DX化とデジタル化の違いとは?DX化を推進する流れなども解説
2024年11月5日
現在、日本企業は急速なDX化を遂げつつあります。きっかけは2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」です。このレポートには「DXへの取り組みが進まないまま、企業が既存のシステムを使い続けると2025年以降、最大12兆円の経済損失が発生する可能性ある」ことが示唆されています。
企業がDX化を進める際にまず避けたいのは、定義が曖昧になることです。DX化が具体的にどのような意味を持つのかはっきりさせておかないと、DX化推進の取り組み方に誤解が生じかねません。
そこで、この記事ではDX化とデジタル化の違いと、DX化推進の流れについて解説します。正しくDX化を推進するために、本記事を通してDX化とデジタル化の違いから理解していきましょう。
目次
DX化とデジタル化の違い
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。ビジネスではトランスフォーメーションは主に「変革」の意味合いで使われます。一方で、本来の使い方としては「変化」という意味もあるため、DX化とデジタル化は混同されてしまう要素を含んでいます。また、DX化するための説明を極限までカットしていくと、「デジタル化すること」と言えてしまうのも注意が必要な点です。
しかし、より高い視点から見比べた場合、DX化とデジタル化は違う意味を持つ用語となります。ここでは、DX化とデジタル化の定義、双方の違いについて解説します。
DX化とは
DX化はデジタル化を「手段」として、ビジネスを変革していくことです。そのため、業務をデジタル化し、労働環境を整備したら終わりではありません。デジタル化して得られた利点を活用し、新たなビジネス・収益につなげてはじめてDX化の達成になります。DX化のイメージを掴むために、事例として「アスクル株式会社」について取り上げます。
アスクル株式会社はオフィス用品の通信販売を行っている企業です。2020年にコロナウイルス感染拡大時においては、デジタル化された環境を活かし、感染予防用品を医療関係者など必要度が高い顧客に優先販売する仕組みを2週間で構築しました。この機転の利いた対応が評価され、アスクル株式会社は経済産業省と東京証券取引所が共同実施する「DX銘柄2021」選定に向けた「DX調査2021」において、「コロナ対応部門」に選出されています。
このDX化の達成は、顧客の属性・購買データなどのデジタル化が土台になっています。しかし、その一方で、その土台の上に機転の利いた対応が加わらなければ、デジタル化された環境があるだけで終わっていました。このことからも、DX化達成にはデジタル化だけでなく、デジタル技術を用いた変革が求められていると分かります。
デジタル化とは
デジタル化とは、既存のシステムをデジタル技術に置き換え効率化を図ることです。例えば、従来は紙媒体で行っていた契約書作成業務を、電子契約を導入しインターネット上での作成に切り替えたなら、それはデジタル化と言えます。その成果に関わらず「デジタル技術を導入した時点で達成される」点が、DX化とは異なります。
双方の違い
デジタル化は技術を導入すれば簡単に達成できます。一方、DX化はデジタル化したうえでその特性を生かし、収益につながる取り組みを継続していかなければ達成したことにはなりません。つまり、両者は共通部分を有しながらも「スタート」と「ゴール」の関係にあるのです。
デジタル化をしてDX化を達成したつもりになってしまうのは、スタート地点で立ち止まっているのと同じです。デジタル化とDX化の混同を避けるべき理由がここにあります。
DX化・デジタル化のメリット
ここでは、DX化・デジタル化の各メリットについて解説します。
DX化のメリット
DX化の推進には主に2つのメリットがあります。
・生産性の向上
DX化には業務のデジタル化が欠かせません。そのため、DX化の前提を整える過程で業務のデジタル化が加速していきます。デジタル化が成功すれば、作業時間の短縮、人件費の削減、自動化が進むため、それに伴い生産性も向上します。
・新たなビジネスモデルの開発
先述した通り、デジタル化した環境下で新しいビジネスモデルを開発していくのがDX化の定義です。最先端のデジタル技術を駆使した新しいビジネスモデルの確立は、コロナ禍で変容してしまった市場を生き抜くうえで重要な課題です。DX化の推進は、デジタル化を新たなビジネスにつなげることで、この課題を解決できる可能性を秘めています。
デジタル化のメリット
デジタル化には主に4つのメリットがあります。
・業務効率化
業務のデジタル化では、人の手で行っていた工程を自動化することで業務を効率化していきます。電子契約の導入で、紙媒体で行ってきた契約書作成の工程が不要になるのが分かりやすい例でしょう。工程が減り、自動で任せられる部分が増えることで、企業は人間にしかできない業務に人員を回せるようになります。増益につながる業務効率化は、デジタル化の主要なメリットと言えます。
・BCPの充実
デジタル化はBCPを充実させるのにも有効です。BCPとはBusiness Continuity Planの略で、テロや災害、システム障害などの発生時、損害を最小限に抑え、業務を途切れさせないための事業継続計画です。デジタル化を進めておけば、職場で何らかのトラブルが発生しても外部での重要データの保存、業務継続が可能になります。
・働き方改革
これまでは会社に出勤するのが当たり前の働き方でした。しかし、現代では企業のデジタル化が進み、その常識は変化しつつあります。環境をデジタル化できれば、時間と場所に捉われない多様な働き方を従業員に提供できるようになります。また、労働人口の減少による人手不足を解消し、人材募集の幅を広げるためにもデジタル化は欠かせません。
・業務の円滑化
書類をデジタル化しておけば、判子や署名は不要になり、手続きはオンライン上で完結します。また、コンピュータを介して行われる自動化された業務は、人が処理するよりも正確かつ迅速です。仕事の質は向上し、人間も煩雑な作業から解放されます。
DX化推進の流れ
