サービス

株式会社アイスタイル

営業、SEからの転身。異なる経歴を持つふたりの経理が考える“DX”

コーポレートエンジンセンター 経営管理本部 経営管理部 経理A・Bグループ マネージャー 高倉 昌司、経理Cグループ マネージャー 樋口 利泰

・社名
株式会社アイスタイル
・事業内容
美容系総合ポータルサイト@cosme(アットコスメ)の企画・運営、関連広告サービスの提供
・設立
1999年7月27日
・URL
https://www.istyle.co.jp/
・業界
サービス
・従業員規模
996名(連結)(2023年6月末日現在)

月の前半は締め作業、後半は業務改善が理想

——今回は、株式会社アイスタイル 経理グループの高倉さん、樋口さんにお話を伺います。まずは担当領域について教えてください。

高倉さん(以下敬称略)「経理グループはA・B・Cと3つに分かれていて、それぞれ3〜4名で構成されています。

普段の業務は、連結子会社含めて会社横断で管理しており、売上・原価はA・Bグループ、販管費はCグループと分かれています。とくにAグループは広告系の事業を、Bグループはリテール系の事業と海外事業を中心に管理し、請求書発行や入金消込、原価管理を行っております。また、決算・税務についてはABCグループ全員に担当法人を割り当て対応をしています。」

経理A・Bグループ マネージャー 高倉 昌司さん

樋口さん(以下敬称略)「Cグループは国内全てのグループ会社の販管費関連の管理、会計処理を行っています。基本的には、経費精算、減価償却費の計上、前払いの取り崩しなどに関する会計処理を行っております」

——普段の業務について教えてください。

高倉「午前中は承認作業、午後は打ち合わせというスタイルが多いです。毎月中旬までは締め作業に費やしていて、決算月になると、その後税金の確定、連結開示の作業が続くためあり、それが終わればもう月末…と、結局フルスロットルな状態です」

樋口「私の場合は経費精算の確認や差し戻しの対応が多いですね。現場からの問い合わせ対応や、申請に対してどういう計上が適切なのかを判断するために調査することもあります。あとは、電子帳簿保存法への対応はどうするかなど、各プロジェクトにも参加しています。

月の前半で月次決算を固めて、後半はプロジェクトや業務改善に時間を使っていきたいんです。これは私たち経理グループが所属している経営管理部の理想の姿でもあります」

経理Cグループ マネージャー 樋口 利泰さん

バックオフィスの「三種の神器」〜アイスタイルの場合〜

〜株式会社アイスタイル 利用中のDXサービス〜
販売管理:Salesforce、ad-meister
請求書発行:BtoBプラットフォーム 請求書
電子帳簿保存:invox電子帳簿保存
会計:OBIC7
経費精算:楽楽精算

——現在お使いのDXサービスを教えていただきましたが、特におすすめはありますか?

高倉「私のお気に入りは、BtoBプラットフォーム 請求書ですね。追加料金なしで請求書データを10年間保管できたり、ひとつのIDで複数の企業の請求書を受け取れるため取引先企業にもメリットがあったりと、利便性・コストパフォーマンスともに優れています。発行と受取の両方に対応しているので、今後Peppolの活用が普及してきた時も、ひとつのシステムで連携・管理できそうです。また、現在はまだ使っていないのですが、入金消込などの周辺機能も豊富で、拡張性が望める点もポイントが高いです」

樋口「痒いところに手が届いたのが、invox電子帳簿保存。単純に“格納したいだけ”という時に活躍しているシンプルなシステムです。請求書や領収書はそれぞれのシステム内に保管できますが、それらに紐づいていない発注書や納品書、契約書をどこに格納するか迷ってしまうんですよね。UI(ユーザーインターフェイス)とコストパフォーマンスが良く、導入しやすかったです」

——新たなニーズ、意外と困っている方も多いかもしれませんね。

樋口「長年利用している楽楽精算も外せません。法対応はもちろん、アップデートが頻繁に行われるんです。ユーザーから蓄積された要望を反映するスピード感が素晴らしいと思います。また、ユーザーがプログラムを書き加えられる点も嬉しいです。仕訳出力する際、内訳に対する税区分について免税事業者用の税区分コードへの変換を設定することができ、申請者が意識せずとも正確な仕訳ができる仕組みを作ることができました。ベンダーとのやりとりが発生しそうな場面でも、リアルタイムで変更できるのは使いやすいと思います」

——様々なシステムを活用されていますが、社内周知や当事者意識を持ってもらうための工夫はありますか?

