テクノロジー・通信
株式会社エイチーム
経理の“攻めと守り”をかなえるDX。クラウドで実現する業務のコンパクト化
管理部 経理G 川本玲子
- ・社名
- 株式会社エイチーム
- ・事業内容
- ライフスタイルサポート事業、エンターテインメント事業、EC事業
- ・設立
- 2000年2月29日
“橋渡し”として経営層とコミュニケーションを
——まずは川本さんの担当領域について教えてください。
私が所属しているのは管理部で、経理グループ(以下、経理G)のアシスタントマネージャーを務めています。経理Gは、マネージャー1名、アシスタントマネージャー2名、他13名で子会社を分担しながら実務を回しています。
アシスタントマネージャーは経理Gのメンバーにいちばん近い存在で、マネージャーとメンバーの橋渡し的な存在。大きな決め事に関してはマネージャーが判断しますが、私たちアシスタントマネージャーは実務も一部行うことがあるため、グループ内の課題について身近なんです。なのでグループ内の課題解決に関しては裁量があります。メンバーと一緒に目標を立てながら、改善する立場です。
——アシスタントマネージャー2名で役割分担はありますか?
私は子会社単体の決算を主に担当し、もう1名は連結決算と開示、財務を担当しています。それぞれの得意分野を踏まえて分担していて、メンバーも分かれて業務を行います。
経理メンバーはグループ会社それぞれにおいて一社ずつ主担当を割り振り、サブ担当もつけて横軸で動くような任務にもついてもらっています。
——経営にはどれくらい関わっていますか?
管理部には経理の他に総務や法務もあるのですが、管理部長と各グループのマネージャーが参加している定例会議があるんです。経理Gのアシスタントマネージャーも参加するようにしていて、部の方針への意見出しや組織案の提案・議論等を積極的に行なっています。
各グループで起案した事項に関して、さらに経営層と議論が必要な場合には、提案者が経営会議や取締役会で説明することもあります。当社は普段から経営層とコミュニケーションを取っているため関係性が良好で、意見も真摯に受け止めてくれます。
——風通しがいいと声も挙げやすいですよね。川本さんはなぜ経理に?
入社当時(2018年)は子会社ごとに小さな管理部門があり、最初はそこに配属されて総務のような経理のような、はたまた法務のような役割を担っていました。親会社の管理部門との橋渡しとして機能していたんです。
しばらくすると「親会社の管理部に集約したほうが効率的では」という議論が生まれ、各子会社の管理部的機能を親会社にまとめ、さらにそれを経理・総務・法務の機能別に解体・整理することになりました。
その際に自分がどこに所属したいかを考えた結果、経理としてもっとスキルを高めたいという思いから、今に至ります。
——もともと経理に興味があったとか…。
専門性を身につけたいとは思っていたのですが、子会社に所属していた時に楽しかったのが経理だったんですよね。数字を触るのがすごく楽しくて…、あとはお金が好きなのかも(笑)。
経理は明瞭な判断がつきやすいので、数字が合えばすごくスッキリする業務。正解を導くことができる。そういうところが自分に合っていたんだと思います。経理などの会計の知識は汎用的なスキルなので、どのような会社に所属しても必ず役立ちますしね。
——実際に経理専任になって、想像との違いはありましたか?
