経理に求められる資格とは?資格を持つメリットやおすすめの資格を解説!

2024年9月1日

会社経営において経理は、利益や資産を生み出すために金銭を管理する重要な業務の1つです。会社の中で日常的に動く金銭の流れを数値化して正確に管理していく必要があることから、経理業務に携わる場合は資格を取得しておくとスキルを証明できるメリットがあります。しかし、資格にはさまざまな種類があるため、どのような資格がどこで役に立つのか分からない方もおられるでしょう。
今回の記事では、経理業務に求められる資格について解説します。また、経理業務におすすめの資格や海外で役立つ資格についても併せてご紹介します。

経理業務に資格は必要なのか

経理業務は、実務の経験や資格を取得していなくても業務に携わることは可能です。しかし、資格の有無によって転職や昇進に差がつく場合があります。以下では、資格を持つことで得られるメリットと、持っていないことで生じるデメリットについてご紹介します。

資格を持っていることで得られるメリット

経理に関する資格を取得している場合は、専門性のある知識を持つ人材として企業へアピールでき、就職・転職時に有利になるメリットがあります。自身の成長に繋げる目的で取得すれば、将来的なキャリアアップやスキルアップにも役立ちます。

資格を持たない場合のデメリット

経理業務は、日次・月次・年次と期間ごとで行う業務が分けられており、資格を持っていない場合は、専門的な知識がなくても遂行可能な日次業務だけしか任せてもらえないことも珍しくありません。

また、資格を持っていないと自身のスキルに対する客観的な指標がないために、知識や経験が正当に評価されない点もデメリットです。さらに、経理はミスが許されない業務であることから、企業は職歴と資格で採用する対象者を絞ります。そのため、いくら職歴は長くても資格を有していない場合は、専門的な知識を持っていない、向上心がないなどの理由で採用される可能性が低下してしまいます。

経理担当者に求められるスキル


経理担当者になるためには、身につけておくべきスキルがいくつかあります。以下では、経理担当者に求められるスキルを3つご紹介します。

資料作成スキル

経理業務に求められるのは、帳簿の作成や財務関連の表作成だけではなく、専門知識を持たない人でも自社の経営状況について把握できるような分かりやすい資料を作成するスキルです。資料作成スキルだけではなく、経営課題の提示や課題解決策を提案できるスキルを持っていると、より経理担当者として人材価値を高められるでしょう。

コミュニケーションスキル

経理業務では、経営陣だけに限らず社内の各部署との連携が欠かせません。そのため、連絡事項をスムーズかつ簡潔に伝えられるコミュニケーションスキルが求められます。
また、経理は数値的な報告や推測を求められるシーンが多く、相手に分かりやすく伝えるスキルが非常に重要視される職種です。そのため、相手の知識レベルに合わせて経営状況を解説したり、必要な情報を提示したりといった柔軟に対応できるプレゼンテーションに関する力も求められます。

分析スキル

より高次元かつ裁量を持った働き方を望むのであれば、経営課題や経営戦略を分析する能力も求められます。ただし、黙々と目の前の数字を計算しているだけでは将来的なキャリアアップは難しいでしょう。数字を分析して周囲と連携し、課題解決に務める協調性を兼ね備えている必要があります。

経理におすすめの資格

経理業務に役立つ資格を有していることは、自身の市場価値が高まる、将来的なキャリアアップに役立つなどのメリットがありますが、どのような資格を取得すればいいか悩んでいる方もおられるでしょう。ここでは、経理におすすめの資格についてご紹介します。

日商簿記

日商簿記とは、商工会議所が主催する検定試験で、経理関連の資格ではもっとも有名な資格の1つです。難易度は初級から1級までの4つに分類されており、試験には営業活動の記録や計算、整理など経理の基本が集約されています。
一般的に企業が必要とする知識が身につくのは2級レベルからで、取得していると主に中小企業から高い評価を得られます。1級レベルになると合格率が1割を下回り、資格取得のハードルも高くなりますが、より専門性に特化した知識を得られるため将来的なキャリアアップとして大いに役立つでしょう。

公認会計士

公認会計士とは、金融庁の公認会計士・監査審査会が主催する国家資格です。日本国内の資格の中ではトップレベルで難しい資格とされ、2年~4年の勉強時間が必要といわれています。試験内容は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目の短答式試験と、会計学・企業法・監査論・租税法の必須科目、経営学・経済学・民法・統計学の中から1科目選んだ計5科目の論文式試験の2つです。

応用範囲が広いため、経理業務だけではなく監査役などの重要なポジションや独立開業など幅広い活躍の場が広がっています。特に、資本金が5億円以上の大企業や上場企業では、公認会計士による監査が義務付けられているため高い需要があります。

税理士

税理士とは、国税庁が主催する国家資格検定です。受験資格は、学歴や実務経験などさまざまな条件が設けられていますが、簿記1級を取得している場合は、条件に関係なく受験できます。試験内容は、会計学に関する2科目と税法に関する7科目の中から3科目を選んだ計5科目です。

試験日は、1年に1回のみで最大5科目受験できますが、それぞれの科目の合格率は10%前後と低く、多くの受験者は1科目ずつ受験して長期的に合格を目指しています。資格を取得できれば、税金の申告や納付、財務の資料作成など税務に関するスペシャリストとして企業内で重宝される存在になることでしょう。