樋口「インボイス制度の時は、自分自身にどういうリスクが及ぶのかを意識してもらえるように工夫しました。消費税の仕組みや仕入れ税額控除の説明を交えながら、消費税の影響で会社がどれだけ損をするかというのを数字で見せることで自分の給与にも影響してくることをイメージしてもらうことで、自分ごととして捉えてもらえました」

高倉「請求書発行システムの移管があった時は、プロジェクトの進捗を報告しながら行いました。移管ってただでさえ大変なので、最初と最後に報告するだけになりがちなのですが、それでは現場もわからないという話になり、事業部の定例で説明するなどコミュニケーションをこまめに取りながら進めていきました。切り替わるまでの期間で社員に意識づけをすることで、いざ運用が始まった瞬間もバタバタせず、双方にとって良い結果となりました」

「自動化」というキーワードで、よりシャープに

——経理になったきっかけはありますか?

高倉「もともとは営業だったんですが、3年ほどやってみて合わないかもと感じ始めて…。ちょうど社内公募で経理を募集していたので応募したのがきっかけです」

——営業だったことにも驚きですが、すんなり経理に応募できるなんてすごいですね…。

高倉「営業は難しいと感じていたんですが、実は自分の家計管理をしていて、簿記3級の勉強もしていたんですよ。トップセールスの先輩から簿記も知っていたほうがいいよと言われたのをきっかけに勉強を始めて、家計簿もエクセルで固定費がいくらって計算して(笑)。そのあたりから自分に合ってると気づきました。だから社内公募を見た時に「これは導かれてるな」と思いましたね。

社内で異動したこともあって楽しくて、それからずっと経理です。とは言っても、ミスができないプレッシャーもあります。締め日が決まっている業務なので、前工程が遅れていても自分のところで必ず間に合わせなくてはならない。これはいまだにしんどいと思うことがあります。でも、会計ってルールがある中でやるのが原則。正しいことをしっかりやる、自分がやったことが形になって、その情報が誰かに活用されて、役に立っていると感じられるのでやはり好きです」

——見事キャリアチェンジに成功されたんですね!樋口さんはなぜ経理に?

樋口「もともと数字を扱うのが好きでした。高校時代に簿記を学ぶ機会があり、会計の世界に興味を持ったのが始まりで、大学でも会計学を専攻していました。ただ、会計だけじゃなくITにも興味があって、1社目ではシステムエンジニア(以下、SE)になりました。パソコン得意になりたいなって(笑)」

——前振りと全然違いますね!しかも高倉さんと同じく、異職種から経理に転身!

樋口「SEとして3年働いた頃、働いていた会社が経営難になってしまって。その頃の私は経理ではないし、決算開示をしていない会社だったので、現場から実態が分かりませんでした。その時、せっかく会計学を学んだんだから、経理として何がリスクになっているのか、会社全体を把握できたらなと思ったんです。その後、会計事務所への転職を経て、今に至ります」

——SEだったからこそ生きた経験はありますか?

樋口「エクセル関数への苦手意識がなかったり、プログラミングができるのでマクロも難なく扱えるというのは、SEの経験が生きていると思います。よく、RPA(Robotic Process Automation)は経理でも触れると謳われていますが、意外とシステムの知識が必要なんです。そういう場合も抵抗なく取り組むことができるのは、アドバンテージだと感じました」

——最後に、今後の目標を教えてください。

高倉「請求書発行や入金消込などはシステムを活用していますが、まだまだ手を動かすことも多いです。今後も自動化を進めて、業務に追われない経理を目指していきたいと思います。また、連結決算や開示を極め、経営層に適切な助言ができるよう知識を深めたいです」

樋口「DX化にはシステムの知識も重要なので、SEの経験を生かしながらシステムを活用した業務改善を行っていきたいです。そうして生まれた時間で、新規事業を立ち上げた場合の数字の予測やリスクなど、経営層の判断材料として使えるものをリアルタイムに出せるようになりたいです」