少ない人員で事務作業を行えます。そのため、人手が足りず事務作業に人員を割くのが難しい場合、まず事務作業の効率化から着手するのがおすすめです。事務作業の効率化が進めば人手不足の問題は解消に向かうでしょう。
従業員モチベーションアップにつながり離職を防げる
事務作業の効率化により従業員のモチベーションが高まり、離職の防止につながることが期待できます。ではなぜ、モチベーションアップにつながるのでしょうか。効率化によって余分な作業を削減できれば、それだけ従業員にかかる負担も軽減できます。余分かつ無駄な作業は、従業員に精神的・肉体的な負担を与え、モチベーションの低下につながってしまいます。
慢性的な負担はストレスとなり、離職を選択する従業員も出てくるでしょう。事務作業の効率化によって負担やストレス源が減ることで仕事に対するモチベーションも上昇し、離職防止につながるのです。従業員にとって働きやすい環境を整えることは離職の防止だけでなく、マネジメント業務の負担も減らせます。近年推進されている働き方改革の促進という視点でも、事務作業の効率化によるメリットは軽視できません。
企業の利益向上につながる
事務作業の効率化は、企業全体の利益向上にもつながります。効率化を進めることで、これまで事務作業に必要だった資源に余裕が生まれるため、事務作業に投入していた資源を企業の利益に直結する業務に充てれば企業の利益向上が期待できます。また、これまで着手できずにいた取り組みへもチャレンジできるようになるでしょう。
事務作業の効率化を促進する方法
事務作業の効率化をうまく進めるためには、仕事上の無駄を認識したうえで取り組む必要があります。そのため、企業の体制や業務内容に沿って方法を選ぶのが大切です。以下にご紹介する方法は、企業全体で取り組むものもあれば個人で進められるものもあります。はじめは慣れなくても意識して継続的に取り組むことで、効率的に仕事を進められるでしょう。
1日にやる業務の優先順位を決める
まず、事務作業の効率化を図るうえで重要な業務の優先順位を決めていきます。業務の優先度を決めていく時は予定表を確認して、「〇時~〇時までは〇〇の業務」と、時間ごとに区切って取り組む業務を決めていきましょう。複数ある業務の中で、時間がかかるものとそこまでかからない仕事がある場合、まずは時間がかかりそうな仕事を進めます。その仕事を進めている最中に、時間がかからない仕事を同時に進められるケースもあるためです。
仕事には納期が定められているものもあります。納期が決まっている仕事を複数抱えている場合も、優先度を考えて仕事を進めていきましょう。優先度を低く設定した仕事に関しても納期をずらせるならば、中途半端に進めてしまうのも回避できます。一つひとつの業務に優先順位を付けることで、限られた時間でも効率良く業務に取り組めるでしょう。
業務に関するマニュアルを作成する
業務を進めるうえでのルールや業務内容、業務のやり方などをまとめたマニュアルを作成しましょう。マニュアルがあれば事務作業を効率化できるだけでなく、担当者のスキルに依存せず品質の均一化を図れます。
マニュアルを作成する時は読む側が理解しやすいように図や表を交え、分かりやすい文章を心がけましょう。マニュアルは、新入社員への指導や新しいシステムを導入した際などにも役立ちます。そのため、都度マニュアルを作成するのではなく、あらかじめ準備しておきいつでも読めるようにしておくのが大切です。
ルーチンワーク業務の目的を把握する
ルーチンワーク業務を効率化するために、まず業務の目的をつかむことが大事です。ルーチンワーク業務で多いのが、前任者から引き継ぎをして、事務作業の仕事の意味や効率化など考えずに、その仕事のやり方を続けているケースです。「どうしてこの仕事をするのか」という目的を明確にされないまま、前任者から仕事の流れだけを教わります。
こういった目的が曖昧な事務作業ほど、「ずっと続けてきたから」という曖昧な理由で効率化の対象外になりがちだといえます。
ルーチンワーク業務のリストアップと見直し
ルーチンワーク業務をリストアップした際、同じような作業がないか、ダブリを見つけてみてください。同じ業務を別々の部署で行っていたゆえに、二度手間になっていたケースもあるかもしれません。また無駄だと思う業務については、思い切って一度やめてみましょう。やめてみて業務に支障がなければ、その作業は無駄であることに気がつくはずです。