FASS検定

FASS検定とは、経済産業省が経理・財務部門の人材育成を目的に2005年に創設した比較的新しい資格です。特徴は、従来の日商簿記では把握できなかった実務能力を把握できる点で、経理部門での業務遂行に必要な実務的知識とスキルが満遍なく学習できるとして注目されています。

試験は資産、決算、税務、資金の4科目で構成されています。通常の資格試験と異なるのは、合否を問うものではなくA~Eの5段階で評価される点です。最高評価のA評価を獲得した場合は、経理業務において実務的知識を習得していることが証明されます。将来的なキャリアアップを考えている方は、A評価の獲得を目指しましょう。

給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定とは、一般財団法人「職業技能振興会」と「実務能力開発支援協会」が主催し、内閣府の認可を受けている検定資格です。試験は1級と2級に分かれており、取得すれば経理業務に重要な給与計算に関する知識を有していることが証明できます。
試験では、給与計算はもちろんのこと社会保険や所得税、住民税などの実用的な知識が問われる内容が出題されます。

ファイナンシャル・プランナー(FP)検定

ファイナンシャル・プランナー(FP)検定は、一般社団法人「金融財政事情研究会」とNPO法人「日本FP協会」が主催している国家資格です。経理や財務だけではなく、お金にまつわる幅広い分野の知識を学習できるため、税金や相続など日常生活に役立つ知識が身につきます。

試験内容は、それぞれ主催している団体によって異なり、金融財政事情研究会で受験する場合は、資産相談業務、個人資産相談業務、生保顧客資産相談業務など受験するコースによって受験科目が変わります。
一方で、日本FP協会で受験する場合は、資産設計提案業務に関する分野が網羅的に出題されます。FP検定は1級~3級まであり、企業で知識を活用するのであれば2級以上の知識が必要です。

MOS検定

MOS検定とは、Microsoft社の認定資格で、WordやExcelなどMicrosoftOffice製品のスキルを証明する資格です。試験科目は、Word、Excelの他にPowerPointやAccess、Outlookがあり、WordとExcelのみ一般レベルの「スペシャリストレベル」の他に上級の「エキスパートレベル」があります。
MOS検定を取得すれば実用的な能力が身につくうえに、客観的に自身のパソコンスキルを証明できるため、就職や転職の際に役立つでしょう。

グローバルな活躍を目指す場合に役立つ資格


ここでは、海外に活躍の場を広げたい場合に役立つ資格をご紹介します。

TOEIC

TOEICとは、米国にある非営利テスト開発機関「ETS」が制作する英語コミュニケーション能力測定テストのことです。TOEICは、海外に事業を展開する企業などで働く際に役立つ資格で、合否ではなく点数によって自身がどの程度の英語力を身につけているか判断できる試験です。1つの目安として、企業内で英語を使用する場合は600点、外資系企業であれば800点以上と定められているケースもありますが、職場での英語の使用頻度によって目安は異なります。

米国公認会計士(US・CPA)

米国公認会計士とは、米国各州で認定されている会計士資格です。現在では、日本でも受験できるようになり、キャリアアップを目指す方が多く受験しているようです。
会計学の基礎やマネジメントなどの米国基準の知識が身につき、グローバルな分野で高い評価を得られます。ただし、出題は全て英語なので英語を習得していることが必須となります。

試験内容は、財務会計や企業経営環境・経営理念、諸法規・監査および手続きの4科目で構成され、出題範囲が広範囲なため満遍なく学習することが合格のポイントです。

国際会計検定(BATIC)

国際会計協定とは、東京港商工会議所が主催する英文会計の検定試験です。試験内容は、鋭敏簿記と国際会計理論の2科目で、全て英語で出題されますがTOEICで450点程度取れていれば読解できるレベルです。
試験結果は、合否が問われない代わりに点数によって「コントローラーレベル」「アカウンティングマネージャーレベル」「アカウンタントレベル」「ブックキーパーレベル」の4つに分類されます。目指すべきレベルとしては、まず日商簿記2級レベルに相当するアカウンティングマネージャーレベルがおすすめです。

米国税理士(U.S.EA)

米国税理士とは、米国の内国歳入庁(IRS)が認可している国家資格です。米国全土の税務申告代行業務を行える資格で、日本や韓国、イギリスでも受験できます。日本ではまだ浸透していない資格ですが、世界各地に居住するアメリカ人の税務申告ができるという意味では、住む場所に制限されることなく活用できる資格です。資格を取得すれば、税務に関する知識の豊富さと英語力を証明できますが、実際に業務を行うには実務経験が必要です。

米国公認管理会計士(U.S.CMA)

米国公認管理会計士とは、管理会計士協会(IMA)が主催する国際資格です。社内の意思決定を支える管理会計に関する専門資格で、社内の会計、財務戦略、経営企画などに携わる際に役立ちます。また、コンサルティング業務や内部監査でも役立つ資格です。

試験内容はPart1とPart2と呼ばれる2科目で、Part1では財務計画、業績管理、分析の分野が出題され、Part2では戦略的財務管理の分野が出題されます。試験は全て英語で実施されるため、資格取得後は経営、財務、企業統治に加え英語力も有していることを証明できます。

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