DX化推進の一例として、顧客体験の向上を目的としたDX化の流れを紹介します。ここで重要視されるのは「時間」です。デジタル化を顧客の目的達成の短縮・可視化につなげることで顧客体験を向上、DX化します。この流れには5つの段階があります。
1.モバイルファースト
ECやゲームなど、ユーザーの生活は今やスマートフォンが中心です。そのため、このDX化の第一歩として、Webサイトの表示をモバイル端末ユーザーに合わせる「モバイルファースト」を行います。デジタル化による顧客の目的達成の短縮・可視化が目的なので、まずはターゲットのスタイルに合わせる必要があります。
2.動画活用
使い方の説明やプロモーションなどを文章から動画に切り替えます。動画は説明を簡単かつ標準化できるメリットがあり、昨今は営業シーンでも積極的な活用が進んでいます。
3.データ活用
営業活動やWebサイトの顧客データなどを分析して活用できるようにします。例えば、営業に動画を使ったならば、どの顧客にどんな商品の動画を見せたか、成果は得られたのかをデータ化することで次に活かせるでしょう。ここまでに紹介した、モバイルファースト、動画活用、データ活用が後に続く段階の土台部分となります。
4.リアル接続
オンラインと現実をつなげたシステムの構築です。例えば、オンラインの問い合わせ内容を加味した営業できるようにしたり、店頭の顧客に対してEC購入履歴を軸にした提案ができるようにしたりします。両者はどちらも顧客の目的達成を短縮するための仕組みと言えるでしょう。
5.ビジネスモデルの変革
最終段階として、ビジネスモデルの変革を目指します。例えば、映画・ドラマなどの映像作品を売り切り商品ではなく、月額課金制見放題にすることで収益を上げている「Netflix」「amazonプライムビデオ」などの動画配信サービスがその例でしょう。サブスクリプションビジネスは収益方法自体を変革することで成功を収めました。
これらの変革は、ここまでのステップを着実にこなすことではじめて実現するものです。そのため、いきなり変革を目指すのではなく、各ステップで何をすべきか洗い出して計画的に施策を進めましょう。
企業が取り組むDX化の具体策
ここでは企業が取り組むDX化の具体策を3つ取り上げます。共通していることは、デジタル技術を導入するだけではなく、それで何をするかを意識している点です。
データの電子化
データを電子化し、業務担当者を面倒な手続きから解放することもDX化への取り組みの1つです。分かりやすい例としては、電子請求書の導入です。このデジタル技術を導入すれば、ペーパーレス化の促進、郵送コストのゼロ化、再発行・修正の迅速化などのメリットが見込めます。活用できれば、業務担当者の手続きは簡略化され、必要だった工程も短縮・削減できるでしょう。
リモートワークの導入
新しい働き方を可能とするリモートワークの導入もDX化推進の事例です。業務の中心がクラウド環境に移行すれば、在宅勤務やテレワークの実現がしやすくなります。また、業務のクラウド化が進めば進むほど、オフィスのスペースが不要になるメリットも見逃せません。実際にコロナウイルス感染症対策でリモートワークへと移行した企業の中には、オフィスの縮小化に踏み切ったケースもあるようです。
クラウドサービスの活用
チャットツールなどのクラウドサービス活用もDX化を推進させます。従来の紙やメールでのやり取りは1対1になりがちで、他者との情報共有に手間がかかりました。
一方で、チャットツールなら最初から情報を共有できる仕組みを持っているため、必要なメンバーにリアルタイムでの情報共有が可能となります。円滑な情報共有により業務の効率化を果たすことができます。
DX化を推進させるカギ
DX化を推進させる活動は大きく2つに分類することができます。デジタル化で新たな産業を生み出す「攻めのDX」と、デジタル化で既存のプロセスを変革する「守りのDX」です。
しかし、ビジネスの先駆者を目指す「攻めのDX」は達成が容易ではないことから、途中で断念しないためにも、まず土台を固める「守りのDX」から進めていくことがおすすめします。
ここからは、そのためのカギとなる、データ化とスモールスタートについて解説します。
データ化
最初に自社業務で何がデータ化されているか、何がデータ化されていないのかを把握することがデジタル化の第一歩です。そのうえで、データを活用して業務プロセスのデジタル化が図れるか検討します。
例えば、ネット通販を中心に事業展開している企業なら、自社ECサイトに顧客履歴が残っていますが、顧客管理ツールの中にはECサイトの履歴と連携できる機能を持ったタイプもあります。この機能を上手く活用すれば、簡単に顧客情報を一元管理できるようになるでしょう。デジタル化の方針を決めるためにも、最初にどんなデータを所有しているかを把握しておくことが肝要です。
スモールスタート
業務をデジタル化するには労力や時間に加え、多額の設備投資が必要です。いきなり全業務のデジタル化を進めれば、企業には膨大な負担がかかってしまいます。
そこで重要になってくるのが「スモールスタート」です。スモールスタートとは最初は小規模に展開し、状況に合わせて拡大していくやり方です。これをデジタル化に当てはめると以下のような手順になります。
1.デジタル化で効率化ができそうな業務を探す
2.効率化ができそうな業務の中から1つだけ選ぶ
3.従来のやり方を維持しつつ徐々にデジタル化を進める
効率化できそうな業務から1つ選び、デジタル化を進めます。最初は従来のやり方を維持しつつ、小さい部分から変更していくのがポイントです。簡単な手作業からデジタル化を始めれば、周囲の不安や戸惑いを軽減できるでしょう。徐々に慣らしていくことで、負担をかけずにデジタル環境を整えることができます。
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DX化に向けたデジタル技術を活用する際、まずはどの業務から着手すべきか迷われる方もおられるでしょう。数ある業務の中でも、経理部門が抱える請求業務は、スモールスタートでのデジタル化を行うのにぴったりの業務です。
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