他にも「長年の暗黙の了解で手順が決まっている」「前任者がやっていた作業をただ引き継いでいる」といった場合、無駄が潜んでいる可能性があります。順番を替えるだけで省けるステップが見つかったり、最後に行っていた作業が実は最初に行ったほうが手間を簡略化できるケースもあるかもしれません。また、ミスが生じるのは「担当者ごとに事務作業の方法が違う」「必要なチェック機能がない」「例外的処理が頻繁にある」などの要因が考えられます。
事務作業を見直し、作業のやり方を一度見なおしてみてください。
メールチェックの時間を固定する
メールに関しては、いつ届くのかを予測できません。受信するたびに確認していると、本来予定を立てていた業務がスケジュール通りに進められなくなってしまいます。そのため、届いたメールを確認する時間を設けておくのがおすすめです。
メールチェックの時間は人それぞれですが、集中力が下がる午後の時間帯を充てると良いでしょう。仕事と同様にメールにも優先順位があるため、フォルダを振り分けて設定しておいたほうが確認しやすくなります。他にも、時間短縮のため返信用のテンプレートを用意するなど、メールの管理にも工夫が必要です。
同じ作業は自動化する
自動化とは、マクロ(登録された作業の自動処理機能)を用いて手入力していたメールやエクセルなどの作業を処理することで、業務時間短縮やケアレスミス予防に役立ちます。事務作業は同じ作業を繰り返すことが多く、仕事量が多いほど自動化してしまったほうが効率的です。また、事務作業はミスも発生しやすい業務であるため、作業の自動化は非常に効果的といえるでしょう。
会議の見直し
事務作業に関わらず、社内での無駄な時間として会議が挙げられます。会議の目的は大きく分けて、「情報や目的をメンバーで共有する」「新しい方法を生み出す」の2点です。業務効率を重視するならば、情報共有を目的とした報告会は無駄な会議です。情報共有が目的の場合、メールやコミュニケーションツールで報告書として知らせるだけで済むからです。
結果が出る会議を目指すためには、事前の準備が重要です。事前準備によって50%は成功するといわれています。事前に目的、共有する情報、会議までに考えてきてほしいアイデアなどは出席するメンバーに伝え、会議で解決したい問題点を明確にしておけばスムーズに解決案のアイデアなどが生まれることでしょう。
他にも、アジェンダと同じく討議する項目と時間、過去の決定事項などをまとめた議事進行の作成など、長丁場化しやすい会議も短時間で終わらせる工夫をしましょう。
社内文書を標準化・テンプレートの活用
テンプレートの活用により作業時間は短縮し、自動でデータが入力されれば人的なミスも少なくなります。また文書が標準化されることで、業務がルール化されるなど、ノウハウも蓄積されていくでしょう。
インターネット上では、さまざまな書類のテンプレートが配布されています。求める書式に近いものをダウンロードし、適宜必要な項目や入力欄を追加してカスタマイズを行い、統一の書式を作成しましょう。出張・交通費精算や残業計算のためのタイムカードなどもシステムを活用してネット上でデータ処理できるようにすることで、負担がかなり軽減されます。
ITの活用
自動化は、業務品質を上げるという部分において優れているポイントです。単純な反復作業、グループウェアを使った情報共有などが行えるITツールは業務効率改善や品質向上という点で便利でしょう。マイクロソフトオフィスで作れるデータについては、ネット上でもオフィスソフト内でもすぐに使えるテンプレートが検索できます。ITからアイデアを活用して業務効率を図りましょう。
他にも事前案内、事後報告、会議資料はすべて電子資料で共有しましょう。印刷用紙の節約になるだけでなく、全員が集まる前に各自が事前・事後の共有もしやすく、周知徹底しやすいメリットがあります。操作する媒体に左右されないようパソコンやタブレット、スマホでも対応可能な保存方法を選択しておくと外出先から必要な時に内容を確認できて有効です。
パソコンは処理速度の速いものを使う
処理速度の遅いパソコンでは、立ち上げやアップデートなどの際に読み込みが遅く時間もかかってしまいます。1分や2分の待ち時間でも、月に何十回もあれば1時間、2時間と待ち時間は増えていくでしょう。読み込みを待つ時間があれば、他の業務を行えます。