ネガティブなことはなくて、むしろ楽しいという感情しかなかったです。親会社の経理になった時、日商簿記2級を取得するため勉強を始めたんですが、そこで学んだ内容がまるっと実務に生きていくので、より納得感があって、楽しさも増しました。
自己研鑽すればするほどわからなかった部分が明確になっていくし、自分の回答にも自信が持てるようになる。法律に基づいて考えられたことをこうやって処理しているんだよ、と説明できるようになるので、成長度がわかりやすい職種だと思います。
バックオフィスの「三種の神器」〜エイチーム 川本さんの場合〜
〜株式会社エイチーム 経理Gが使っている製品一覧〜
契約管理:DocuSign(ドキュサイン)
請求書発行:Misoca(ミソカ)、商蔵奉行など
入金消込:Victory-ONE G4
会計:Galileopt NX-Plus
経費精算:X-point
給与、勤怠管理:COMPANY
稟議・ワークフロー:X-point
人事労務管理:カオナビ、HRMOS(ハーモス)
コミュニケーションツール:Slack、Qiita Team(キータチーム)
——さて、現在お使いのDXサービスを教えていただきましたが、請求書発行システムはかなり多いんですね。
請求書は子会社ごと、サービスごとの特性によって異なっていたり、お客様のご要望があったりして、システム数が多くなっています。個人的には、無駄な機能がない「Misoca(ミソカ)」がお気に入りです。
当社が請求書発行に求める機能は実にシンプルで、請求書を発行してメール送付・郵送代行依頼ができることでした。Misocaは発行に特化したシステムなので、これまでエクセルで対応していたお客様は順次移行中です。また、UIがわかりやすく、導入後も迷わずサクッと発行できる点は、複数人が使う請求書システムだからこその利点だと思います。
特化されていて使いやすいという点では、「Victory-ONE G4」も便利ですね。消込に特化されているので、消込のしやすさはもちろんのこと、一度消込が行われれば2回目以降は履歴から引き当ててくれるため、社数が多い場合も短時間で完了。かなりの時短になります。
——特化されているシステムを適切な業務・タスクで上手に使い分けされている印象です。他に業務が効率化されたものはありますか?
電子契約システムとして活用している「DocuSign(ドキュサイン)」は、法務Gが主体となって導入したものですが、導入後の効果を実感したシステムのひとつです。
例えば契約時にはまずワークフローシステムである「X-point」で申請を行います。書面契約と電子契約のどちらか選ぶ分岐があり、電子契約を選択するとDocuSignと連携。最終的にはkintoneでレコード化されるので、経理はX-point かkintoneのどちらかで契約内容を確認しています。こういった連携はクラウドシステムならではですよね。
コンパクト化がカギ、即戦力となるために
——ツールを利活用して手作業を減らしていきたいですよね。
ミニマムでもいいので、施策を続けていくことを心がけています。DX化に拍車をかけたのは、やはりコロナ禍だったと思います。書面で確認する必要が出てくると、リスクを冒しながら出社することになる…。電子化や自動化を進めなければ、経理業務はこの先ずっと出社しなければならない未来が待っているんだなと悟りました。
まずは電子化、次に自動化と少しずつ前進して、今では“書面で確認するための出社”はゼロになりました。当社は子育て中の社員も多いので、仕事と家庭を両立しやすくなったり、私自身も働きやすさを実感しています。
——経理のシステムって、各部署の方々も使う場面が多いと思いますが、社内周知や当事者意識を持ってもらうための工夫はありますか?
全社員参加型の全体ミーティングでの周知の他、対象の方を集めた説明会の実施や、Slackでの通知をしています。必要に応じて個別に連絡することもあります。でもこれは本来いらない工数なんですよね…。
当社は経営陣がこういった工数に対して課題感を持ってくれていて、社員の理解や協力を促そうとしてくれています。なぜやらなければならないのか、後続の処理は何か、起こり得るリスクは何か。これらを経営層に発信してもらったことで、社内の意識が高まりました。
——最後に、川本さんの今後の目標を教えてください。
攻めの経理と守りの経理、両方を叶えたいです。経理って日常においてはルーチンワークが多いんです。そこをいかにコンパクトにするかをずっと考えてきました。
現在も試行錯誤しながら進めている状況ですが、改善の範囲をもっと広げていきたいんです。改善の結果、生まれた余裕は攻めの経理の時間に。例えば、会社が新規事業をはじめる際に、経理は必ず数字周りで関わってきます。確かな戦力になれるように知識をつけるのはもちろんのこと、バッファも考えていけるような攻めの姿勢を取っていきたいです。
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