処理速度が速いパソコンを利用するだけでそれらの問題は解消され、作業時間を大幅に減らせます。処理速度の遅いパソコンを使っている場合、速いパソコンに替えるのも検討してみると良いでしょう。
ショートカットキーを利用する
パソコンを使って業務を行っている方の中には、すでにショートカットキーを利用している方もいるでしょう。事務作業で使用頻度の高い「コピー」や「ペースト」、「保存」「切り取り」などはショートカットキーが便利です。使用頻度の高い操作や覚えておくと便利なショートカットキーは、まとめて一覧表を作っておくと便利です。従業員個人だけでなく、全体でショートカットキーの使用を意識すれば、より作業の効率化を図れるでしょう。
クラウドソーシングの活用
業務効率化で活用したいクラウドソーシングとは、「オンライン上で不特定多数の人に業務を発注すること」、“crowd”(群衆)と“sourcing”(委託)をいいます。アウトソーシングでは、仕事を請けたい人が専門の業者にあらかじめ登録して仕事を割り当てられる方式でした。クラウドソーシングでは、ネットを介して不特定多数の働きたい人に募集をかけることができ、基本的に発注者から直接作業を指示できます。これは中間業者がいない方式です。
具体的な活用事例として、ホームページやECサイト制作、スマートフォンアプリだけでなく、商品パッケージのデザインやアイデア、チラシ・ポスター・名刺などのデザイン、さらにライティングやデータ入力などの事務業務まで活用は広がっています。業務の発注から完成までの時間短縮、コスト削減につながれば業務効率化に寄与します。
周囲の従業員と協力する
仕事は個人で行う業務以外、規模の大きい案件に着手しなければならないケースもあるでしょう。通常よりも規模の大きい業務に関しては、周囲の協力が必要不可欠です。案件を工程ごとなどに分け、それぞれのメンバーが得意な分野を担当するのが理想といえるでしょう。苦手な分野であれば得意な人がサポートする、時間や納期が厳しいのであれば周囲の助けを借りるといった、臨機応変な判断も効率良く仕事を進めるうえで重要です。
事務作業効率化の進め方
事務作業を効率化する方法を紹介しましたが、具体的にどのような手順で進めていくべきか分からないという方もいるかもしれません。事務作業の効率化に取り組むには、順序立てて進めていくのがおすすめです。ここでは、事務作業効率化の進め方を順番に解説します。
1.現状を把握する
まず、現状の把握を行います。現在の状況を把握しなければ効率化を進められません。個々の事務作業に関して、どのくらいの時間がかかっているかを確認しましょう。その業務を行う理由や納期、最終的なゴールについても整理します。
2.問題点を探し出す
現状の業務内容を確認したら、次は問題点を探し出します。時間がかかりすぎている作業がないか、同じ作業が複数回発生していないか、重複して進めてしまっている作業がないかどうかです。業務の中で削減できる無駄があるかどうかを確認しましょう。また、問題点を見つけたらそれに対する改善案も考えます。
3.スケジュールを立てる
業務上の問題点を見つけたら、その後は事務作業効率化のスケジュールを立てます。その際、問題点と一緒に探し出した改善案も含めて計画を立てましょう。効率化を進めるうえで、事前準備の必要がなくすぐに進められそうな業務や、効率化によるメリットが大きい業務を優先してスケジュールに組み込みます。
4.改善策を実行する
続いて、スケジュールに沿って改善策を実行します。実行する時は、業務のマニュアルやフローチャートが活用できます。改善策を実行して、新しい発見や別の改善案などが浮かんだ場合はメモを取っておくと良いでしょう。以前作成した業務に関するマニュアルがあれば、現状に即したものであるか再度確認し、適宜アップデートも行います。
5.改善効果があったのか検証する
改善策を実行後、必ず効果の検証を行いましょう。改善の前後で効率にどのくらいの差があったのか、効率化は想定通りにできたのか効果を検証します。ツールを使用したのであれば、ツールの導入前と導入後の変化も確かめます。もし改善できなかった場合でも原因を考え、次回以降に活かす糧にするのが大切です。
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